執筆挑戦記② ─ 内職をすれば小説が書ける?
「執筆挑戦記① ─ 憧れと挫折、そして今」では、執筆と私との距離感の変遷についてお話しさせていただきました。
今回は、私を「書く」ことに引き戻した数奇なきっかけ「ラッキーな想定外」の前半部分についてお話ししようと思います。
風が吹けば桶屋が儲かる
これが
ある出来事の影響がめぐりめぐって思いがけないところに及ぶことのたとえ
なのであれば…
これに代わることわざを、私はひとつ知っています。
内職をすれば小説が書ける
……冗談はさておき、私が「書くことを諦めた人生」から脱却できたきっかけは「内職を始めたこと」でした。
うつ病をやらかした後、再就職が怖くて、でも働いているという言い訳が欲しくて内職を始めた私。
もともと細かい手作業は大好きだったので、便箋や封筒を指示書の通りに配置してレターセットを作ったり、あぶらとり紙を入れる紙箱を折って組み立てたりする作業はなかなかに楽しいものでした。
なかには、キャラクターものの付箋の束を台紙の所定の位置に貼り付けていくような内職もあって、知っているキャラクターのものがやってくると少しテンションが上がりました。
あるとき『SPY × FAMILY』の付箋を任され、1週間ほど延々と、目を細めて不敵に笑うピンク髪の女の子「アーニャ」の顔とにらめっこをして過ごしました。
可愛らしい顔をしているのに、よりにもよってなぜこの表情なのかと、そのニヒルな笑みを甚だ疑問に感じながら。
というのも、その当時の私は『SPY × FAMILY』についてテレビCMで見たことがあるだけで、アーニャ以外のキャラクター名は一切知らず。しかも、てっきりアーニャが主人公だと思っていたのに、付箋の並びはCMで見かける「お父さん」が一番上。何やらアイテムをかたどった付箋については「何この星や稲妻形?」「何この縫い針のでっかいやつ?」という状況……
その付箋を納品した後、気になって仕方がなくて、某漫画アプリをスマホにダウンロードしてしまいました。
うつ病をやらかす前までは、小説贔屓だった私。でもこれをきっかけに、急に漫画に対する心理的ハードルが下がりました。
ついでに同じ時期にCMで気になっていた『葬送のフリーレン』も……『薬屋のひとりごと』も……というふうに読むものが増えていきました。
無料枠が終了したら諦める。近隣の図書館にあれば続きを読む。という、ちょっと不誠実な読み方だけれど……
そして、漫画アプリの戦略に乗せられ、繰り返し表示されるオススメ漫画にもつい手を伸ばしているうちに、「ノベル版」というリンクに気がついたんです。
「漫画のノベライズ版なのか?」と思って確かめてみたら、ほとんどの場合がその逆で、漫画の「原作小説」なんですね。
原作第一主義とまではいきませんが、映画にしろ、ドラマにしろ、漫画にしろ、原作小説があるものは是非読んでみたい!
ということで、「漫画アプリで小説を読む」なんてことも楽しみのひとつとなりました。
ここで感じたのが、なんとなく私のイメージする「小説」とは雰囲気が違うということ。
テンポが良くて、サクサク読めて、面白い展開が次々と現れて……
漫画で読んでみたい!と思わせる力強さを感じさせる筆致。
このスピード感を心地よく感じる一方で、ゆっくりじっくり言葉の綾を味わったり、言い回しの妙を見出しながらじわじわと読み進める読書もやっぱり恋しい。
そこで、ふといたずら心が湧いたんです。
この軽快な小説を、あえて落ち着いた文芸調に仕立て直してみたらどうだろう?
これが、私が「書く」ことを再開した第一歩でした。
内職 → キャラ付箋 → 漫画アプリ → 原作小説 → リライト
さぁ、桶屋風にゴールに徐々に近づいてまいりました。
今は三味線のあたりかな? それとも猫が減るあたり?
「風が吹けば桶屋が儲かる」の理屈……さらりとなぞってはみたものの、少し心がざらついてしまうのは、現代人の感性ゆえなのでしょうね。
次回は、「ラッキーな想定外」の後半にあたる「言葉を操る」話をしたいと思います。
執筆挑戦記シリーズ リンク
第1弾:憧れと挫折、そして今
https://note.com/gesund_fumika/n/n55ad27ce6ae7
第3弾(完結編):理屈屋なりのやり方で小説を…https://note.com/gesund_fumika/n/n1c0c464dbf15
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