銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 │ (9)映画「新たなる戦いの序曲」その4(最終)
OVA「銀河英雄伝説」で使われているクラシック曲をGoogleスプレッドシートにリスト化し、Webサイトで公開しています。
→銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 Musik und Szenen – ein Strauß gelber Rosen
このnoteでは曲のことや物語のこと、ミッターマイヤーのこと、そのほか銀英伝に関するいろいろを書いていきたいと思います。
⚠️ネタバレを含みます。
今回は映画「新たなる戦いの序曲」の4回目、最終回。
戦闘シーンの曲が残りました。偶然にも。
あらすじ
宇宙暦486年。第四次ティアマト会戦後、ヤンは友人ラップからジェシカへの求婚を告げられ、想いを胸に祝福する。一方ラインハルトは武勲により上級大将に昇進。アンネローゼは急速に出世する弟を心配する。帝国軍上層部は彼の勢いを警戒し、ミッターマイヤーやロイエンタールら有能な部下を外して、シュターデン、エルラッハなどを配属する。
曲について
【9】ブルックナー/交響曲第8番 第4楽章
⬜1時間9分 攻撃を受ける同盟軍第2艦隊
ラップがいた第6艦隊も壊滅し、ついにヤンの第2艦隊へ。パエッタ提督が貧乏ゆすりしてます…
ここでは、第8番第4楽章の頭から。
弦楽器が タタッ・タタッ・タタッ・タタッ と装飾音つきの四分音符で、はじめはピアノ(弱く)から急速に音量をあげてフォルティッシモ(とても強く)に移ります。なにかが急速に迫ってきているような、遠近感・立体感があるように聞こえます。そしてそのあと、金管楽器がファンファーレのように鳴り響きます。
いかにも敵が攻めてくるぞ、という感じです。
Feierlich,nicht schnell(荘重に、急がずに)と指示が入っています。

で、ブルックナー…出ました、ブルックナーです。
ブルックナーの交響曲もマーラーと同じぐらいたくさん使われており、この第8番は33シーン、うち4楽章は7シーン。さらにそのうち、今回と同じ頭から流れるのは
▻第043話「ギャラルホンは鳴った」17:24トールハンマーのシーン
です。ロイエンタールとシェーンコップの一騎打ちがある回です。
他のシーンでは、頭ではなく後ろの方が使われています。
▻第44話「フェザーン占領」17:03 ミュラーがミッターマイヤーと合流
▻第63話「聖地」24:02 地に消える地球教本部
▻第64話「休暇は終わりぬ」14:48ワーレンとユリアンが地球を出発
▻「白銀の谷」Kap.Ⅱ 22:25 エンディング
▻「千億の星、千億の光」第10話「真実は時の娘」 23:22イゼルローン決戦前
【10】チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」第3楽章
⬜1時間15分 帝国軍 紡錘陣形で突入
「悲愴」というタイトルがついている6番ですが、3楽章は勇ましいマーチです。ここで流れるのは頭からではなく、盛り上がっている2/3ぐらいのところ。
付点音符の軽やかなメロディーが流れます。フルートです。
チャイコフスキーの交響曲は全6曲。この6番はチャイコフスキー自身も最高傑作と言っていたそうです。
銀英伝では、この6番の1から4楽章すべてが使われており、それぞれの頭のところを流しただけで、あー、これあったなーと思い出します。41話以降と外伝「奪還者」「螺旋迷宮」「千億の星、千億の光」で使われており、つまり物語が佳境にはいっているところですし、そして私もどっぷりはまっている状態で聞いたというのもあるかもしれませんが、やっぱり印象深い曲なのだろうなと思います。
みなさん、チャイコフスキーは、バレエの「白鳥の湖」のあの曲や、ディズニーの「眠れる森の美女」のテーマソング(歌詞はあどづけで、メロディーはチャイコフスキーなんですよ)、「くるみ割り人形」など、なじみのある曲ばかりだと思います。
チャイコフスキーはクラシック音楽の作曲家のなかでも、屈指のメロディーメーカーなんです。きっと。
3楽章はこのように軽快なマーチ、2楽章は優雅で流れるような3拍子、両方とも明るい曲です。対して1、4楽章は「悲愴」というタイトルにふさわしい、物悲しい曲調です。
銀英伝全体で、1楽章が14回、2楽章が3回、3楽章が6回、4楽章が5回使われています。もちろん、曲は展開していきますので、頭の部分か、展開部か、コーダかでまた印象が違ってくるのですが、詳しくは41話以降で。
チャイコフスキーの交響曲では、他には4番が使われています。
4番1楽章が、第96話「剣に生き…」で2回
4番4楽章が、第71話「マル・アデッタ星域の会戦(前編)」で2回
こちらもだいぶ先の話ですね。またそのときに。
【11】シューマン
11-1 交響曲第4番 第3楽章
⬜1時間13分 パエッタ提督が負傷し、代わりに指揮をとるヤン
「吾々は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ」のところ。物語の順番から言うと、上記9、ブルックナーのあとに流れます。
第6艦隊壊滅→第2艦隊が攻撃を受ける(ブルックナー)→ヤンが司令官代理になる、です。
4番3楽章の頭、SCHERZO(スケルツォ)とあります。3拍子なのですが「いちにさん、いちにさん」ではなく、「いち(に、さん)、に(に、さん)、さん(に、さん)、し(に、さん)」と、3拍をひとかたまりに数える、速い曲です。

管楽器が、3拍ひとかたまりの「いち、に、さん、し」をきっぱりと鳴らし、強い意思が感じられるようなイメージの出だしです。
▻「白銀の谷」Kap.Ⅳ 5:09 帝国軍の逆襲
でも使われています。
11-2 交響曲第4番 第4楽章
⬜1時間17分 同盟軍が逆進
こちらは4楽章。静かで悲しげな冒頭のパートが終わり、ガラッと曲調が変わって、テンポも速くなり、タンタ・タ・タ(オレンジのマーカーのところ)という軽やかなリズムのメロディーで、何か起こりそうな予感のするポジティブな雰囲気になります。その部分が流れます。

ここからもう少し進んだところですが、これと同じ曲調の箇所が、
▻第34話「帰還」14:55 ヤン部隊とケンプ艦隊
で使われています。
⬜1時間22分 戦闘終了
こちらで流れるのが、上↑の「冒頭のパートが終わり」のその「冒頭の」部分です。第4楽章の頭です。
弦楽器のゆったりとした流れるような伴奏(16分音符ですが、とてもゆっくり)の上に、トロンボーンの長く伸ばすメロディーが鳴ります。戦闘が終わり、勝った!やったー!ではなく、悲しげな、静かな音楽です。悲しいです。

ここは以下でも使われています。
▻第34話「帰還」5:34 戦況について話すラインハルトとオーベルシュタイン
▻第72話「マル・アデッタ星域の会戦(後編)」5:03 同盟軍の突撃
※「突撃」の場面なのに、この悲しい曲……あああああああ。
▻外伝「白銀の谷」Kap.Ⅲ 21:00 自室へ行くヘルダー
この静かな音楽がだんだん大きな音になり、短調だったのが長調になり…明るく強く、つまりそれは、ポジティブになっていっているのでしょうか。希望が見えてくるというか。そこがまた、感慨深いというか、私は悲しくなってしまうのですが、それで頂点までいったところで、このパートはいったん終了。
曲調がガラッと変わり、上↑の同盟軍が逆進するシーン、「タンタ・タ・タ」が始まります。
というわけで、全然感じが違うパートですが、同じ4楽章なのです。
シューマンも素敵ですよね。
交響曲は全4曲、銀英伝では29のシーンで使われています。そのうちこの第4番は13シーン、1、3、4楽章が流れます。そういえば2楽章は使われていないですね。
私が好きなのはピアノ曲で、交響曲は勉強不足でほぼ知りません。すみません。好きなのは、というか知っているのは、または弾いたことがあるのは、という程度ですが、とても好きです。シューマンの中で好きな曲、ではなく、すべての曲の中で好きな曲、です。子供の情景、森の情景、ソナタ、アベッグ変奏曲。歌曲もよいです。
私が好きなこれらは銀英伝で使われていませんが、他のピアノ曲がいくつか出てきます。
シューマンは(も?)自身が作曲するだけでなく、レビューを書いたり才能ある若手を紹介したり、音楽の追究に熱心ですよね。追究しすぎて壊れてしまったのか…? そして奥さんのクララがやり手だったんでしょうね。女性だから同等には見られていなかったのでしょうけれど。ごめんなさい、かなーり適当なことを書いています。でもきっと人間としても魅力的な人のかなと思いまして。
学生のときに受けていた授業の先生が、自分はシューマンの生まれ変わりとおっしゃっていました。横溝亮一先生。横溝正史氏の息子さんです。
【12】その他
⬜同盟国歌 ~自由の旗・自由の民、レボリューション・オブ・ザ・ハート~
36分 ヤンとラップの出兵
以上、映画「新たなる戦いの序曲」のBGM曲を4回にわたってお送りしました。
作曲家ごとにまとめましたので、すでに1回目の (6)映画「新たなる戦いの序曲」その1 でご紹介した「さまよえるオランダ人」序曲でこの映画は幕を閉じます。これは外伝も含め、他にはない選曲、この映画の特徴といえるかもしれません(が別にそうでもないかもしれません…)。
次回からは本伝に戻ります。
BGMリストについて
BGM全曲をスプレッドシートでリスト化し、該当曲がアニメで流れる箇所からYouTubeで聴けるようにリンクを張っています。
今回ご紹介した映画「新たなる戦いの序曲」のリストが見られるのは こちら です。
このnoteをお読みになって曲に興味を持たれた方や、アニメを見て「聞き覚えはあるけれど曲名が思い出せない」「この曲をフルで聴いてみたい」「あの場面ではどんな曲が流れていたのか知りたい」と思ったとき、ぜひご活用ください。

