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脂質の8割は、フライパンの外から入っています

こんにちは、パーソナルトレーナーのリクです。
「追い込む」のではなく「一緒に整える」を大切に、運動が苦手な方の体づくりに寄り添っています。

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揚げ物は、なるべく買わないようにしている。

炒め物のときは、油をキッチンペーパーで薄く伸ばしている。ドレッシングはノンオイルを選んでいる。マヨネーズも控えめにしている。

そこまでしているのに、体は思ったほど軽くならない。

今日は、その理由をお話しさせてください。がんばりが足りなかったという話ではまったくありません。 むしろ逆で、いちばん小さいところをがんばり続けていた、という話です。

まず、数字をひとつだけ

わたしたちが1日にとっている脂質の量は、この70年ほどでずいぶん変わりました。

1947年ごろは、1日にとるエネルギーのうち脂質は5〜10%ほどでした。それが2019年には30%になっています。同じ「ふつうの食事」をしているつもりでも、中身は3倍以上に変わってしまったんですね。

そしてもうひとつ。国の調査(令和元年・国民健康・栄養調査)を見ると、脂質の割合が高くなっているのは、男性より女性のほうでした。

これは「女性が食べすぎている」という話ではありません。むしろ食べる量そのものは少なめの方が多いです。少ない食事の中で、脂質の占める割合だけが大きくなっている、ということなんです。

がんばっていた場所は、全体の2割でした

では、その脂質はどこから入ってきているのか。

ここが、わたしが栄養を学んだ中でいちばん意外だったところです。

調理に使う油からとっている脂質は、全体の2割ほどでした。1日に10g前後、エネルギーにして100kcalくらいです。

残りの8割は、食材そのものに入っている脂質です。こちらは1日に50〜60g、400〜500kcalほどになります。

フライパンに引く油をどれだけ丁寧に減らしても、動かせるのは5分の1のところなんですね。

もちろん、2割が意味のない量だという話ではありません。ぎりぎりのところにいる方にとっては、その100kcalが上に押し出す最後のひと押しになることもあります。ただ、そこだけを見張っていると、8割のほうが視界に入ってこないんです。

サラダ油をひかえていたのに手ごたえがなかったのは、続け方が悪かったからではありません。もともと、そこだけでは動きにくい引き算だったんです。

では、8割はどこから入ってくるのか

食材に入っている脂質、と言われてもピンとこないと思います。具体的に見ていきますね。

いちばん大きいのは、おかずです。

たとえば豚バラ肉は、100gで366kcal。そのうちエネルギーの9割近くが脂質です。牛肉のバラやサーロイン、鶏もものように皮のついた部位も、同じように脂質の割合が高くなります。

次に、加工されたお肉。

ウインナー、ベーコン、サラミ。手軽でおいしくて、朝ごはんやお弁当に入れやすいものばかりですが、エネルギーの7〜8割が脂質というものも珍しくありません。

それから、乳製品。

生クリーム、チーズ、バター、アイスクリーム。牛乳やヨーグルトも、量が重なると積み上がっていきます。

そして、これがいちばん見落とされやすいのですが、ドレッシングです。

市販のドレッシングは、大さじ1杯のエネルギーのうち8〜9割が脂質です。フレンチで88%、シーザーサラダで93%ほど。ごま系のものも8割を超えます。

野菜をたくさん食べようとして、大きなボウルにたっぷり作って、大さじ2杯も3杯もかける。サラダをがんばっている方ほど、ここで静かに増えていることがあります。

「たんぱく質を増やそう」が、脂質を連れてくることがあります

もうひとつ、まじめな方ほどはまりやすいところがあります。

たんぱく質を意識するようになると、お肉や卵やチーズを増やしますよね。でも、たんぱく質と脂質は、たいてい同じ食材の中に一緒に入っています。

つまり「たんぱく質をもっと」と思って食べた分だけ、脂質もついてきているんです。

わたしが学んだ中では、「たんぱく質を意識しすぎなくていい」とはっきり書かれていました。理由は単純で、意識しすぎるほうが脂質過剰につながりやすいからです。

必要な量は、じつは計算できます。

体重(kg)× 0.8〜1.2g = 1日に必要なたんぱく質量。デスクワークが中心で、たまに軽く運動をする方の目安です。

体重50kgの方なら、40〜60gほど。そして、ごはんとおかずとお味噌汁がそろった食事を3食とると、それだけで50〜60gくらいには自然に届きます

栄養の計算は、しなくて大丈夫です。そろえるのは、お皿の数だけ

前回、前々回とお話ししてきた「定食の形」は、じつは脂質の割合まで一緒に整えてくれる形なんですね。

減らすのではなく、選ぶ

ここまで読んで、少し気が重くなった方もいるかもしれません。でも、ここからは軽い話です。

8割の側は、「減らす」ではなく「選ぶ」で動かせます。

1. 同じお肉で、部位を変える

豚バラを豚ももに。鶏ももの皮を外す。ひき肉を赤身の多いものに。それだけで、たんぱく質はそのままに、脂質だけがすっと減ります。がまんの量は変わりません。

2. 同じ食材で、火の入れ方を変える

これはかなり大きいです。

同じさつまいもでも、焼き芋なら脂質はエネルギーの1%ほど。衣をつけてサラダ油で揚げると58%になります。同じ野菜でも、蒸すと5%ほど、サラダ油で炒めると57%です。

食材は何も変えていません。変えたのは、揚げるか、炒めるか、蒸すか、煮るか、それだけです。

3. 週に1〜2回、魚の日をつくる

お肉ばかりだと入りにくい脂(オメガ3と呼ばれるもの)が、魚には入っています。サバ、サケ、イワシ、サンマ。缶詰でもかまいません。

ここはサプリメントより、魚そのものから食べたほうが手ごたえがあると報告されています。

4. ドレッシングは、かけるのではなく「大さじ1まで」

ノンオイルに変えるという手もありますが、じつはあとでお話しするとおり、サラダに油がまったくないのも困ります。 大さじ1くらいまでに決めておく、というのがちょうどいいところです。

調理油は「量」より「熱に強いかどうか」

さて、残りの2割。フライパンの油の話です。

ここは量を減らすより、選びかたを変えるほうが効きます。

油には「二重結合」というつなぎ目のようなものがあって、このつなぎ目が多い油ほど、熱や光で傷みやすい(酸化しやすい)と言われています。

つなぎ目が少なくて、加熱に向いている油がこちらです。

  • オリーブオイル

  • バター、ギー

  • ココナッツオイル

  • ラード、ヘット(牛脂)

反対に、つなぎ目が多くて、加熱にはあまり向かない油がこちらです。

  • サラダ油、キャノーラ油

  • ごま油、米油、大豆油

  • グレープシードオイル、紅花油(ハイリノールタイプ)

念のためにお伝えしますが、これらが「体に悪い油」という話ではありません。 熱を入れる使い方に向いていない、というだけです。ごま油は風味づけに、仕上げでほんの少しかける。それならとても良い使い方です。

それから、亜麻仁油やえごま油は、絶対に加熱しないでください。 この2つはつなぎ目がいちばん多い油なので、加熱するとかえって傷みやすくなります。サラダやお味噌汁に、食べる直前にかけるものだと思っておいてくださいね。

いちばん現実的なのは、「炒め物のときの1本を、オリーブオイルかバターに変える」ことです。買い替えは1本だけ。あとは今までどおりで大丈夫です。

揚げ物は、週に1〜2回なら大丈夫です

ここは、はっきりお伝えしたいところです。

揚げ物のある食事は、たしかに脂質の割合が高くなります。とんかつ1枚は441kcalで、そのうち74%が脂質。唐揚げ3個なら290kcalで、77%が脂質です。

でも、揚げ物を週に1〜2回食べても、ほかの食事がふつうに整っていれば、1週間の平均では脂質25%くらいに収まります。

つまり、やめる必要はまったくないんです。

「今日はとんかつだった」と落ち込む必要も、そのあと何日も控える必要もありません。1食で見るのではなく、1週間で見る。それだけで、揚げ物は普通に楽しめる食べものに戻ります。

むしろ、減らしすぎのほうが心配です

最後に、これだけは書かせてください。

脂質の割合は、多すぎても少なすぎても困ります。 わたしが学んだ中では、20〜25%くらいがちょうどいいとされていました(国の基準は20〜30%です)。

そして、20%を下回ると、こういうことが起こりやすくなります。

  • そもそものエネルギーが足りなくなる(脂質は1gで9kcal、糖質やたんぱく質は4kcalなので、脂質を削るとカロリーが落ちやすい)

  • たんぱく質も一緒に減ってしまう(同じ食材に入っているので)

  • ビタミンD・鉄・亜鉛など、おかずから入るものが足りなくなる

  • 油に溶けるビタミン(A・D・E・K)が吸収されにくくなる

とくに最後のところ。ビタミンAとEをきちんと吸収するには、脂質からのエネルギーが全体の10%を下回らないほうがいいと報告されています。

これは、さっきのドレッシングの話につながります。

野菜をがんばって食べているのに、かけるものがずっとノンオイル(大さじ1で8〜11kcalほど)だと、せっかくの野菜の栄養が、吸収されないまま通り過ぎていくことがあるんです。

野菜と油は、けんかする相手ではなくて、組み合わせるものなんですね。

野菜は食べているのに、食物繊維が足りない理由

今日からできる、小さな一歩

ぜんぶやらなくて大丈夫です。ひとつだけ選んでみてくださいね。

1. 炒め物の油を、オリーブオイルかバターに変える

買い替えるのは1本だけです。量は今までどおりで大丈夫。「減らす」ではなく「変える」ので、しんどさがありません。

2. サラダに、オリーブオイルと塩をひとふり

ノンオイルをやめる必要はありませんが、週に何回かはこちらに。野菜の栄養が入ってきやすくなります。

3. 週に1〜2回、魚の日をつくる

焼くだけ、缶詰を開けるだけでかまいません。おかずの種類が変わると、入ってくる脂の種類も変わります。

気になることがあるときは

コレステロールや中性脂肪の数値を指摘されている方、脂質異常症などで通院されている方は、食べ方を大きく変える前に、主治医の先生に一度相談してくださいね。

数値の判断は、お医者さんにしかできないところです。ここは遠慮しなくていいところなので、聞いてしまってください。

さいごに

「油をひかえなきゃ」と思いながら食卓に向かうのは、けっこうしんどいことだと思います。

でも今日見てきたとおり、あなたが見張っていたのは全体の2割のところでした。そして残りの8割は、部位を変える、火の入れ方を変える、魚の日をつくるという、がまんの要らない方法で動かせる場所です。

減らさなくていいんです。選べばいいだけなんです。

揚げ物は週に1〜2回なら食べていい。サラダに油をかけていい。フライパンの油も、量ではなく種類だけ見ればいい。

そう思うと、少し肩の力が抜けませんか。

自分のペースで、一緒に整えていきましょうね🙂


今日お話しした「脂質のちょうどよさ」も、じつは人によってちがいます。
「私はどこから手をつければいいんだろう?」が気になったら、3分の〈栄養タイプ診断〉から。
あなたに合う整え方のヒントと、そのまま相談できる入口も用意しています。

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