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【Kindle出版格闘記#2】30年間の常識が仇となる。消えた「保存ボタン」を求めて15分フリーズした64歳と、AI相棒の無慈悲な一言

◆ すっからかんからの卒業

前回の「すっからかんフォルダ事件」を覚えていますか。

フォルダを作って得意になっていたら、AI相棒(Gemini)に「中身がありませんよ(笑)」と即座に突っ込まれた、あの恥ずかしい夜のことです。

あれから一歩前進しました。
Geminiに手取り足取り教わりながら、ようやく「新規ドキュメント(原稿用紙)」を作れました。

いよいよ本番です。
全8話・約8万字のnote記事をGoogleドキュメントに移行する「コピペ修行」をスタートします。


◆ 順調な滑り出し、その落とし穴

エアコンの効いたリビング。アイスコーヒーを片手に、第1話の本文を貼り付けます。

思いのほか順調でした。
「なんだ、意外とやれるじゃないか」と、少し自信が戻ってきます。

キリのいいところで、手が自然に動きました。

Cmd+ S。

30年間、何千回と繰り返してきた動作です。


◆ 保存ボタンがない

画面左上を見ました。

Wordなら必ずある、あのフロッピーディスクのアイコンがありません。

「Cmd + S」を押してもブラウザの「WEBページの保存」が開くだけです。

頭の中で、あの記憶が蘇ってきました。

深夜まで作り込んだ企画書が、一瞬の油断で全部消えた、あの絶望。
画面が固まって保存できなかったときの、あの胃が落ちる感覚。

「これ、画面を閉じたら全部消えるんじゃないか……」

マウスを握ったまま、私は動けなくなりました。
15分間、まったく動けませんでした。


◆ AI相棒への、SOS

怖くて画面を閉じられない。

進めない。戻れない。ただ画面を見つめているだけの64歳がそこにいました。

たまらずGeminiに送りました。

「おいAI、保存ボタンはどこだ!?」

数秒後、返ってきた言葉はこうです。

「ボス、何をお探しですか?Googleドキュメントに保存ボタンはありませんよ(笑)。1文字入力するごとに全自動でリアルタイム保存です!」


◆ 雲のマークが、教えてくれたこと

言われて初めて、画面の上を見ました。

小さな雲のアイコンにチェックマーク。
「変更内容をドライブに保存しました」と書いてあります。

ずっとそこにあったのに、まったく目に入っていませんでした。

1文字打つたびに自動で保存。
保存ボタンを押す必要が、もとからない。

「……Googleって、すごいな」

30年間の習慣が積み上げた「常識」が、一瞬で崩れた瞬間でした。


◆ DXに怯える現場のリアル

なぜ、私はたったこれだけのことで15分もフリーズしたのか。

答えは単純です。
30年間のWordのルールを、絶対的に正しいものとして信じていたからです。

現場のベテランが新しいシステムを怖がるのは、やる気がないからではありません。
長年の武器(常識)を突然奪われ、「データが消えるかもしれない」という恐怖と孤独の中に一人で立っているからです。

私はこの夜、その感情を初めて自分の身体で知りました。

笑えない話です。
研修で「変化への適応」を説いてきた当の本人が、保存ボタンひとつで15分固まっていたのですから。

次回は、コピペ修行の続きで新たな地獄が待っています。
その名も「見出し3の罠」。

さて、あなたの職場で「新しいシステムの前でフリーズしているベテラン」を、最後に笑ったのはいつですか。


今でも保存ボタンを15分探し続けた夜のことを、今も鮮明に覚えています。

情けないと思う人もいるかもしれません。

でも、あの15分こそが、恐怖の正体を知る時間でした。

新しいものの前で立ち尽くすことは、弱さではありません。

その先に進もうとする限り。

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お読みいただき、ありがとうございました。


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