見出し画像

#735_#エッセイしりとり_いちばん冷たいおまじない

この記事は、マイキー🐣さんの企画への参加記事です。
密かに文章の先生と崇めている、さぼぼん🌵4児パパさんからのバトン、「い」で始まるタイトルで、エッセイをお送りします。

#エッセイしりとり

noteの記事が思うように書けないところに、渡りに船です🤭

小説用に温めていた企画をエッセイ風にしました。
そのうち、物語にしようと思います。


いちばん冷たいおまじない

〜ひかちゃんの『てって』〜

(約 1,400 字)

光里が3歳になったばかりの冬。
みんなでストーブを囲んで寛いでいました。

6歳年上の兄と、4歳年上の姉、光里ひかりはみんなのアイドル。
「女の子に間違えられたくない」と、長く伸ばしていた髪を切る、少し前のこと。

兄はマンガを、姉は父の書棚から文庫を、母はお気に入りの雑誌を眺めていたときです。

「きゃーーーーー」
光里が突然、火がついたように泣き出しました。
聞いたことのない、悲鳴のような泣き声です。

すぐさま、近くにいた姉は慌てて本から顔を上げ、
光里の手の先を見ると、そこにはストーブが。
咄嗟に光里を抱き抱えて、ストーブから離しました。

光里の小さな『てって』は小さなエクボが4つあります。
中指の付け根のところがポツンと、赤くなっていました。

姉は階段を降りて、光里の手を冬の冷たい水につけました。
すると今度は、冷たくて痛いと泣きます。
その時、姉は思いました。

「イヤなことをさせた……またわたしが悪者になる」
本当は刺すように冷たい水になんか触らせたくない。

でも水から手を離すとすぐに痛みが出ます。
何よりも、跡には絶対に残したくないと思いました。

関係の無いところを冷やせばただ冷たいだけ。
本で読んだ「凍傷」のことを思い出して、
今度は冷凍室から保冷剤を出してきました。

「お母さん、これ使おうよ」
母は姉から保冷剤を受け取り、光里の手につけました。
すると不思議と光里は泣き止みます。

「やっぱり、なんでもお母さんなんだな……」
姉はちょっぴり寂しくなりました。
でも、泣いていないなら、治るのならそれでいいと思いました。

──それから30年。

光里は姉とばあちゃんの家の台所にいました。

「光里、これ剥いてくれる?」
姉はジャガイモを指差しました。

「……え、どうやって剥くの?」
光里はジャガイモをまじまじと見つめて真顔で言います。
姉は一つを剥いて見せました。

「まさか、普段ホントに何もしてないの?」
「う、うん……」
「少しずつ手伝うとか?買物とか、食器洗いとか」
「いや、いいよ」
「はあ……」姉は半ば呆れて言います。

光里はしばらくして、テキパキ動く姉を見て言いました。
「料理って、どうやんの?」
「材料を先に切って、火を通して、それから味を整える、とか?」
「そーなの?」
「うん。全部それでいけるよ、火を入れてる間に片づけるの」
「へぇ……やってみようかな」
姉は手元をちらりと見て、押し黙りました。

「料理はちょっとやってみたいんだよね」
光里は料理には興味があるのねと、姉の母親スイッチが入ります。

「そろそろ終わる?ジャガイモ、お鍋に入れたいな」
「あ……」光里はすっかり手が止まっていました。

「そんなに握ってたら手の中で茹で上がっちゃうよ」
「え、めんどくさい……」
「自分たちのご飯だもの。はい、文句を言わないで剥く」
「しょーがないな……」
今度は母が、お姉ちゃんには素直なのね、と笑います。

──ねえ、それより。左手見せて。いや、反対側。中指のとこ。
姉は光里の手を取りました。
エクボがずっと変わらないと思い、恐る恐る手の甲を見ました。

「なに?なんかあるの?」
「え、覚えてない?」
「ん?」
「3つの時、ストーブでヤケドしてギャン泣きしたの」
「いや、全然覚えてない」
「そっか……」

光里の手は冬の寒さと仕事で手荒れをしているだけで、
ヤケドの痕はすっかり消えていました。

真っ白な肌と、赤いくちびる、赤い服。
満面の笑顔で、伸ばした髪を耳にかけて。

いまも、肌の白いのは変わらない、ゴツゴツの大きな手──

<了>


次にバトンを受け取られる方は……

8/31締切のようですが、臆せずに回したいと思います☺️
いつも読ませていただいている、このお二方にバトンをお渡ししたいと思います。

「いちばん冷たいおまじない」から、「い」で始まるエッセイをお願いしたいと思います😊

「#エッセイしりとり」コンテスト2026夏の陣はじめます

引井田飯子(ぴいたぱんこ)さん

福島太郎さん

ちなみに、私と一緒にバトンを受け取ったのはTIDEさんでした☺️

今回、記事のレイアウトをさぼぼんさんにお借りしました。
スッキリとして読みやすいですよね☺️

素敵な企画と、バトンのお渡しをありがとう御座いました😃
バトン企画には初めて参加しました。
こんな記事で大丈夫でしょうか👀

記事をお借りした方々、通知がたくさん行っていましたら申し訳ありません。書き忘れがあり、何度か記事を再編集しました🙏

<了, 約 2,000 字>
執筆:40分、推敲: 40分
日付をまたいですみません💦

Image Creator(MAI-Image-2e)です
記事をお読みいただいてありがとうございます😊

▶ほかの記事をお探しですか?(記事検索)
すべての記事:人気、急上昇、新着、定番など

いいなと思ったら応援しよう!

久藤 あかり | はじめまして! スキ、コメントが1番うれしいです。私の記事を元にあなたの記事を書いてもらうのも大歓迎!心が動く言葉はありましたか?ご感想お待ちしています😊