【地方創生 第14弾】"定性コメント"と処理していた男たちが、一本の枝ペンに込めた想い。
◆ あの「クールな実務家」が、数日後に見せたもの
【番外編②】を、覚えているだろうか。
私の"魂の説教"すら、「外部有識者からの定性コメント」として冷徹に処理してみせた、あのエリート集団うみんちゅ班。
彼らは「どれが一番儲かるか」を見極めようとする、安全な部屋の中にいた。
その班が、わずか数日後、圧倒的な熱量を持つ一枚の提案書を送って来た。
◆ 理屈を焼き尽くす、「大義」の誕生
9月2日、浦添商工会議所での打ち合わせ。
彼らが送ってきたのは、「結(ゆい)マルベリー構想」という名の提案だった。
沖縄の助け合いの精神「ゆいまーる」と、島桑(マルベリー)を掛け合わせたこの構想は、単なる商品開発ではない。
0歳から高齢者まで、人生のあらゆる節目に島桑を伴走させる、ライフサイクルデザインだった。
提案書の冒頭には、こう書かれていた。
「商工会議所の皆様と同じ"しんかぬちゃー(大切な仲間)"の一員として、まずは小さな実現可能性から一緒に」
"よそ者"ではなく、"しんかぬちゃー"として。
この一文の重みに、私は思わず息を呑んだ。小手先のフレームワークを捨てた者だけが、書ける言葉だった。

◆ 一本のペンに込められた、感情の設計
彼らの提案の中に、一つの試作品があった。
「島桑ペン」
廃棄されるはずだった剪定枝を使い、木肌の温かみをそのまま活かした一本のペンだ。
そこに、こんな伝承のストーリーが重ねられていた。
「雷が落ちない(くわはらくわばら)つまり、試験に落ちない」
受験生への、お守りとしてのペン。
12月の発表会で、審査員がこのペンを実際に手に取る瞬間を想像してほしい。言葉での説明を超えた、エモーショナルな破壊力がそこにある。

木の枝が、そのままペンになる。飾らない、しかし確かな説得力を持つ、このプロジェクトの象徴だった。
◆ 子どもたちの探究心が、大人を動かす
彼らの動きは、ここで止まらなかった。
9月4日、浦西中学校で行われる「島桑まつり発表会」の視察。
中学生たちが自らの探究活動として育ててきたアイデアを、大人のネットワークで社会実装する、「結マルベリーフェア(10〜11月)」という協働提案が、ここから生まれようとしている。
「子どもたちの教育のため」という大義は、時に行政の硬い壁すら軽々と突破していく。
うみんちゅ班は、そのことを本能的に理解していた。
◆ 数字より先に、心が動いていた
彼らは、もう「どの案が一番儲かるか」という、誰かが用意した正解を探していない。
自分たちで地域に飛び込み、商工会議所や学校と泥臭い信頼関係を築きながら、自分たちの正解を、自らの手で作り始めている。
これから彼らを待つのは、レポート執筆と実証実験が同時並行する、最も過酷な「複合期」だ。
私は、彼らに一つの体制を提言した。
「前半レポート執筆チーム」と「イベント交渉・実証仕込みチーム」に分かれる、デュアルエンジン(パラレルワーク体制)。
早期にレポートの合格を勝ち取り、活動後半により多くの時間を割く。この先手必勝の戦略で、彼らは二つのエンジンを同時に回しながら、駆け抜けていくだろう。

ところで、数字だけでは動かない人の心に、あなたは今、どう向き合っていますか。
エリート集団の彼らが証明したのは、効率の外側にこそ、本当の突破口があるということだった。
一本の枝が、ペンになった。
その先に、受験生の合格があるのか、子どもたちの笑顔があるのか。
まだ、誰にも分からない。
このような姿勢を貫くチームが、これからの複合期をどう駆け抜けていくのか。
その姿を、私も楽しみに見届けたいと思います。
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