『ママがいい!』育休中、仕事と育児で悩む中、背中を押してくれた本
娘が生まれて3年。育休中、復職時期や保育園をどうするか?悩みに悩んでいた時期に出合った本が松居和さんの『ママがいい!~母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ~』です。
当時感じていた様々な違和感や迷いが払拭されて、育休終了後、正社員を退職し業務委託に働き方を変え、週2回「森のようちえん 葉山もりのわ」に通うと決める上で背中を押してくれました。今も何度も読み返し、力をもらっています。
いま、保育園で何が起きているのか?
経済優先の保育政策で社会から失われていく大切なもの。
「エンゼルプラン」「子育て安心プラン」など美しい言葉の裏で、保護者から親として育つ機会を奪い、母親をパワーゲームへと引き込み、保育がビジネス化されていく。盲目的に進みつつある保育のあり方への警鐘!
「幼児の扱いが国じゅうで粗雑になっている」と、保育業界を取り巻く課題に課題に警鐘を鳴らし、「でも今、方向転換したら日本はまだ間に合うかもしれない」と、希望を託して書かれた本です。
「0歳から長時間保育すぎないかな?」「仕事と子育ては天秤に
かけるものなの?」「保育園での虐待や事件はなぜ起きてしまうのか?」など、保育の現場に携わる方々や子育て世代の方々は、普段いろいろと抱いている疑問や違和感があると思います。それの正体が見えてきて、終始うなずいてばかりでした。

保育園に預けて仕事を続ける方も、子育てに専念するため仕事を辞めたり減らしたりした方も、どんな環境で幼少期の子育てをするかも含め、選択肢は様々で違っても、「子どもたちを大事にする気持ち」「のびのび健やかに育ってほしいと願う気持ち」は同じだと思います。
子どもをとりまく現状の課題を知り、考えさせられると同時に、子どもの存在への希望や子育てする喜びも感じることができる本だと思うので、ぜひ多くの方に読んでほしいなと思い、紹介させていただきます。

『ママがいい!』各章構成
第1章 子どもを犠牲にして進められる保育政策
子育て放棄支援と化した政策/保育を巨大な成長産業と位置づけた政府/子育てが人間の手から離れていく/保育所に入りたい待機児童はいない/一億総活躍社会の裏にあるもの/子どもを犠牲にして進められた「新エンゼルプラン」/十一時間保育が壊したもの/保育崩壊の最後の一撃「保育の無償化」/安易に見習ってはならない「欧米先進国」の制度、ほか
第2章 ビジネス化する保育
保育の基本を知らない人たちの参入が始まった/ある企業型保育園の実態/「三年経ったら園長にしてあげる」/幸福を金額で計る流れは国をも滅ぼす
第3章 母子分離の悲劇
「ママがいいー」と泣き叫ぶ子どもたち/「世界を信じることができるか?」は乳児期に決まる/パニックを起こす子/手のかからない子の悲しみ/押し付け合いが始まった/男女平等を計るモノサシと幸福論/「小一の壁」/「家庭の子育て力」が落ちたアメリカ/「話しかけるな、抱っこするな」/「私がここにいないほうがいいんです」、ほか
第4章 ひずみ──悲しき虐待
主任さんの涙/良心を捨てるか、保育士を辞めるか/男性保育士による性的虐待の可能性/「保育士の虐待?」を訴える親のネットでのQ&A/「なんで感謝しなければいけないんですか?」/幼児の扱い方が国じゅうで粗雑になっている/里親制度の落とし穴/いじめと「第三者委員会」
第5章 幼児の力による親心の回復
一日保育者体験/父親が泣いた日/保育者体験の効用/手取り十五万円に届かない保育士たちが見つめていた/男は子育てに向かないか?/無心な幼児が教える「大切なこと」/男子は子どもに還り、女子は母の顔になる/赤ん坊が絆を育てる/父親の心に灯をともす、ほか
第6章 親を支える保育現場の努力と祈り
父親をウサギにする権利/子どもに無関心だった父親たちが二十四時間で変わった/父親のいない子どもへの配慮は必要か/噛みつく子、笑わない子/保育士の喜び/心療内科で薬をもらう
あとがきに変えて 待機児童がゼロになる時
著者 松居和さんとは
「音楽家・作家・元埼玉県教育委員長」という肩書を持つ松居さん。
慶應義塾大学哲学科からカリフォルニア大学(UCLA)民族芸術科に編入、卒業。尺八奏者としてジョージ・ルーカス制作の作品やスピルバーグ監督の作品など50本以上のアメリカ映画に参加。アメリカにおける学校教育の危機、家庭崩壊の現状を報告したビデオ「今、アメリカで」を制作。帰国後は短期大学保育科講師、埼玉県教育委員委員長をつとめる。「先進国社会における家庭崩壊」「保育者の役割」に関する講演を保育・教育関係者、父母対象に行い、欧米の後を追う日本の状況に警鐘を鳴らしている。
30年以上前、尺八奏者として映画出演のため滞在していたアメリカで起きていた、家庭崩壊や学校教育の現状を目の当たりにして「こうした現状は日本にもやって来る」と危機感をいだいて帰国。アメリカの崩壊の現状をビデオにして、警鐘を鳴らしてきました。
保育園の園長さんや保育士さんたちに共感を呼び、全国の保育園・幼稚園、自治体で年間100回を超える講演を行い、衆議院に公述人、参考人として呼ばれ、埼玉県の教育委員長も務めた方です。
出版元の松居さんへのインタビュー記事
1.「ママがいい!」は親への勲章 記事はこちらから>>>
2.いま、保育園で何が起きているのか 記事は、こちらから>>>
3.乳幼児とかかわる大人の資質 記事は、こちらから>>>

『ママがいい!』を読んだ感想
「0歳児から長時間保育園に預けるのはかわいそう」とか「幼少期は母親と一緒にいるべき」など、感情論や個人の問題を問うのではなく、子どもたちが置かれている現状がどうなっているのかを踏まえ、社会の仕組みや制度、在り方が問題だと警鐘を鳴らしている本書。
「保育が形だけの「仕事」、サービス業になってしまう。」
保育の仕事は決して資格があればできるものではない。幼児20人と一日8時間過ごすことは、愛情と忍耐が必要で、資質・人柄が問われる仕事。誰でもできることではないと。確かに、我が子一人だけでも簡単じゃないのに、毎日20人の子どもたちを大切に扱える保育園の先生たちは、本当にすごい。
「子育てしやすい国づくり」=「保育園を増やすこと」とする考え方にいつの間にか社会が違和感を覚えなくなっている、そこがいちばん問題なのだと思います。
女性の社会進出という言葉が使われるようになったあたりから、母親の役割と父親の役割は違う、ということさえ言いにくくなっていくわけです。
ここで使われる社会進出は明らかに「経済競争への参加」であって、社会そのものではない。
人間は生まれたときに社会の一員になるわけです。そして生まれて数年の間に大人たちの心を育て、心をまとめるという「社会」にとって大切な、代え難い役割を果たしていく。
それを、子育てをしていたら社会の一員ではない、みたいな考え方がなぜ受け入れられるのか。お金で計れることだけが「社会」ではないのです。輪になって踊ることや、一緒に祝うこと、子どもを可愛がることの方が、よっぽど大切な「社会」なのです。
乳幼児たちとの無言の会話、2歳児と手を繋いで歩いたり、眠っている我が子に歌いかけたりすることがどれほどいい人間を育てててきたか、利他という幸せの道筋に貢献してきたか
子どもと一緒にいることで、大人はたくさん元気をもらうしエネルギーをもらう。時にいらいらしてしまったり、落ち込むこともあるけど、子どもは、いつも絶対的な信頼を寄せてくれて無条件の愛を与え続けてくれていると感じることばかりです。
子どもの存在が教えてくれること、子どもたちが親や大人を育ててくれている、その尊さ、大切さを改めて感じました。
「幼児が粗雑に扱われている」
子どもが大切にされてのびのび生きられる社会は、大人にとっても誰にとってものびのびと生きやすい社会ではないでしょうか。
『ママがいい!』を通して子どもの置かれている現状を知り、考えることは、子どものためだけでなく、一人ひとりの尊厳が守られ平和な世界であるためにも必要なことが詰まっていると思います。
ぜひ読んでいただけたらうれしいです!
