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#110 この子は本当に『学力が低い』のか?―真の学力について

テストの点数が伸びない。
漢字がなかなか覚えられない。
計算ミスが多い。

正直、親としては心配になります。テストの点数は『できているできていない』、がはっきりと分かるので、『学力が高い、低い』という言葉で表現し易いです。

でも、私はそのたびに思うのです。

その子は本当に『学力が低い』のでしょうか。

もしかすると私たち大人は、「学力」という言葉の意味を少し狭く捉えすぎているのかもしれません。


大切なのは知識をどう使えるか

もちろん、テストで点数が取れることは大切です。分かりやすく自信につながります。

知識がある方がよい。
計算ができる方がよい。
文章が読める方がよい。

これは間違いありません。私自身もそう思っているし、そうだといいな、とずっと思っています。だからこそ大人になっても、知識を得るため、スキルを高めるために勉強を続けています。

しかし、現代社会で求められる学力は、それだけではありません。

これまでの教育では、「どれだけ知識を覚えているか」が重視されてきました。

しかし今は、だれもが簡単に世界中の知識にアクセスできる時代です。AIは人間よりも速く計算し、膨大な情報を瞬時に整理します。

そんな時代だからこそ、本当に大切なのは、「知識を持っていること」ではなく、「知識をどう使うか
になっています。


学力を支える3つの力とは?

現代の学力は次の3つの力で成り立っていると考えています。

① 覚える力(知識・技能)

漢字を覚える。
計算ができる。
知識を身につける。

いわゆるテストで測られる学力です。基礎としてとても大切です。学力の一部分ですが、間違いなく大切な力だと思っています。これがなくてもよいとは言えません。土台があるから、根があるからその先が豊かなものになります。

使う力(思考力・判断力・表現力)

学んだ知識を使って考える。
複数の情報を結び付ける。
自分の考えを伝える。

これからの社会でますます必要になると考えている力です。

生きる姿勢(学びに向かう力)
そして私が最も大切だと思うのが、この力です。

失敗しても諦めない。
分からないことを調べる。
人に相談する。
仲間と協力する。
挑戦し続ける。

こうした力はテストではなかなか測れません。
ですが、人生を通して学び続けるためには欠かせない力です。


氷山の下に隠れているもの

学力はよく氷山に例えられます。
テストの点数は、水面から見えている部分です。

私たち大人はつい、その部分ばかりを見てしまいます。

80点なら安心。
50点なら不安。

けれど、水面下にはもっと大きな世界があります。

粘り強さ。
主体性。
好奇心。
協調性。
自己肯定感。
挑戦する勇気。

実はこうした力こそが、見える学力を支えている土台なのです。


私たちは何を見ているだろう

授業中、「先生、ここが分かりません。」と質問できる子がいます。

友達の説明を一生懸命聞いている子がいます。
失敗しても何度も挑戦する子がいます。
興味を持ったことを夢中で調べる子がいます。

こうした姿を見たとき、私は学力の芽を感じます。
なぜなら、それらはすべて未来の学びにつながる力だからです。

実際、教師をしていると、小学生の頃は決して成績上位ではなかった子が、中学生、高校生、社会人になって大きく成長していく姿を何度も見てきました。悲しいことに、逆も然り。

その子たちに共通しているのは、最初から頭が良かったことではありません。

学び続ける力を持っていたことです。


子どもの学力を伸ばすのは、大人の学力観

私は、

子どもの学力を伸ばせるかどうかは、親や教師がどのような学力観を持っているかに大きく左右される

と思っています。

点数だけを評価すれば、子どもは点数だけを追うようになります。失敗を責めれば、挑戦しなくなります。結果だけを見れば、努力の価値を見失います。

一方で、

挑戦したことを認める。
粘り強さを認める。
工夫したことを認める。
仲間を助けたことを認める。

そうした関わりを続けると、子どもは自ら学ぼうとするようになります。

教育とは、知識を詰め込むことではありません。

学び続ける人を育てることです。


もし今、「うちの子は学力が低いのではないか」と悩んでいる保護者の方がいたら、ぜひお子さんの別の姿にも目を向けてみてください。

何に夢中になりますか。
どんなことを頑張っていますか。
どんな優しさを持っていますか。
どんな失敗から立ち上がっていますか。

そこには、テストでは測れない大切な力がきっとあります。学力とは、今どれだけ知っているかではありません。

これからどれだけ学び続けられるか。
それこそが真の学力
なのだと思います。
今日も読んでくださり、ありがとうございました。


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