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お財布はもう「概念」になった。中国が描くデジタル経済の「次」の景色 | 海外事例から読み解く「日本のエンベデッド・ファイナンス」 Vol.3

皆さん、こんにちは。GeNiE代表の齊藤です。
世界の金融を巡る連載、第3回は「中国」です。

前回の連載はこちら

連載第3回である今回のテーマは、「中国」です。
数年前まで「QRコード決済が進んでいる国」というイメージだった中国ですが、いま、その一歩先、二歩先のフェーズに突入しています。2026年現在、中国の金融体験はもはや「決済」という言葉すら古いものに感じさせるレベルに達しているのです。


デジタル人民元(e-CNY)の「インフラ化」

直近の大きな動きでいうと、2025年を通じて「デジタル人民元(e-CNY)」の利用シーンが劇的に広がりました。これまでは「実証実験」という雰囲気もありましたが、今や給与の支払いや公共料金、さらには法人間の大規模な取引まで、デジタル人民元のネットワークが血管のように張り巡らされています。
特に驚くべきは、「オフライン決済」の進化です。
スマホの充電が切れていても、電波が届かない地下であっても、デバイスをかざすだけで「支払い」が完結する。もはや「お財布を持つ」とか「アプリを開く」という動作すら、過去のものになりつつあります。
まさに「お財布」という存在が、形のない「概念」へと溶け込んでしまったかのような感覚です。

なぜ中国はここまで「爆速」なのか?

これには、日本とは全く異なる2つの大きなバックボーンがあります。

1. 国家戦略としての「デジタル一色」

もともとは偽札問題などの「現金への不信感」から始まったデジタル化ですが、今は国を挙げて「データは国家の資産」として活用されています。このトップダウンのスピード感は、他の国々とは比較にならないほど速いものがあります。

2. 「信用」が可視化されすぎている

アリババ系の「芝麻信用(ジーマ信用)」などは有名ですが、今はさらにそのスコアが「生活のあらゆる優遇」に直結しています。良いスコアがあれば、ホテルの保証金(デポジット)が不要になったり、ローンの金利がその場で下がったり。金融が「ご褒美」のように機能しています。

僕たちは「データの信頼」をどう守るか

中国の事例を見ると、その圧倒的な便利さに驚かされる一方で、日本は個人の権利やプライバシーを非常に大切にしている風潮があるため、「プライバシー」や「中央集権的な管理」への不安を感じる方も多いかもしれません。
だからこそ、日本においては中国のような「強引な浸透」ではなく、ユーザーが自ら「このサービスにデータを預けて、便利に使いたい」と心から納得できる、丁寧なデザインが求められます。
僕たちGeNiEが目指すエンベデッド・ファイナンスも、単なる効率化ではありません。
「信頼できる日本の金融機関」×「使い勝手の良いデジタルサービス」
この両方のいいとこ取りを、日本らしい絶妙なバランスで実現できるのが僕らのサービスだと考えています。

おわりに

2026年の今、中国から学ぶべきは「技術」以上に「決断の速さ」かもしれません。しかし、日本には日本流の「心地よい信頼関係」の築き方があります。
「便利だから使う」だけでなく、「安心できるからずっと使える」。そんな日本らしい新しい金融のカタチを、僕たちが証明していきます。
次回はアジアから離れて「北欧」の金融事情をご紹介していく予定です。 どうぞお楽しみに!


執筆者:齊藤雄一郎 (さいとう ゆういちろう)
GeNiE株式会社 代表取締役。 2005年、アコム株式会社に新卒入社。経営企画やマーケティング業務での責任者を経験し、2022年アコム株式会社の社内起業家としてGeNiE株式会社を設立。 エンベデッド・ファイナンスを通じて、新たな “信用のカタチ”をデザインする「マネーのランプ」を提供中。