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「○○味」まで点字にしてよ! ─ 点訳ボランティアの一員として反省させられたこと

商業施設のエレベーターや階段の手すり、スーパーマーケットなどで売られている飲食料品のパッケージなど、近頃は街なかで点字を見かけることがずいぶん増えました。

これらの身近な点字を見て、福祉的視点なんて関係なしに、純粋に「読んでみたい」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不謹慎な動機かもしれませんが、私はパズルや暗号好きが高じて、点字を学び始めました。「視覚を使わずに指先で文字を読み取るスキル」に憧れたのです。

そんな面白半分で、何年も前にユーキャンで点字講座を受講・修了したものの、その後は特にその知識を何かに活かすこともできずにいました。
それが数か月前になって、地域に点訳ボランティアサークルがあることを知り、早速加入したのです。
ユーキャンで学んだ予備知識があったおかげで、市報や書籍の点訳にもすぐに関わらせていただけるようになりました。
『点訳の手引き』を読み込んで、点訳における「正解」を模索する毎日は大変充実しています。

単なる興味本位で学んだ知識が、実用性のある形で活かせるようになると、やはり誇らしい気持ちになるものですね。

ところで、その点訳サークルの集まりとは別に、つい最近、視覚障害の当事者団体に勤められていたという方とお話しする機会がありました。
私は点訳作業にしか関わっていないけれど、その方は盲導犬への理解促進や点字を広めるための活動に携わってこられた方。

私とその方(仮にAさんとさせていただきますね)の間にこんな会話が繰り広げられたのは必然だったのだろうと思います。

A「瓶に点字がついてるジャムがありますよね?」
私「はい。あれはずいぶん昔から点字がつけられていますね(早くから視覚障害について考えたパッケージを採用していてすごいなという思いで…)」
A「でも、何味か分からない」
私「あ……」
A「豆腐のパックの底にも『トーフ』と書かれているものがある。でも、『絹ごし豆腐』か『木綿豆腐』か分からない。ドレッシングの蓋にも『ドレ』とだけ。酒類に至っては『オサケ』だけ」

本当に、はっとさせられました。
「わざわざその品物の分類だけでも分かるようにしてあげてるんだから、視覚障害者はそれだけでも感謝しろってこと?」
「目が見えない人は自力でその品物の味や種類を知る必要はないとでも?」
そんな声が、急に頭の中に響いてきた気がしました。これまでは全く聞こえなかった声が。

確かに、アルコール飲料に対して「オサケ」と記すことには意義があると思います。
体質的にアルコールを受けつけない方や未成年者が誤って飲んでしまうことを防止できますから。

それに、ジャムにしても豆腐にしてもドレッシングにしても、商品に点字表記を採用しているメーカーはごく一部。点字を用いようと意識されていること自体、素晴らしいことだと思うのです。

でも、目の見える見えないに関わらず、選択肢が多いほうが、生活は豊かになる気がします。
トーストを、いちごジャムで食べたいときがあれば、ブルーベリージャムが欲しいときもある。
キャベツの千切りにはごまドレッシングでも、大根サラダには青じそドレッシングがいいという人もいる。
「○○味」という点字を足すだけで、きっと誰かの食卓に豊かな彩りを届けることができる。

そんな視点が欠落していたことを、大いに反省させられました。
きっかけは興味本位であっても、今の私は「点訳ボランティア」として点字に関わっている身。
点字を必要としている人に情報を届ける役割を担っている以上、当事者の方の視点を欠いてはいけないと思い知らされた会話でした。

無知・無関心って、気がつかないうちに誰かを傷つけたり見下していたりするものなんですよね。
でも、自分の「知らないこと」「気づいていない視点」に気づくのって、外部からのきっかけがないと本当に難しい。
だからこそ、気づかされるたびに、その気づきを大事にしたいなと思います。


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