【仕事術】「1分」の確認を惜しむ人が、「1日」を棒に振る
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
生産性を上げる――。
限られた人数の中で、売上と利益を上げていくために必須の経営ニーズであり、生成AIが台頭としてきても常に求められる、いやさらに加速する経営ニーズだといえます。
ただ、生産性を最優先するあまり、それなりに罠が存在するので注意が必要だと警鐘を鳴らす人物がいます。
そう警鐘を鳴らすのが、日本を代表する保険グループ、SOMPOホールディングス株式会社グループで39年間、経営の最前線でリスク管理に携わり、グループCRO(最高リスク責任者)を務めた伊豆原孝(いずはら・たかし)さんです。
伊豆原さんは、新刊『仕事のミスは、この思考で9割防げる』の中で、【「1分」の確認を惜しむ人が、「1日」を棒に振る】と題して、生産性を最優先するときに潜む罠について解説しています。そこで今回のnoteでは、同書の中からその該当箇所を一部編集して公開します。

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忙しい現場では、「とにかく先に進めること」が優先されがちです。立ち止まって確認するよりも、少しでも早く次の作業に進むほうが、生産的に思えるからです。
・メールを送る前の宛先確認。
・資料を提出する前の数字チェック。
・約束の時間や場所の再確認。
どれも、かかる時間はせいぜい1分程度です。それでも、その1分を惜しんでしまう場面は、誰にでもあります。
こちらに非がなくても、トラブルは発生する
これは、自分に責任があるとは言えない場合も例外ではありません。
ある人と面談の約束をしていたときのことです。事前に日時も場所も決め、先方からも了承を得ていました。当日は、その約束どおり先方を訪ねました。
ところが、応対に出てきた方の反応が、どこかちぐはぐでした。話を聞くうちに、相手がその約束をすっかり失念していたことがわかりました。
結局、その日は面談できず、そのまま引き返すことになりました。
こちらに非はありません。約束は、確かに成立していました。それでも、移動時間も含めて、半日という時間が何の成果もなく失われました。
後から振り返れば、原因は明らかでした。
訪問前に、
「明日◯時に伺います。よろしくお願いします」
そんな確認のメールを一本入れていれば、避けられた事態です。
確認したほうがいいことは、わかっていました。もっと正確に言えば、「相手が約束を失念しているかもしれない」というリスクについて、まったく考えていなかったわけではありません。
頭の片隅では、
「念のため、一本メールを入れておいたほうがいいかもしれない」
そんな考えが、確かによぎっていました。
それでも、私はこう考えました。
「〇〇さんのことだから、大丈夫だろう」
「わざわざ確認するのは、相手を疑っているようで失礼ではないか」
そうやって、自分なりにもっともらしいストーリーをつくり、あえて見ようとしなかったのです。
結果は、先述のとおり。その日一日が無駄になってしまいました。
都合の良い解釈がミスを生む
ここで起きていたのは、判断力の欠如ではありません。また、経験不足でもありません。
問題だったのは、「確認しなくても大丈夫だろう」という思い込みと、それを正当化するための自分なりの都合の良い解釈でした。
確認しないほうが、その瞬間は楽です。立ち止まらずに済む。余計な気遣いをしなくていい。自分の判断を疑わなくていい。
しかし、その「楽さ」は、後から別の形で跳ね返ってきます。
やり直し。時間のロス。信頼の低下。
1分を惜しんだ結果、失われるのは1分では済まないのです。
リスク管理というと、大きな危機や想定外の事態を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし実際には、こうしたごく小さな確認を惜しんだことの積み重ねが、大きな時間損失やトラブルにつながるケースは少なくありません。
リスク管理とは、何事にも疑いを持つことではありません。また、相手を信用しないことでもありません。
たった1分、立ち止まって現実を見直す勇気を持てるかどうか。その微差が、結果的に大きな差につながります。
〈著者プロフィール〉
伊豆原 孝(いずはら・たかし)
元SOMPOホールディングス株式会社グループCRO執行役員(最高リスク責任者)。元・一般社団法人日本損害保険協会常務理事。大阪府立北野高等学校を経て京都大学文学部卒。国際大学大学院国際経営学研究科(MBAコース)修了。日本を代表する大手保険グループおよび業界団体の第一線で39年間にわたって活躍し、特にERM(統合的リスク管理)を専門とする。米国格付会社Standard & Poor’sによるERM評価では、日本の保険会社として当時最高ランクとなる「Strong」の獲得に貢献した。「月曜日が待ち遠しい社員であふれる社会」の実現を目指し、60歳にして社会保険労務士の資格を取得。現在は、企業の組織づくりや管理職育成を支援するマネジメントコーチとして活動するほか、リスク管理・コンプライアンスと組織マネジメントを融合した研修・講演を全国で行っている。人が生き生き働く組織づくりを学ぶオンライン講座「ひといき会」主宰。一般財団法人日本プロスピーカー協会認定シニアプロスピーカー。神奈川県藤沢市在住。休日は妻と合唱や海辺のランを楽しんでいる。
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いかがですか?
著者の伊豆原孝さんは言います。
仕事で本当に差がつくのは、「問題が起きた後の対処」ではありません。問題が起きる前に、その兆しに気づける人です。仕事で成果を出し続ける人ほど、「見たくない現実」を冷静に見つめています、と。
本書で身につくのは、単なるミス防止術ではありません。人生とキャリアを長く守り、成果を積み重ねていくための「一生使える思考法」です。
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