仕事ができる人になる前に、仕事を続けられる私でいたい①|挨拶は、いい人になるためじゃなくて、自分が少しラクになるためだった
この連載は、
仕事で勝つための仕事術ではありません。
出世するための近道でも、
すごい成果を出すための方法でもありません。
会社員としてそれなりに長く働いて、
失敗したり、黙ったり、言いすぎたり、
あとから気づいたりしながら、
私の中に少しずつ残ってきたものを書いています。
挨拶をすること。
ひと言添えること。
正しいことを、置ける形にすること。
情報を少し聞きに行くこと。
人との細い線を残すこと。
大きすぎる言葉を、扱える大きさに戻すこと。
そして、会社からもらう名前とは別に、
自分の輪郭を知っておくこと。
どれも派手ではありません。
でも、こういう小さなことが、
あとで自分を少し助けてくれることがあります。
仕事ができる人になる前に、
仕事を続けられる私でいたい。
これは、そのための、
ぎぺりなりの仕事のメモです。
挨拶って、「しなさい」と言われると重くなる
挨拶って、
「しなさい」と言われた瞬間に、
少し重くなる。
社会人として当然です。
礼儀です。
マナーです。
ちゃんとしましょう。
そう言われると、
まあ、そうなんだけど、
と思いながらも、少しだけ体が引く。
私は別に、
誰かに挨拶を強制したいわけではない。
朝から元気に、
全員に聞こえる声で、
明るく、感じよく、笑顔で。
そんなふうに言われると、
それだけで疲れてしまう日もある。
だから、
「挨拶しなさい」とは言いたくない。
でも、会社でそれなりに長く働いてきて、
少し思うようになった。
挨拶は、
いい人になるためのものではなくて、
自分が少しラクになるためのものだったのかもしれない。
挨拶しておくと、ちょっと得する
挨拶をしたからといって、
何かが劇的に変わるわけではない。
急に仕事ができるようになるわけでもない。
評価が上がるわけでもない。
みんなから好かれるわけでもない。
でも、あとで少しだけ効く。
朝に一度、
「おはようございます」
と言っておいた人には、
そのあと少し声をかけやすい。
「あの、ちょっといいですか」
この一言の前に、
朝の挨拶があるだけで、
自分の中の段差が少し低くなる。
相手にとっても、
たぶんそうだと思う。
一度も言葉を交わしていない人より、
朝に一言だけでもやり取りした人のほうが、
少しだけ話しかけやすい。
それは、仲良くなるというほどのことではない。
ただ、
仕事の話を通すための、
小さな入口ができる。
そのくらいのことだ。
でも会社では、
そのくらいの入口が、
けっこう助かる。
挨拶は、会話の予約みたいなもの
職場では、
全部の人と仲良くなる必要はない。
むしろ、全員と仲良くしようとすると、
たぶん自分が先に疲れる。
深い話もしなくていい。
雑談を盛り上げなくてもいい。
相手の懐に入らなくてもいい。
でも、
必要なときに、
仕事の話ができるくらいの通路はあったほうがいい。
挨拶は、
そのためのいちばん軽い方法なのだと思う。
「今日もここにいます」
「仕事の話なら通せます」
「敵意はありません」
そんなことを、
ものすごく薄く伝える感じ。
会話そのものではないけれど、
会話の予約みたいなもの。
必要になったら話せますね、
くらいの薄い接続。
この薄さが、
職場では案外ちょうどいい。
苦手な人にも、細い通路だけ残しておく
職場には、
話しやすい人もいれば、
少し苦手な人もいる。
これは、悪口ではない。
仕事をしていれば、
合う人もいれば、
合わない人もいる。
言い方が強く感じる人。
何を考えているのか分かりにくい人。
こちらが勝手に緊張してしまう人。
そういう人と、
無理に仲良くなる必要はないと思っている。
分かり合えたら素敵だけれど、
会社で必要なのは、
必ずしも深い理解ではない。
最低限、仕事が通ること。
必要なときに、必要な話ができること。
変にこじれすぎないこと。
それくらいで十分な関係もある。
そのとき、挨拶はちょうどいい。
苦手な人に雑談は難しい。
でも、
「おはようございます」
「お疲れさまです」
くらいなら、できる日がある。
それは、相手に媚びることではない。
好きになりましょう、でもない。
仲良くしましょう、でもない。
ただ、
完全に閉じないための、
細い通路を残しておくこと。
扉を全開にしなくていい。
でも、全部閉めなくてもいい。
少しだけ開けておく。
そのくらいの距離感が、
私はけっこう好きだ。
自分がこそこそ入らなくて済む
朝、会社に入るとき。
何も言わずに席に着く日もある。
もちろん、それで誰かに怒られるわけではない。
仕事が止まるわけでもない。
大きな問題になるわけでもない。
でも、私は少しだけ、
こそこそ入ってきたような気持ちになることがある。
私はここにいます、
と言わないまま、
その日を始めてしまった感じ。
逆に、
小さくでも
「おはようございます」
と言えた日は、
少しだけ違う。
今日も来ました。
今日もここで働きます。
今日もこの場所にいます。
そうやって、
自分で自分を職場に置いた感じがする。
挨拶は、
相手のためにしているようで、
自分のためでもあるのだと思う。
ちゃんとした人に見せるためではなく、
自分がその場所に、
こそこそ入っていかなくて済むように。
返ってこない日もある
もちろん、
挨拶をしても返ってこないことはある。
聞こえなかったのかもしれない。
忙しかったのかもしれない。
タイミングが悪かったのかもしれない。
本当に返す気がなかったのかもしれない。
そこは、分からない。
昔の私は、
返ってこないと少し気にしていた。
あれ、何かしたかな。
嫌われているのかな。
声が小さかったかな。
言わないほうがよかったかな。
朝から、そんなことを考えてしまう。
でも最近は、
挨拶は相手の反応を回収するためだけのものではない、
と思うようになった。
返ってきたら嬉しい。
それはそう。
でも、返ってこなかったとしても、
私は今日、自分からこの場所に入った。
その事実は残る。
それだけでも、
少し意味がある。
毎日ちゃんとできなくていい
ただ、挨拶も、
ちゃんとしすぎると疲れる。
毎朝、明るく。
全員に。
感じよく。
大きな声で。
笑顔で。
そう考えると、
急にハードルが上がる。
挨拶まで、
またひとつの「ちゃんと」になってしまう。
私はそういう「ちゃんと」に弱い。
ちゃんとしなきゃと思うほど、
できなかった日の自分を責めてしまう。
だから、挨拶も、
もう少しゆるくていいと思っている。
大きな声で言えない日があってもいい。
会釈だけの日があってもいい。
タイミングを逃す日があってもいい。
誰にも届かなかったような日があってもいい。
毎回、満点を取らなくていい。
できる日に、できる分だけ。
そのくらいでいい。
自分が働きやすくなる小さな仕込み
私は、
会社で勝ちたいわけではない。
もちろん、評価されれば嬉しい。
お給料が上がればありがたい。
できることが増えるのも悪くない。
でも、そこに全部を賭けたいわけではない。
今の私は、
できれば楽しく続けたい。
職場を、
自分にとって少し過ごしやすい場所にしたい。
人間関係で余計に疲れず、
必要な話ができて、
明日もまあ行けるか、と思えるくらいの場所にしたい。
そのために、
大きなことはできなくても、
小さな仕込みならできる。
朝にひと言、声を置く。
会った人に、軽く会釈する。
帰るときに、お疲れさまですと言う。
それだけで、
あとで少し聞きやすくなる。
頼みやすくなる。
確認しやすくなる。
苦手な人とも、完全には閉じずに済む。
つまり、
少し得なのだ。
すごく得、ではない。
人生が変わるほどでもない。
でも、毎日いる場所が、
少しだけ過ごしやすくなる。
そのくらいの得は、
けっこう大きい。
挨拶は、古いマナーというより実用品だった
だから私は、
挨拶を古いマナーとしてだけ見なくてもいいと思っている。
もちろん、礼儀でもある。
社会人として大事なことでもある。
でも、それだけだと少し重い。
挨拶は、
自分が職場で少しラクに過ごすための、
かなり地味な実用品でもある。
話しかける前の段差を低くする。
苦手な人との間に、細い通路を残しておく。
自分がその場所に、こそこそ入らなくて済むようにする。
そのための、
小さな道具。
そう考えると、
挨拶は少し軽くなる。
いい人になるためじゃない。
ちゃんとした社会人に見せるためでもない。
誰かに好かれるためでもない。
あとで自分が、
少しラクになるため。
職場が、
少しだけ過ごしやすくなるため。
そのくらいの理由で、
私はこれからも、
できる日に挨拶をしていきたい。
仕事ができる人になる前に、
仕事を続けられる私でいたい。
そのために、まずは朝、
自分を消さずに、
小さくひとつ声を置く。
それくらいからで、
たぶん十分なのだと思う。
#仕事ができる人になる前に仕事を続けられる私でいたい
#仕事論
#働き方
#職場の人間関係
#会社員
#40代の働き方
#無理しない働き方
#自分らしい働き方
#挨拶
#コミュニケーション
#仕事を続ける
#職場を過ごしやすくする
#生活者の仕事論
#正解より適切
#途中経過
#ぎぺり
ここまで読んだあとに、
もう少しだけ言葉のそばにいたいときのために、
続きの置き場所を残しておきます。
仕事の連載を、まとめて置いてある場所
別の場所にある、少し近い話
この連載を、少し整えて一冊にしました。
続きを読むような気持ちで、置いておきます。
『仕事に、自分を消しすぎない』(Amazon)
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
もし「少し考えるきっかけになった」と感じてもらえたら、
サポートという形で応援していただけると嬉しいです。
次の記事を書く力になります。