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敵だと思っていた人は、テーマではなかったーー強い苛立ちを辿って見えてきた、「誰」ではなく「何が動いているのか」という問い

The real question was never who, but what they awakened in me.


🔥 「なぜ、こういう人を重要な位置に置いてしまうんだろう」

その日のワークは、仕事に関わるある知人への、強い苛立ちから始まった。

以前から、その人に対して小さな違和感はあった。

けれど、その日はなぜか、それまでよりもはっきりと反応が出た。

単純に、
「私はこの人が嫌いなんだな」
で終わらせることもできたと思う。

合わない人とは距離を取ればいいし、仕事上必要なら、関わり方や役割を調整すればいい。

前述のように、その頃の私はもう、誰かを救済しなくていいことも、

その人の未完了まで自分が背負わなくていいことも、かなりわかっていた。

だからこそ、気になった。

もう相手を変えようとしているわけでもない。
理解させたいわけでもない。

それなのに、なぜ私はこの人に、こんなにも強く反応するのだろう。

そして、もう一つの問いが浮かんだ。

「なぜ私は、ときどきこういうタイプの人を、自分にとって無視できない位置へ置いてしまうんだろう」

ただ嫌な人が目の前にいるだけなら、その場を離れれば終わる。

でも、なぜか人生の中には、ときどき強く引っかかる人が現れる。

しかも、まったく関係のない場所ではなく、
自分の仕事や創造に影響するような位置にいる。

そこに何か、自分側の仕組みがあるように感じた。

そこで、筋反射を使って身体へ問い始めることにした。

最初から答えを決めるのではなく、思いつく仮説を一つずつ置いていく。

これは過去の経験から来ているのか。
人間関係のパターンなのか。
まだ何かを恐れているのか。

そして、身体がYESと答えるのか、NOと答えるのかを見る。

身体との対話は、自分が思いついた意味を身体に当てはめることではない。

むしろ、もっともらしく見える答えを、一つずつ外していく作業になることもある。

今回も、そこから始まった。

私が知りたかったのは、この人をどう扱えばいいかではなかった。

なぜ私は、この人にこれほど強く反応する現実をつくっているのか、だった。


🌿 最初に疑ったのは、「女性との関係性」だった

最初に浮かんだのは、女性との関係性だった。

もしかすると私は、幼い頃から、
自分が女性から何故か敵として見られることを学習してきたのではないか。

だから今も、どこかで女性を警戒しているのかもしれない。

あるいは、自分が目立つ場面や、大きさをそのまま出すことによって、誰かから排除されたり、距離を置かれたりすることを避けようとしているのかもしれない。

そんな仮説を立てて、身体に一つずつ問いかけていった。

「私は、女性全体を警戒しているか」
答えは、NO。

「女性から、安心できる人だと思われたいのか」
これも、NO。
「私は、目立つと排除されると思っているか」
NO。

思っていたより、現在の自分にはその反応が残っていなかった。

けれど、
「幼い頃、女性から脅威として見られることを学習しましたか」
と聞くと、ここだけはYESだった。

それは少しおもしろいと思った。

過去には確かに、そういう学習があった。

身体の中には、その記録が残っている。

でもそれは、今も私がその前提で世界を見ている、ということではなかったから。

以前なら、ここで、
「やっぱり幼少期の女性との関係が原因だったんだ」
と結論づけていたかもしれない。

過去にそれらしい出来事が見つかると、人はそこに答えを置きたくなる。

原因が見つかれば、話がきれいにつながるからだ。

でも、身体の答えはそこまで単純ではなかった。

古い学習はある。

けれど、現在の私は女性を警戒していない。

排除されるとも思っていない。

安心してもらうために自分を調整しようともしていない。

つまり、過去の記録は残っていても、
それが今の私を直接動かしているとは限らない。

身体の中に古い予測モデルが存在することと、
その予測モデルを現在の世界観として採用していることは、別の話だった。

ここで、最初に考えていた説明が少し崩れた。

幼少期まで遡れば何かは見つかる。

でも、見つかったからといって、それが今回の答えとは限らない。

だから私は、そこで結論を出さず、もう少し先へ進むことにした。

身体に古い学習が残っていることと、今もその学習によって生きていることは違う。

過去が見つかったからといって、それが現在の答えとは限らないのだ。


✨ 「この人である必要がありますか?」と聞いてみた


女性との過去の学習は、確かにあった。

けれど、それだけでは今回の強い反応を説明しきれない。

どこかにまだ、別の問いが残っているような感覚があった。

そこで今度は、過去ではなく、目の前の相手そのものについて身体に聞いてみることにした。

「この出来事には、この人である必要があるのか」
答えは、NOだった。

少し意外だった。
私はそれまでずっと、
「あの人の何が、私をこんなにも刺激するのだろう」
と考えていたからだ。

相手の態度なのか。
性格なのか。
私との関係性なのか。

その人特有の何かが、自分の古い反応に触れているのだと思っていた。

そこで、もう一つ聞いた。
「この役割を担う人であれば、別の人でも成立したか」
今度は、YES。

ここで、それまで持っていた前提が一つ崩れた。

もし、その人でなくてもよかったのなら。

相手の人格をどれだけ分析しても、核心には届かない。

なぜあの人はこうなのか。
どうしてこんな態度を取るのか。
何を考えているのか。

そうしたことは、現実の関係を判断する材料にはなる。

実際、距離を置きたい相手なら置けばいいし、
一緒に仕事をしたくないなら、そう決めてもいい。

でも、今回私が探していた内側の構造については、それとは別の話だった。

重要だったのは、
誰がそこにいたのかではなく、その人が何を担っていたのか。

そう考えた瞬間、「嫌な人が現れた」という見え方も少し変わった。

その人を好きになる必要はない。

不快だったという感覚を取り消す必要もない。

現実では、自分の基準で関わり方を選べばいい。

ただ、自分の内側を調べるという意味では、
その人は単なる「問題人物」ではなく、何か特定の機能を担っていた可能性が出てきた。

では、その機能とは何だったのだろう。

ここから私は、相手ではなく、その「役割」の方を身体に聞き始めた。

その人が問題なのだと思っていた。

けれど、その人でなくても成立するなら、
見るべきものは人格ではなく、私の人生の中で担っていた機能だった。


🌸 「誰が悪いのか」から、「これは何を動かしているのか」へ


ここまで来ると、最初に立てていた問いそのものが、かなり変わっていた。

最初は、
なぜ私はこの人がこんなに嫌なのか。
なぜ、こういう人と関わることになるのか。
自分の過去の何が反応しているのか。

そんなふうに、原因を人間関係の中に探していた。

でも、
「この人である必要はなかった」
と判明したことで、その問いは成立しなくなった。

もし、別の誰かでも同じ役割を担えたのなら。

重要なのは、その人が何者だったかではない。

その人が現れたことで、私の中の何が動いたのか。

私はそこを見る必要がある。

そこで初めて、
「この存在は、私の中の何を動かすためにここにいたのだろう」
という問いが出てきた。

そして、その視点でこれまでを振り返ってみると、少し気になることがあった。

今回だけではないからだ。

人生の節目で、なぜか強く反応する出来事や人物が現れることがある。

その最中は、面倒だったり、腹が立ったり、どうしてこんなことが起きるんだろうと思ったりする。

でも、そのあとを振り返ると、私は決まって大きく動いていた。

考える。
掘る。
それまで見えていなかった構造を見つける。
そして、その理解をもとに、新しいものや展開をつくり始める。

ただ消耗して終わるのではなく、その出来事のあとには、
なぜか以前とは違う自分や、新しい現実が生まれている。

そういえば、この流れは前にもあった。

一度そう思うと、今回の出来事だけを切り取って見ることができなくなった。

私は、嫌な人が現れるたびに同じ種類の人を引き寄せていたのだろうか。

それとも、人ではなく、もっと別の共通項があったのだろうか。

そこで私は、過去に強く反応した出来事をいくつか思い出しながら、
その共通点を身体に問い始めた。

この頃にはもう、
「あの人が悪かったのか」
という問いには、ほとんど興味がなくなっていた。

現実では、合わない人とは距離を取ればいい。
いくらでも対処できる。

でも、内側の探究として知りたかったのはそこではない。

なぜ私は、人生の節目でこうした現象と出会い、その直後に大きく動き始めるのか。

次に見るべきものは、その構造だった。

いつの間にか「この現象は、私の中の何を動かしているのか」という問いへ変わっていた。

相手は、テーマそのものではなかった。


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