【愛縁奇縁/神代編】第三話:青き焔は須臾に消え
黑の苦無が闇を裂き、喉を穿つ。
白哉の剣は迷いなく敵の胸を貫き、返す刃で別の術者を斬り伏せた。
「白哉、背中ば預けたじゃ!」
「任せとき!」
二人は互いの存在を確かめ合うように声を交わしながら、
確実に元老院を減らしていく。
「ぐっ……おのれ、反逆者め!」
「馬鹿な……この私が……!」
驚愕に見開かれた瞳が、力尽きて闇に沈んでいく。
如月は両手を組み、結界を広げて仲間を守る。
結界の光壁が幾重にも張り巡らされ、飛来する呪符をはじき返す。
「これ以上は、誰も傷つけさせない!」
その祈りに呼応するように、
地の根が敵を絡め取り水の奔流が術を押し流す。
根に絡まれた術師が必死に叫ぶ。
「やめろ……! 近づくなぁ!!」
だが抵抗も虚しく、大地に飲まれてゆく。
志輝は風を纏い舞い踊るように剣を振るう。
袖の翻りが風を呼び足さばきが雨を導く。
その一挙一動が味方の背を押し勇気を奮い立たせる。
「私も負けられない!」
「……舞姫、ごときに……っ!」
斬られた者は膝をつき譫言のように呟きながら、息絶える。
日夊の鎌が閃き、空を裂いた。
「戯れは、ここまでとさせていただきます」
矢を弾き、火弾を裂き落とす。
青白い残光が軌跡を描き、無数の弾幕を無力化していく。
「な、私の術が……!」
椥は呼吸を整え、宿儺も金棒を担ぎ直す。
「……次は逃さん」
「好き放題暴れてやる!」
二人の視線が同じ方向に定まり、戦場に再び圧が広がる。
白銀と黒曜は互いに目を合わせて頷いた。
「……気い付けや」
「私たちも見ているけど、無茶はしないでね」
白は天羅を切ろうとした者に拳を向ける。青い炎を宿した拳。
その炎は呪を払う清き力、彼女の意志そのものだった。
「これ以上、仲間を奪わせない……!」

空気が震えた。
巨大な刃が、まるで天から降り落ちるかのように白の頭上に顕現する。
……――――刹那。
肉を裂く音。
振り下ろされた一閃は容赦なく、白の小さな身体を真っ二つに切り裂いた。
「…………あ……」
白の瞳が、揺らぎながら光を失ってゆく。
「やめろぉおおおおお!!」
黑の絶叫が戦場に響き渡った。
「白……! 嘘やろ、そんな……!」
白哉の声が震え、血で濡れた剣が手から滑り落ちる。
「やめろ、止せっ!! 白ぃいいいいいい!!!」
椥の喉を裂く叫びが、悲鳴となって響いた。
仲間たちの視線が一斉に白へと注がれる。
だが彼女の身体は力なく崩れ落ち……――――青き炎もまた、
虚空に散っていった。
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