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銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 │ (86)第74話「前途遼遠」

OVA「銀河英雄伝説」で使われているクラシック曲をGoogleスプレッドシートにリスト化し、Webサイトで公開しています。
🔗 銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 Musik und Szenen – ein Strauß gelber Rosen

このnoteではBGMを軸に、曲のことや物語のこと、ミッターマイヤーのこと、そのほか銀英伝に関するいろいろを書いていきたいと思います。
⚠️ネタバレを含みます。

今回は第74話「前途遼遠」です。
前途遼遠とは、目的地までの道のりが非常に長いこと。また、目的の達成までの時間が長くあること。


あらすじ

ラインハルトは自らがイゼルローン回廊でヤンとの決戦を望むも、周囲に諫められ断念。一方イゼルローン要塞ではヤンたちがユリアンの持ち帰った地球教の資料を検証し、フェザーンとの結びつきに驚く。同じころ、ロイエンタールに不穏な動きがあるとの報告がラインハルトに届く。


曲について

⬜オープニング「Sea of the Stars」

歌・作詞 LISA / 作曲 川辺真 / 編曲 風戸慎介


01:30 ベルリオーズ《幻想交響曲 第4楽章「断頭台への行進」》
――イゼルローン要塞再々奪取作戦

H. Berlioz – Symphonie fantastique, Op. 14: IV. Marche au supplice
第4楽章の頭から1/3ぐらいのところ、リハーサル番号53。

出典: Berlioz, Symphonie fantastique, Op. 14. New York: Edwin F. Kalmus, n.d. IMSLP (International Music Score Library Project) https://imslp.org/

🎧曲を聴く 42:15
断頭台…なんですが、この部分はなんだかスポーツ大会の入場行進みたいです。甲子園みたい。華やかな力強い行進曲です。

それぞれ違う箇所ですが、4楽章が使われているのはこちら
▻第085話「遷都令」9:30 ボルテック逮捕
▻第104話「平和へ、流血航路」10:23 騒乱の発生
▻「白銀の谷」Kap.Ⅳ 16:25 勝ったラインハルト

というわけで、初登場のベルリオーズ『幻想交響曲』です。
ベルリオーズは、シェイクスピア観劇をしたときに出演していた女優ハリエット・スミッソンに恋をします。とはいえ二人に面識はほとんどなく、想いは届かないまま失恋に終わります。その恋は彼の中で次第に理想化され、やがて抗いがたい情熱へと変わっていきます。そしてその経験をもとに作られたのが《幻想交響曲》だそうです。

曲の内容をざっくりと…
主人公=芸術家。モデルはベルリオーズ自身。
第1楽章「夢、情熱」 恋に落ちて妄想に取りつかれる
第2楽章「舞踏会」舞踏会でも彼女の幻影ばかり
第3楽章「野の風景」田園でも不安と執着
第4楽章「断頭台への行進」失恋 → アヘンで自殺未遂 → 幻覚→ 自分が恋人を殺して処刑される夢
第5楽章「魔女の夜宴の夢」魔女の夜宴で恋人が醜い姿で現れる

結果として、現実では二人は結婚したのだそうです。
しかし実はそのハリエットに一目ぼれしてから最終的に結婚する前、彼には別の恋人がいました。が、その女性の母は娘を別の男性のもとへ嫁がせてしまったため、ベルリオーズは母子に女装して近づき、殺害して自殺しようと企んだこともあったようです…(途中で女装グッズをなくして断念)。
つまり、やばい人なんですね。やばい人ではあるけれど、それを芸術に変換した人なわけですね。

このあと、5楽章が出てきます。
他には、1楽章、3楽章が使われます。

02:30 (曲なし)
――🐺ラインハルトを説得する提督たち

イゼルローン要塞奪還は臣下に任せて、フェザーンへお帰りくだされと説得する双璧とヒルダ。
ここで原作では、ロイエンタールの複雑な気持ちがちらっと書かれています(7巻第7章Ⅳ)。でもこのときの彼の諫言じたいは心からのものだと。
ミッターマイヤーについては、ラインハルトの発熱を心配していた、とそのまま書かれています。


03:30 ブラームス《交響曲第3番 第2楽章》
――ヒルダの意見

J. Brahms – Sinfonie Nr. 3 F-Dur, op. 90: II. Andante
2楽章頭から。優しい柔らかい落ち着いた曲。クラリネットのメロディー、ちょっと「まっかだな」と似ていますね(?)。
🎧曲を聴く13:07

ヤンの読みはほんとうにすごいと思うけれど、ヒルダさんも相当すごいのでは。ミッターマイヤーも「彼女の智謀は一個艦隊の武力にも勝る」と言っていましたね。大学で政治を学んで(たしか)、専門的な知識ももっているでしょうし、ラインハルトへの進言、つまり彼女の「読み」はあたり続けている。あたたかな家庭で育ったからか、帝国貴族にありながら、倫理的にもまともだし。
でもそう考えると、幼年学校を出ただけで正しく統治できるラインハルトもやっぱりすごい。もちろん勉強もしたんでしょうけれど、知識だけでは説明できない何かがあるのか…? 天才とはそういうことなのでしょうか。


07:05 ショスタコーヴィチ《交響曲第8番 第5楽章》
――シェーンコップとカリンの対面

Д. Д. Шостакович – Симфония №8, ор. 65: V. Allegretto
ユリアンの視界にカリンが現れたところで5楽章の頭のほう、リハーサル番号128の7小節目、花が咲いたような華やかなメロディーが流れます。そして静かな優しい音楽が続きます。戦争交響曲の終楽章ですが、出だしはこのように穏やかです。
🎧曲を聴く 51:41

8番の5楽章は、あとはこちらのみです。
▻第080話「回廊の戦い(中編)–万華鏡–」16:18ヤン艦隊の対抗

12:55 ショスタコーヴィチ《交響曲第15番 第4楽章》
――ポプランとカリン

Д. Д. Шостакович – Симфония №15, ор. 141: IV. Adagio – Allegretto
リハーサル番号150から、コーダ部分。終楽章のコーダなので、曲の最後の最後ということになります。
うすーく弦楽器が鳴る上に、打楽器がポコポコ響く不思議な終わり方。
🎧曲を聴く 43:31

ショスタコ最後の交響曲15番は、4楽章のみが使われています。このコーダ部分が使われるのは今回のみ。
他は、頭のほうや、真ん中の部分が流れます。
▻第083話「祭の後」23:30ムライがユリアンに離脱を申し出る
▻第084話「失意の凱旋」15:50回想 どれほど立派な人間でも属している陣営が違えば
▻第104話「平和へ、流血航路」14:23ミュラーがビッテンフェルトに会いに行く
▻「千億の星、千億の光」第7話「初夏、風強し」6:36怖い
…なんでしょう、怖いとは。

14:03 ショスタコーヴィチ《交響曲第8番 第4楽章》
――地球教のディスク

Д. Д. Шостакович – Симфония №8, ор. 65: IV. Largo
頭3小節目、低音の金管楽器がfffでメロディーを鳴らすところから。もう明らかに悪そうな、凶事が起こるような曲。暗くシリアス。
🎧曲を聴く 39:57

4楽章が使われるのは今回と、同じく3小節目からでこちらのみ。
▻第108話「美姫は血を欲す」21:40シェーンコップが負傷
(あわわわわわわわ)

17:30 ベルリオーズ《幻想交響曲 第5楽章「魔女の夜の夢」》
――ルビンスキー

H. Berlioz – Symphonie fantastique, Op. 14: V. Songe d’une nuit de sabbat
ベルリオーズ再び。今度は5楽章頭から。悪そうな曲です。
🎧曲を聴く 47:10

こちらでも使われます。
▻第077話 風は回廊へ5:13ラインハルトとヒルダの会話
▻第077話「風は回廊へ」24:15ビッテンフェルトとファーレンハイト
▻第079話「回廊の戦い(前編)–不敗と常勝と–」4:06メックリンガー艦隊が後退
▻第104話「平和へ、流血航路」1:30オーベルシュタインについての報告が皇帝に入る
▻「白銀の谷」Kap.Ⅲ 6:40フーゲンベルヒに後を追うように命ずるヘルダー
▻「白銀の谷」Kap.Ⅳ 9:04二人で徒歩で行けと命令

ルビンスキーのファッションはなんでしょうか。ロシアの民族衣装ルバシカ? ロシア系の名前ですしね。


20:05 ショスタコーヴィチ《交響曲第10番 第1楽章》
――民主主義の意義を語るヤン

Д. Д. Шостакович – Симфония №10, ор. 93: I. Moderato
1楽章は前回の 第073話「冬バラ園の勅令」9:50シュナイダーとポプラン のシーンでコーダが流れました。今回は頭から。暗く静かでシリアスな曲。低音の弦が長い音を鳴らします。いつもの音量だとちょっと聞こえにくいぐらい低く静かに始まります。
🎧曲を聴く

こんなふうに、音の数が少なく長いですね。

同じく1楽章の頭から流れるのはこちら
▻第108話「美姫は血を欲す」12:00ビッテンフェルトがイゼルローン軍を攻撃
▻第109話「黄金獅子旗に光なし」11:25🐺皇帝の不治の病が諸将に知らされる
▻「螺旋迷宮」第10話「顕微鏡サイズの反乱」18:30パトリチェフが少し変えて説明

さて、この10番が発表されたのは、1953年、スターリンの死の直後。9番で大批判を受けてしまったので、この時期を待たなければいけなかったという説もあるようです。とはいえ、スターリンの死後間もない時期であったためか、この作品の評価はソ連国内でも大きく分かれ、数日にわたる討論が行われたとも伝えられています。
この曲では「D–S–C–H(♭レ–ド–シ–♭ミ)」という音型が使われているのが重要な要素のひとつです。これは Dmitri Schostakowitsch の頭の部分 D. Sch をドイツ音名に置き換えたもので、つまり彼自身のこと。作品の中に作曲者自身の存在を刻み込む役割を担っていると解釈されることが多いようです。
明確に使われるのは3、4楽章です。
次に10番が流れるのが4楽章で、第081話「回廊の戦い(後編)–大親征の終幕–」ですので、そのときに確認したいと思います。



23:44 ショスタコーヴィチ《交響曲第1番 第4楽章》
――一千万人の足をとめた一通

Д. Д. Шостакович – Симфония №1: IV. Allegro molto
リハーサル番号42。半音階で上がり、コーダに向かっていくところ。「たいへんたいへーん!」とでも言いたくなるような、緊迫した雰囲気で、話の終わりと共に終わってエンディングソングに続きます。
🎧曲を聴く 33:54

同じように終わりに流れるのはこちら。
▻第095話「双璧相討つ!」24:15皇帝に叛くにあらず、奸臣どもを討つ
▻第109話「黄金獅子旗に光なし」24:26ドミニクの釈放
4楽章はこの3回のみです。

こちらは楽譜付きの動画、Boosey & Hawkesのオフィシャルです。
31分20秒から(Boosey & Hawkesのチャンネルがあったのかー!)



⬜エンディング「歓送の歌」

歌・作詞 小椋佳 / 作曲・編曲 星勝


BGMリストについて

BGM全曲をスプレッドシートでリスト化し、該当曲がアニメで流れる箇所からYouTubeで聴けるようにリンクを張っています。
今回ご紹介した第74話「前途遼遠」のリストが見られるのは   こちらです。

このnoteをお読みになって曲に興味を持たれた方や、アニメを見て「聞き覚えはあるけれど曲名が思い出せない」「この曲をフルで聴いてみたい」と思ったとき、ぜひご活用ください。


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