【音楽家コラム】「ねぇ、エリック・クラプトン(Eric Clapton)って知ってる?」現実は「非常~に厳しい!」ブルースはどこへ・・・ text by MASH
急な話で申し訳ないが、一大事である!実はこの1週間で『エリック・クラプトン』という名を2回ほど、若い女性に尋ねてみた筆者であるのだが、その結果があまりにも衝撃的だった為、急遽この様な文章を寄稿した次第である。お付き合い願いたい。
本誌の読者なら「おいおい、クラプトンみたいな大御所を今更何よ?」と言われるであろうが、「いやいや、待て!」と言いたい。コレは大事件であるのだから!
ちなみに私が行なった質問はシンプルである。
「エリック・クラプトンって知ってる?」
というものである。
女子大生(ギター弾き)
「知ってます。Tears in heaven の人ですよね。」
私
「うっ・・・」
いかがだろうか。「現実は、非常~に厳しい!」のである。
同じ質問をあの女子高生(一般女性)にも試みたところ・・・
「知りません!」
と、キッパリ。
「現実は、非常~に厳しい!」
と、連呼せざるを得ない私である。
(『あの女子高生』については以下記事をどうぞ)
「エリック・クラプトンは女子高生には届いていないのかぁ!」と頭を抱えて喚きそうな私であったが、そこを押し殺しながら「クラプトンを知らない時期があるって幸せだなぁ・・・」などと誤魔化し、心で泣く私であったのである。クラプトンが奏でるギターの様に『泣きのチョーキングが心をザワつかせる・・・』コレって『十分にブルースなお話』ではないかい?
幼少期の私にとって、エレキギターと言えば『エリック・クラプトン』が大先生であった。ビートルズの『While my guitar gently weeps』でリード・ギターをキメる彼に、大いなる尊敬と憧れを抱いた私である。小学生の私が早熟だったわけではなく、当時のガキは多かれ少なかれ「洋楽を聴いていた」わけなのだ。もっと言えば、聴いていなくても『クラプトンは名前くらいは知っている』そんな存在であったのである。
私は当時のクラプトンに酷似した『柳ジョージとレイニーウッド』のLPも購入したくらいなのだが、コチラは当時のガキには「ぴん!」と来なかったことは言うまでも無いだろう。話を戻せば、『Tears in heaven』前のクラプトンとは真剣に向き合い、実際のところ私を『ブルース好きへと向かわせた存在』でもあったわけだ。
ブルース・・・
それこそ、私が危機感を抱いた点はココである。ある意味「世界一、シンプルで美しい音楽」と思われるブルースの存続も危機を感じざるを得ない。クラプトンを知らないとなると・・・BBキングはどうなる?バディ・ガイはどうなる?ロバート・クレイは?そして、もっともっと古い連中・・・マディ、ウルフ、ホプキンス、そしてジョンリー・・・ 彼らはもう誰も聴かないのではなかろうか?この様な心配をして当然である。
「聴き放題となり、逆に本物の音楽は聴かれなくなった・・・」と言ってもいいだろう。この世の裏を知っている私は、「今の時代を生きる価値が無い」とさえ思う時がある。少し前なら「MASHさんの好きなJBって、ぜひ聴いてみたいです!」という女子中学生が居てCDを買って帰ったもんなのだが・・・。ネット・ネイティブたちは「すっかりと飼い慣らされてしまった・・・」というベキなのか?私には分からない。
ただ、私はビートルズにより大きな扉が開き、音楽へ足を踏み入れた男である。そこで『ホワイトアルバム』と『スウィート・トロント』そして『ダーティーマック(当時はR&Rサーカスのブート盤)』により、クラプトンを知ることとなったわけだが、当然そこが『ブルースの入り口』でもあったのである。
もっと名前を上げたい。ポピュラー音楽史に名を残すブラインド・レモン・ジェファーソンはどうなんだ?彼の『マッチ箱ブルース』は?そして、私の大好きなビッグ・ジョー・ウィリアムスの『ベイビー行かないでくれ!』さえも、今や聴かれることがないのか?ビッグ・ママの『ボールと鎖』は?すぐにでもネット検索さえすれば、そこに溢れているはずの音楽なのに・・・
私はこれらの盤を歩いて探した世代である。80年代後半に『チャーリー』や『エドセル』そして『ヤズー』などのマイナーレーベルがコンピレーションを組みレコードを出してくれたお陰で、「やっと有りつけ、真剣に聴いた」わけだ。
そして絶対に忘れたらいかん存在!それがオーストリアの『ドキュメント・レコード』である!彼らが出してくれた『戦前コンプリート・シリーズ』であろう。録音曲が多過ぎるメンフィス・ミニーやタンパ・レッドの完全録音シリーズは大いに私を熱くさせてくれたし、ボ・カーターやヤス・ヤス・ガールなどのマイナー歌手も掘り起こしてくれた・・・実に素晴らしいレーベルであり、唯一無二であった。
私を『ガルシアかぶれのフリーキー・ギタリスト』と見る向きもあるだろう。しかし、その奥底には『ブルース・マン』という深いものが存在し、これはハウリンメガネとも繋がる部分である。少なくても私は「自分はブルースマンだ!」と認識しているし、「ギターとはブルースを語らせる道具である。」とも考えている。だからこそ、私の曲群には『ラブ・ソングが少ない』わけなのである。
先出の女子高生に聞いてみた。
「好きな音楽は?」
「SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)とか・・・」
それを聞き、私は『ブルースという音楽の世界は終わり始めている・・・』と、ついつい言葉尻から結び付けてしまったのだが、あながち間違いではない気もしてしまう。
兎にも角にも、その反動から、昨日は当店『ジェリーズギター』内にて、多くのブルースを歌ってしまった私である。そして、「やはりブルースは音楽の真髄だ!」と実感するところであった。
では、今回はココまで!アディオス、アミーゴ!
編集長『MASH』筆 (P)2025編集長『MASH』が経営するギター専門店『Jerry's Guitar』公式サイトはコチラ
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