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第100話|理学療法士の一言で、“できること”と“整い方”が変わった日

骨折して2日目までは、正直よく分かっていなかった。

左足のふくらはぎからかかとまで痛みが広がり、むくみも強かった。

当日はアドレナリンで動けていただけで、あとから痛みが一気に出てきた感覚があった。

「どこまで動かしていいのか分からない」

それが一番の不安だった。

少し動かすだけでも痛みが出る。

でも動かさないと、このまま固まっていく気もする。

その間で判断が止まっていた。


骨折経験のある看護師から、ひとつのヒントをもらった。

「足首を回すとか、上下に動かすとか、痛くない範囲ならやっていいですよ」

それだけで少しだけ動かせるようになった。

ただ、動かすと痛い。

これで合っているのかどうかは、まだ分からなかった。


3日目、理学療法士が担当になった。

そこで初めて、判断が少し整理された。

「このむくみは、動かした方がいいですね」

その一言で、線が引き直された。

止めるものと、動かすものが分かれた。


そこからやったことはシンプルだった。

今できる動きを確認する。
痛みの種類を分ける。
できることとできないことを仕分ける。
分からないことは聞く。

やっていること自体は増えていない。

ただ、「分け方」が変わっただけだった。


そして、少しずつ身体にも変化が出てきた。

毎日むくみは減っていった。

最初は強かった腫れも、日ごとに落ち着いていく。

そして手術の日が近づく頃には、膝の痛みもほとんど消えていた。

完全に不安がなくなったわけではない。

それでも、「整った状態で手術に向かえる」という感覚があった。

その感覚は、思っていた以上に大きかった。


入院しても前に進める。

その実感は、この時はっきり形になった。

前進とは、動ける量ではない。

「分けて、判断できる状態を作ること」だった。




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