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わたしがうつ病になったわけ #15

キャンプに出かけたのに、大雨に見舞われた。とんでもトラブルにも自ら突っ込んで行くも、なんとなく楽しかったというのが前回のお話。

人にとって一番ワクワクして楽しいことって、妄想している時だと思うこの頃。

旅行も実際に行く時より、旅行雑誌を見ながら、こんな所あるんだ! 行ってみたいなぁ。
このレストラン美味しそう! 限定品もあるんだって!
こんな景色の中で過ごせたら素敵✨

そんな妄想の中を旅行しているときが、たまらなく楽しい。

人は未知のものに恐怖を感じる生き物なのに、素敵そうな物のチラ見せをかまされると、途端に想像力が発動して、現実よりもキラキラした世界を思い描いてしまう。

小学生のときのわたしにとって、そんな妄想を止めれない、ワクワクスポットと言えば、文房具店だったのです。

100円を握りしめて行く竹花

わたしには、色に反応するという特性があります。
特定の色を見ると目が離せなくなってしまう。
その色とは「パステルカラー」

夏の虫は光に飛び込んで行きますが、わたしピンクや水色、エメラルドグリーンを目にすると、色という名の掃除機に吸い寄せられてしまう。

最初にその性質に気づいたのは、ディズニー版アニメを絵本にした「不思議の国のアリス」

とにかくディズニーの絵は、色の透明感が半端ない。
アリスのワンピースやイモムシ姉さんのムチムチボディーの光沢のある色合い。
まさしく本に穴が空く勢いでジーッと見入ってしまうのです。
完全に色でトランス状態。
妄想が止まらない。
水色のワンピースは空の色を溶かし込んだ色。白っぽいところは霧のミルクを垂らして混ぜた色。だから、ミルクの喉越しみたいに、色を飲み込んでも柔らかくて細胞に染み込んでくる。

色から景色、感触、時に自然界の音として再現されていく。
そんな風だから、パステルカラーのかわいいものが溢れている文房具店は、夢の旅への扉がたくさん待っている魅惑の場所だったのです。

当時小学校の近くにあった文房具店「竹花」
そこがわたしのマジックプレスでした。

おまけに子どもだからこそ、大人買いっていうものができないわけで、たった一つの消しゴムを買うのにも、ものすごい時間をかけて選ぶわけです。

このピンクの消しゴムのクマさんの絵は、みんながお花畑で遊んでいて楽しそう。
緑の消しゴムのクマさんは、蝶々がたくさん飛んでいて、みんなでお茶会なんてしていて幸せそう。
黄色の消しゴムは星の魔法スティックを持っていて、夜空が素敵。
水色のは水着を着て、海にいるじゃん。空の青が消しゴムにつながってる!

ってな具合です。
一つ一つの消しゴムの色に選び難い魅力を感じ、消しゴムの周りの紙に印刷された絵にも、止められない妄想ストーリーも感じてしまう。
たった一つを選ぶなんて、なんて難しい要求をするんだ!
小学生が苦悩して身もだえしていたわけです。

当時流行った、めっちゃ欲しかったもの

やはり同じように文房具に目のなかった小学生たちによって、竹花には各種のブームが起きていました。

その一つが「におい玉」
今思えば、あんなものがなぜ欲しかったのか分からないのですが、当時のわたしにとっては、魔法使いが秘密の宝玉を求めるように、喉から手がでるほど欲しかったものが「におい玉」でした。

ガラスの小さな瓶に、丸い透明なゴムの玉が入っていたのです。極小のスーパーボールのようなものです。
におい玉には、様々な種類があって、ピンクはイチゴの香り。みどりはマスカットの香り。黄色はレモンの香り。紫はグレープの香り。
透明な瓶には小さなコルクの栓もしてあって、魔法グッズぽい雰囲気もある。

一瓶100円。
色と匂いを何度も確認しながら、たしか紫とピンクを購入。

勉強机の棚に並べて、しばらくウキウキした日々を送ったものです。
でも、美しいものは実は手に届かないからこそ美しい。
その事実を知ったのも、このにおい玉での経験が初めてでした。

あまりに美しさに瓶の中から、一つの玉を取り出したわたしは、何度も掌で転がして眺めていて、気づいてしまったのです。
瓶の中では煌めくクリスタルのように見えていた「におい玉」はただのゴムやないか…

確証を得るために、漢字の書き取りをしていたノートの文字をにおい玉で擦る。
すると、汚く痕を残しながら文字が消えたのです。
しかもにおい玉も黒い痕をその身の上に残し、まん丸の形から歪んでゴムのカスをつけた姿に。

美しい妄想の姿がもろくも崩れ去った瞬間でした。

おにぎり消しゴムも流行ったね

今や100円ショップで買える(と思う)おにぎり消しゴムも流行ったものの一つでした。
シャーペンの芯を二つ買うと、おにぎり消しゴムが一つもらえるというもの。

三角形のおにぎりをあけると、中には具材がさまざま。
うめ、さけ、こんぶ、たらこ、いくら。

これも欲しかった。
日常の中でみるおにぎりが、まさか可愛い消しゴムとなって現れるとは!!
わたしは梅がほしかった。

でもこれも途中で幻想が覚めるのです。
またしても余計な手を加えた結果。

やっとこさ、何度目かのチャレンジで梅干しの入ったおにぎりをゲット!
でもおにぎりを開けてみると、ただの赤い丸い消しゴムが入っているだけであることに、わたしは不満を持ったのです。

そう、欲しいと思っていた間に、わたしの脳内梅干し君には、かわいい目と口が出現していたのです。
そこで手に取ったマッキー。
小さな梅干しに、頭の中にあるのと同じ、キラキラした目を描こうとしたのです。
でも、天然ピカソ画伯であるわたしに、少女漫画のようなキラキラお目目が描けるわけがありません。

できたのは、ゴマの瞳にまつ毛が生えた、不気味に口角を上げた梅子ちゃんだったのです。
またしても夢は崩れ去り、消しゴムは引き出しの奥底に眠ることになったのでした。

今でも妄想癖は変わっていない。
そのうえ大人になって、大人買いができるから性質が悪いかもしれない。
昔買えなかったものを、全部買いしてしまう。

この頃の大人買いは「絵本」

何を買ったのかは、また別のお話にしておきましょう。

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