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草間彌生「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」へ

国際的に活躍する前衛芸術家・草間彌生。
網目模様を描いた《ネッツ》、無限の水玉が広がる《ドッツ》、そして鏡で構成された《ミラールーム》や《ミラーボール》。

草間さんの作品は、いつも観る者を魅了し、〝無限〟の感覚へと誘ってきました。

現在も《わが永遠の魂》《毎日愛について祈っている》などのシリーズを精力的に発表し、その創作意欲はとどまることを知りません。

そんな草間彌生の世界を無料で体感できる展覧会「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」が、エスパス ルイ・ヴィトン大阪で2026年1月12日(月・祝)まで開催されています。


本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネチア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにてフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環。

公式HPより

「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」の公式ページでは、展示作品の一部をウェブ上で楽しむことができます。



ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋

最初に訪れたのは、大阪御堂筋沿いのメゾン。

店頭のディスプレイ
可愛らしくて、テンションがあがります

入口を抜けると、巨大なかぼちゃが出迎えてくれました。

草間彌生《大いなる巨大な南瓜》(2023)(部分)

一階の天井を突き抜けるかのような大きさ。

細部までびっしりと描き込まれたドット模様は圧巻で、思わず息をのみます。年齢を重ねてもなお作品を生み出し続ける草間さんの生命力が、そのまま形になったようにも見えました。

このかぼちゃは、はるばるフランスから運ばれてきたそうです。

クライアントアドバイザーの方が、「ある日出勤したら、店内にかぼちゃが届いていて驚きました」と教えてくれました。

そんな夢のような光景を想像しているうちに、
思わず私も「もし朝、目覚めたら、我が家にもこんなかぼちゃが届いてたら…」と妄想してしまいます。

かぼちゃには、サインも入っています

草間さんは、かつてかぼちゃについて、こう語っています。

「子供の頃からカボチャは私にとって大きな癒やしでした。謙虚であると同時に愉快であり、生きる喜びを私に語りかけてきます」

公式のキャプションより

その言葉を知ってから眺めると、目の前の黄色いかぼちゃがまた違って見えてきます。

単なるオブジェを超え、静かさや、喜びを与えてくれる。
草間さんの思いが、作品を通じて私たちにも届いてくるようでした。

エスパス ルイ・ヴィトン大阪

続いて、エレベーターで5階へ向かいます。

展示会のご案内

入口を抜けると、白を基調とした静かな展示空間が広がります。

フォンダシオン ルイ・ヴィトンについて
2014年の開館以来、1000万人を超える来館者を迎えています

最初に出会ったのは、《ドッツ》。
キャンバスに反復される点々模様は、草間彌生の代名詞ともいえる表現です。

《ドッツ》1990年

見ているうちに、このドッツを描き続ける草間さんの手の動きまで、透けて見えるようです。

「自己治療(セルフセラピー)」と彼女が呼ぶ制作過程において、強迫的に反復されるモチーフは重要な表現手法となっており、本展で紹介する作品群にもこの特徴が色濃く反映されています。

公式のキャプションより

草間さん自身が、〝自己治療(セルフセラピー)〟と呼ぶ制作。
繰り返される反復のひとつひとつが、彼女が創作を続けてきた切実な時間になっていたのかもしれません。


次に出会ったのは、《毎日愛について祈っている》のシリーズ。

《毎日愛について祈っている》2023年

キャンバスには、マーカーペンでびっしりと言葉が書き込まれています。

そのなかで、こんなフレーズが目に飛び込んできました。

「反戦と平和の女王となって」
「クサマヤヨイの愛のメツセイジを世界のみなさんへささげる 私よりあなたへ」

作中の言葉より抜粋

「ペンは剣よりも強し」という言葉を思い出しました。

書き込まれた言葉は、草間さん自身を奮い立たせる矜持であると同時に、観る側にもまっすぐ響いてくるようでした。


そして、《無限の鏡の間―ファルスの原野(または フロアー・ショー)》のインスタレーションへ。

《無限の鏡の間―ファルスの原野(または フロアー・ショー)》1965年 / 2013年


無数の水玉のオブジェが並ぶ空間に、鑑賞者だけで入ることができます。一度に3人まで、滞在時間はおよそ1分。

扉が閉まると、周囲はまたたく間に〝無限〟へと広がります。

鏡のなかで果てしなくオブジェが反射し、上下左右の感覚が少しずつ失われていく。

そこにいたのは、私と家族だけ。

赤い水玉の草原がどこまでも反射し、地も空の境界までなくなってしまうようでした。

永遠を、ほんの少しだけのぞき込んだような奇妙な感覚。
風が吹いたら、そのまま足元をすくわれてしまいそうです。

驚くのは、この作品の原型が60年も前に生み出されていたこと。
VRをはじめ、さまざまな没入体験が身近になった令和の時代でも、草間作品の力は揺らぎません。

むしろ今も、身体ひとつで無限の中に放り込まれる体験には、今だからこそ感じる新鮮さがありました。

大阪・関西万博でさまざまな映像やVRを体験したあとだったこともあり、その原点のひとつに触れたような気がしました。


『一緒に大いに闘っていきましょう』2015年
6分23秒
LOUISIANA channel

会場では、インタビュー動画『一緒に大いに闘っていきましょう』(2015年)も上映されていました。

こんな言葉が、心に響きます。

「自分がどのようにして生きていくか」

〝INFINITY(無限)〟という壮大なテーマを作品にしています。

そして最後には、「Let’s fight together(一緒に大いに闘っていきましょう)」と呼びかけます。ここでいう「闘い」とは誰かと争うことではなく、自らの「決意」を示すこと。その生をまっとうすることなのだろうと思いました。

芸術家からのメッセージでありながら、観ている私たち一人ひとりにも向けられているように感じられました。


展覧会を後にして

私は子育てをきっかけに、草間さんのドキュメンタリーを繰り返し見るようになりました。

国立新美術館で《わが永遠の魂》を初めて目にしたときから、変幻自在な草間さんの作品を追い続けています。現実と無限の境界線をふっと失わされるたび、何度も作品に魅了されてきました。

一方で、制作を〝自己治療(セルフセラピー)〟と語る草間さんの姿からは、命を削って生み出された作品の力を感じます。

明るく奇想天外な世界が描かれているのに、
「では、自分はどのように生きていくか」と問いかけられているような気がします。

その対比に、いまも惹きつけられています。

最上階の7階には、ルイ・ヴィトン初のカフェ「ル・カフェ・ヴィー(LE CAFE V)」もあります。展覧会の余韻を味わいながら、立ち寄ってみるのもおすすめです。

草間彌生の〝無限〟をめぐる旅。
この夏、大阪でその世界に少しだけ迷い込んでみてはいかがでしょうか。

【展覧会情報】
草間彌生 「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」
会期:2025年7月16日(水)〜2026年1月12日(月)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる
観覧料:無料
公式サイト:「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」



【こちらは、展覧会内で上映されていたインタビュー動画です】
Yayoi Kusama: Let’s Fight Together


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