星に願いを2──ご感想はこちらのフォームから|シロクマ文芸部《星を見る》
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「星を見るたびに、あれから流れ星を探してしまいます。わたしは、先日、御社に『流れ星』を依頼した者の母です。
娘の飼い猫が行方不明になって、警察にも、自治会にも、張り紙にも、探偵さんにもお願いしたのですが、消息はついぞ知れず、沈んだ日々が続きました。
5歳の娘は泣き暮らし、わたしたち夫婦もそんな娘をただ見ているのは忍びなく、胸にぽっかり穴が開いたようでした。
終いに、泣き疲れて声も出さなくなった娘を見て、御社にお縋りした次第です。
『流れ星』の発射予定日はとてもよく晴れ、絶好の日和だったと思います。
最近の地球は、大気汚染で靄がかかったようになり、晴れ渡ることがほんとうに少なくなりました。
『流れ星』のおかげか、その夜、飼い猫はふらりと帰ってきました。
あの蒼い光と関係があるのかどうか、わたしたちは問わぬことにいたしました。
我が家が望んだのは、『流れ星』そのものではなく、ただ我が家のささやかな幸せでございました。
世の中、きれい事ばかりでないのは存じ上げております。
それでも、『星屑と聞き及ぶもの』を光に変える御社の業務は、わたしたちには希望でございました。
これは、帰ってきた猫と笑顔を取り戻した娘の写真です。お礼に代えまして……」
◇
俺は、問い合わせフォームから届いたその投書を一瞥した。
「セキュリティ上の理由により、有害ファイルを自動的に削除しました」
視界の端で、ポップアップの白い光がそう告げる。
ふと我に返ると、暗黒空間へ視線を少しばかり滑らせる。
幸福の痕跡を失った素っ気ない文字列を、そっとゴミ箱に捨てた。
その操作が、いつもよりもまどろっこしく感じられた。
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▼「星に願いを」シリーズ
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