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“察して動いて”が人を疲弊させる理由|“説明しない職場”で起きていること

「空気を読んで動いてほしい」

「それくらい察して」

「普通そこまで説明しなくても、わかるよね?」

こういう言葉が増える職場ほど、人は静かに疲弊していきます。

なぜなら、そこでは"仕事"ではなく、"相手の頭の中を読むゲーム"が始まっているからです。

"察して動いて"の正体

一見すると、これは「主体性を求めている言葉」に見えます。

でも、実際には、

  • 判断基準が共有されていない

  • 期待値が説明されていない

  • 優先順位が不明

  • 完成イメージが曖昧

  • 確認タイミングが決まっていない

という状態のまま、「いい感じにやって」ということを求めていることになります。

つまり、"自走"ではなく、"推測"を要求されている状態です。

私が経験したこと

以前、新しい週報入力運用が始まったことがありました。

入力項目には、

  • 今週の目標

  • 成果

  • 作業履歴

  • AI活用内容

  • 削減効果

などが並んでいました。

ただ、実際にはチームに混乱を生みました。

なぜなら、「どこまで書けばいいのか」が誰にもわからなかったからです。

例えば、

  • 成果とは何を指すのか

  • 数値化できない業務はどうするのか

  • AI削減効果はどう計算するのか

  • どの粒度で書けばいいのか

  • どの項目が必須なのか任意なのか

こうした前提説明がありませんでした。

結果として、1人は未入力。もう1人は目標だけ入力。

その後に来たのは、上司からの「ちゃんと報告してください!」というお叱りの連絡でした。

でも本質は、「サボっていた」ではありません。

多くの人が、"入力できない状態"に置かれていただけです。

人は「わからない」と言えないと止まる

さらに苦しかったのは、「どこがわからないのか」を相談しづらい空気でした。

聞けば、
・「それくらい察して」
・「なんでイチイチそんな細かいことが経営者である俺があなたに言わないといけないわけ」
という空気が返ってくるのはチーム内のだれもがわかっていたため、
聞かなかったのではなく、聞けなかったのです。

そうやって、人は、確認できなくなります。

すると次第に、

  • 様子見する

  • 動きが遅くなる

  • 最低限しか書かなくなる

  • 黙る

  • 思考停止する

という状態になっていきます。

"察して文化"は優秀さではなく、恐怖で回っている

ここを勘違いしている職場は多いです。

・「うちは阿吽の呼吸で回ってる」
・「言わなくても動ける人が優秀」

そう考えています。私の上司もそうでした。

しかし、実際には、それって"怒られないために空気を読み続けている"だけだったりします。

つまり、主体性ではなく、"萎縮"で回しているにすぎません。

説明コストを削ると、現場の疲弊コストは増加

説明を省略すると、指示したほうは一時的には楽です。

でもその代わり、

  • 確認コスト

  • 解釈コスト

  • 推測コスト

  • 心理的不安

  • やり直しコスト

が全部、現場側にのしかかります。

しかも、このコストは目に見えないので、非常に気づきにくいです。

だから、「なんでできないの?」だけが残ってしまいます。

でも本当は、"説明不足のツケ"を現場が払わされているだけのことも多いです。

そういう職場が軽視するもの

Googleの研究でも「安心して確認できる空気」が重要と考えているようです。

Googleの「プロジェクト・アリストテレス」では、成果を出すチームに共通していた最大要素として、"心理的安全性"が挙げられました。

つまり、

「わからない」
「確認したい」
「それってどういう意味ですか?」

を安心して言える空気です。

逆に言えば、"察して動け"が強い職場ほど、心理的安全性は下がっていきます。

本当に必要なのは「察する力」ではない

必要なのは、

  • 前提共有

  • 判断基準共有

  • 途中確認

  • 質問歓迎

  • 認識ズレ修正

です。

つまり、"説明しなくても動ける人"を求めることではなく、"説明できる設計"を作ることです。

まとめ

"察して動いて"

が増える職場ほど、人は疲弊します。

なぜなら、そこでは仕事ではなく、「相手の頭の中を当てるゲーム」が始まるからです。

そして、この状態が続くと、人は考えなくなり、確認できなくなり、静かに黙っていきます。

だから本当に必要なのは、「もっと察して」ではなく、「もっと共有する」なのだと思います。

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