同音異字は省略 ─ 点訳挿入符の疑問がひとつ解けました
以前、一休さん vs 点訳挿入符で、私が点訳中の作品の同音異字についてご紹介しました。
これに関して、進展がありましたのでご報告いたします。
具体的には、作中のこの一節です。
『呪重宝記(あるいは呪調法記)』
丸括弧と点訳挿入符が並んではいけないという制約があったので、あれこれ検討して一応自分なりに導き出した答えはコレでした。
『呪重宝記丨あるいは調法記丨』丨丨チョーホーは、前者が「重ねる」に「宝」、後者が「調べる」に法律の「法」丨丨
丸括弧や点訳挿入符に「丨」を用いるのは私独自の表記なので、テキストや点訳フォーラムの表記に揃えると以下のようになります。
『マジナイ■チョーホーキ(アルイワ■チョーホーキ)』点挿チョーホーワ、■ゼンシャガ■「カサネル」二■「タカラ」、■コーシャガ■「シラベル」二■ホーリツノ■「ホー」点挿
これに対し、点訳フォーラムのQ&Aに、ドンピシャの回答を見つけました。
質問は…
高田ひろお(本名・博雄)さん
の括弧内をどう点訳するかというもの。
回答は…
原本で、「ひろお」と「博雄」の表記の違いについて言及している箇所がなければ、(本名・博雄)の部分は点訳しないで、「タカダ■ヒロオ■サン」だけでよいと思います。
──その手があったか!
『呪重宝記(あるいは呪調法記)』
→『マジナイ■チョーホーキ』
こんなシンプルな点訳で良かったなんて!
前後の文脈でも、作品全体を通しても、『呪重宝記』の漢字表記の違いには一切触れられていないことも確認済みです。
この判断は、先輩にも太鼓判を押してもらえました。
仮に、「重宝記」と記載した文献と「調法記」と記載した文献とで、作品の解釈に違いがあるか論じる展開なんかがあれば、省略できないんでしょうね(……そんな論文があったら、ちょっと読んでみたいかも)
ちなみに点訳フォーラムでは、ちゃんと「省略できないパターン」についても見解が示されていました。
本名が漢字であることを説明する必要がある場合は
タカダ■ヒロオ点挿ヒラガナ、■カッコナイニ■ホンミョー■カンジ点挿
または
タカダ■ヒロオ点挿ヒラガナ、■カッコナイニ■ホンミョー、■カンジデ■ハクシノ■「ハク」ニ■エイユーノ■「ユー」点挿
など、必要に応じて入れることになります。
どうやら、丸括弧は記号にこだわらずに、点訳挿入符内に「カッコナイニ」などと書くのが安全策のようです。
とすると『呪重宝記(あるいは呪調法記)』の場合は…
『マジナイ■チョーホーキ点挿チョーホーワ■「カサネル」二■「タカラ」、■カッコナイニ■「シラベル」二■ホーリツノ■「ホー」点挿』
とすればいいのかな?
「本名」と違って「あるいは」は不要でしょうし。
もともと考えていたパターンより短くなってスッキリしたように思います。
とはいえ…
著作権を守る観点から、本来は著作物を勝手に改変してはいけません。
でも点訳時には、その文章を点字にするにあたって必要な範囲内での改変は、著作権法でも認められています。
一休さん vs 点訳挿入符で詳述しましたが、括弧内に同音異字が添えられている場合、そのまま点字にしただけでは読者に混乱を生じさせますので、何らかの改変は必須です。
「括弧書きの省略」と「点訳挿入符による説明の追加」とを天秤にかけて、その作品にとってどちらを採用するのが適しているかを見極める。
必要最小限の改変で、読者の読みやすさを整える。
点訳って、なかなかに頭を使いますね。
だからこそ、面白い!
≪著作権法の関係条文≫
もし、ご興味ありましたら…
ちなみに私は興味があるクチです(笑)
第37条(視覚障害者等のための複製等)
公表された著作物は、点字により複製することができる。
第20条1項(同一性保持権)
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
第20条2項
前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
第20条2項4号
前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変
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