似て非なるもの「みたい」 ─ 点訳ボランティアの勘違い④
世の中に数多存在する「似て非なるもの」
例えば眼鏡……
ちょっと暗いところで本を読み過ぎて視力が落ちてきたかもしれない。
あ、おじいちゃんがいつも使ってる眼鏡を借りてみよう!
……なんてことをやらかしたら、きっと目が回ってしまうでしょうね。
同じ眼鏡でも、近視用と老眼鏡とは似て非なるもの。
それから植物にも……
今晩のおかずに肉野菜炒めでも。
あ、そう言えば庭にニラが生えてたな。アレを使って、ちょっとスタミナアップ!
……なんて思って調理したものがスイセンの葉っぱだったら大変なことです。
ニラとスイセン、見た目が似ているのでよくよくご注意を。ニラ特有の臭いがなければ、スイセンの毒を疑うべし!
言葉の世界にも「似て非なるもの」はたくさんありますね。
一休さん vs 点訳挿入符で触れた同音・同訓異字なんかもその好例です。
「はし」と読む言葉には、一休さんに登場する川を渡るための「橋」もあれば、空間の位置を示す「端」もあり、さらには食器の「箸」もある。
今回はさらに高難度の、漢字の違いすらないパターンに挑みます。
お寿司を食べてみたい
まるで夢みたい
海が見たい
やっと来たみたい
映画を観たい
遊園地に行ってみたい
この中には、3パターンの「みたい」が混在しています。
もっとも分かりやすいのは、動詞の「見る」「観る」に、願望を表す助動詞「たい」が引っ付いた「みたい」ですね。
海が見たい → ウミガ■ミタイ
映画を観たい → エイガヲ■ミタイ
このパターンは「みたい」が自立語であることが明確なので、分かち書きに悩まされることもありません。
問題は残りの4つです。
お寿司を食べてみたい
まるで夢みたい
やっと来たみたい
遊園地に行ってみたい
これらに用いられている「みたい」は…
助動詞の「みたいだ」→ つなげる
補助動詞句の「みたい」→ 区切る
の2パターンに分類されます。
こんなふうに…
助動詞の「みたいだ」
「だ」を省いて「みたい」のみで使われることも多い。
助動詞「みたいだ」は付属語であって自立性がないので前の語に続ける。
見分け方:
前の語は用言の終止形か体言
まるで夢みたい → マルデ■ユメミタイ
やっと来たみたい → ヤット■キタミタイ
補助動詞句の「みたい」
補助動詞の「みる」+ 願望を表す助動詞「たい」
補助動詞「みる」は本来の意味が薄れて付属語的に用いられるが、自立語なので前の語とは区切る。
見分け方:
前の語は動詞の連用形 + 助詞「て」
お寿司を食べてみたい → オスシヲ■タベテ■ミタイ
遊園地に行ってみたい → ユーエンチニ■イッテ■ミタイ
……なんとややこしいこと!
以前、「私の苦手リスト」として、ついつい前の語と区切ってしまう7つの助詞・助動詞をご紹介したことがありまして、「みたいだ」もその中にリストアップしていたんです。
しかし、最近校正で回ってきた原稿に
聞いてみたいけど
という言い回しが登場し、
キイテミタイケド
とつなげて点訳されているのを見て
──あれ?「みたいだ」となんか違う?
と感じたところから、
──そういや、補助動詞の「みる」由来の場合もあるんじゃん!
と思い至った次第でして。
キイテ■ミタイケド
に、そっと直しておきました。
つまり今回は珍しく「自発的に気づけた勘違い」なんです!
こんなこと滅多にありませんから、たまには自慢させてもらおうかと(笑)
やっぱり、人に指摘されて直すより、自ら気づいて直すことができたほうが、断然気持ちがいいものです♪
いいなと思ったら応援しよう!
より質の高い点訳情報が発信できるよう頑張ります! 点訳関連資料の購入(辞書類や指導者ハンドブックなど)と、点訳環境の整備のために使わせて頂きます。