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旅の計画と、「Tシャツが乾くまで」。 /エッセイしりとり「た」

9月のシルバーウィークにもっさり(彼)の九州出張と合流して旅行をすることになった。行き先は念願の長崎。

シルバーウィークなので早めに宿を取っておかないと宿泊できない可能性がある。旅行を決めた当日、二人で宿泊先を検索していた。

「別々の部屋でいいやろ?」
もっさりから耳を疑うようなワードが飛び出す。いや、以前にも言われた記憶がある。
「なんで別々の部屋なん?」
「寝るだけやし、シングル2つの方が(予約)取りやすいんや」

シングル2部屋より、ツイン1部屋の方が安い。
ツインの部屋も普通に空いている。

「ツインの部屋も空いてるで」
そう言うと
「宿は俺が取るから黙っとけ。ああ、ここは2部屋空いてないわ」
ともっさり。
何かがプツンと切れた私はこう言った。
「別々の部屋なんやったら、別々のホテルでいいんちゃう?」
「おう。その心意気、なかなか気に入ったで!」
と笑みを浮かべるもっさり。

もう、好きにしろ。と放置していると、結局 ツインを1部屋予約していた。
私の不機嫌を察して折れたのだろう。

それから2週間ほどが過ぎ、新幹線の予約開始日。

長崎へは新幹線で新大阪から新鳥栖へ行き、特急リレーかもめに乗り換える。そこから武雄温泉に行き更に西九州新幹線に乗車する。もっさりとは新鳥栖で合流するので、まずは新鳥栖まで1人分の新幹線を予約。
新鳥栖から長崎まで、2人分の特急と新幹線を予約すると もっさりに伝えると
「(新鳥栖から長崎まで)同じ電車には乗るけど、席は別々で行こう。で、長崎駅で「こんにちは」でいいやろ」
と言われる。

同じ列車で、別々の車両に乗車する。道中も旅行じゃないのか?
私がワーワー言うもんだから、結局またもっさりが折れて、私は横並びの席を予約した。


ホテルも、列車も別々がいいと言うもっさりに、それならば観光もお互い行きたいところへ別々に行けばいい。なんて、私の中の意地悪がムクムクと湧き上がって来たりもする。
一緒が嫌なら私を誘わずに、ひとり旅を満喫すればいい。

でも、旅行に誘ってきたのはもっさりだ。

週末 2人で一緒にいても1人になりたくなるもっさり。1人になる時間がないと、ストレスで爆発してしまうのだろう。
観光は一緒にしたいけど、それ以外の時間は離れていたい。そう言うことなんだろうと分かっている。
でも、せっかく2人で行く旅行なのに、と私は考えてしまう。

そんな中、ドラマ『Tシャツが乾くまで』のみつる(松山ケンイチ)を見て、私はもっさりを思い出した。中年だし、お腹は出ているし、髪の毛は少し薄くなっているし、松山ケンイチとは似ても似つかない。

でも、人には言えない自分の世界があって、そこには誰も入って欲しくなくて、その事を人に言うことすら躊躇っていて、どんな好きな人とでもずっと一緒にいるのはしんどくて、でもそれは嫌いだと言う意味ではなくて。
(もっさりはそう言うところも言ってくれている)

一方 私は、好きな人には何でも話したくて、自分の駄目なところとか、そう言うのも曝け出して、それでもいいって思ってもらえる人と一緒にいたい。
自分の欠点を後から知られる方が怖いし、隠しているのがしんどい。

でも、そう言う私だってかつては自分の嫌なところが見えないように見えないように隠していた。

「汚したくなくてお気に入りの服なのに全然着てないみたいなこと? 思いっきりミートソース飛ばしながら美味しねって一緒にパスタ食べる方が家族って感じするけどな。汚れたら洗えばいいじゃん。私 洗濯苦手だけど、染み抜きは得意だよ」

「分かってる」

「染み抜き得意なこと?」

「ちょっとずつ、間違ってたこと。汚れる前に捨てて、新しいの買って、そうやって生きてきちゃったから。汚したくないし捨てたくないってなったら、どうしていいか分かんなかった」

Tシャツが乾くまで 第7話 咲子と充の会話より


何年も着ていれば、いつかは汚れて取れないシミができるかもしれない。
汚れた時は悲しいけれど、
「このシミ、あの時一緒にミートソース食べた時のだね」
って笑いながら言える日が来る。


でも、何が正しいのかなんて分からない。
どちらの気持ちも分かる気がする。


長崎の次の旅行はもっさりの希望通り、同じ列車の別の車両で、同じホテルの別の部屋を予約しよう。

他人には理解されないかも知れないけれど、もっさりと私は私たちなりの付き合い方をすればいい。
こうだからこうしないといけないなんて無い。


そして今日のTシャツが乾くまでが待ちきれない。


関係ないけれど、もっさりは私から見ればまだ着れる服や下着をポイポイ捨てて新しいものを買っている。何だかみつるの台詞そのままで、ちょっとびっくりしている。


田中弥三郎さんからの突然のメッセージ。何事かと思ったら、エッセイ
しりとりのお誘いでした。

武田砂鉄さんの「頂いた依頼は断らない」精神で、参加させて頂きました。


【ルール】

  • 前走者の表題のお尻から始まる表題「た」または「だ」
    →ですが、私からはバトンは回しません。

  • ハッシュタグ『#エッセイしりとり』をつける

  • 可能であればバトンを1〜2人にまわす(ルール変更だそうです)

  • どうしても忙しかったらパスでOK

  • 文字数は 140〜3,000 程度2026年8月12日〜8月31日23時59分まで

↓ 発信源&詳しくはこちら↓


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