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肩甲骨が守り続けた自由ーー翼は失われたのではなく、安全な日まで眠っていた

My wings were never lost.
They were waiting until I could open them without losing my center.

🪽 肩甲骨には、動かなかった時間が残っていた


肩甲骨は、本来、とてもよく動く部位だ。

腕を上げる。前へ伸ばす。引き寄せる。背中を広げ、胸を開く。

上半身のさまざまな動きに連動しながら、
身体が自由に世界へ関わることを支えている。

私は、10代から最近まで長い間、
肩甲骨が硬いことや、背中の奥へ埋もれているように感じるていた。

単純に「動きが悪い状態」だと思っていた。

動かせないわけではない。
ヨガでも、腕は上がる。肩も回る。
日常生活で困ることもない。

それでも、身体の前面や腕に比べると、
肩甲骨だけが背中の奥で静かに留まっているような感覚があった。

そこだけが、まだ大きく動くことを選んでいないようだった。

一般的な身体論で考えるなら、
自分を表現することへの恐れ、
心を開くことへの抵抗、
自由になることへの不安、
といった意味を当てはめることもできる。

けれど、前の記事までのワークで分かったように、
もっともらしい解釈と、身体自身の答えは同じではない。

だから今回も、「肩甲骨が閉じているのは、自由を恐れているから?」と問いながら、
その答えを一つずつ確かめていった。

返ってきたのは、単純なYESではなかった。

肩甲骨へ問いかけて見えてきたのは、
自由を拒んでいる身体ではなかった。

そこにあったのは、まだ開かない方がいいと判断し、
大切なものを内側へ収めていた身体だった。

肩甲骨は、動けなくなっていたのではない。
自由を失っていたのでも、翼そのものが消えていたのでもない。

むしろ、開けば大きく広がるものがあることを知っていたからこそ、
それを不用意に外へ出さず、背中の奥で守っていた。

必要な時が来るまで。

広げても傷つかない場所と、
広がった自分を支えられる身体が整うまで。

それは、身体が私から自由を奪った時間ではない。
まだ安全に生きられない自由を、壊さずに保存してくれていた時間だった。

肩甲骨に残っていた「動かなかった時間」は、
自由を諦めた時間ではなかった。

翼を失わないために、静かに眠らせていた時間だった。

肩甲骨は、自由を忘れていたのではない。
まだ広げる時ではないと知り、翼を身体の内側へしまっていた。


🌙 翼は、開けなかったのではなく眠っていた


翼を持っていることと、
それをいつでも広げられることは、同じではない。

翼を開けば、身体やエネルギーは大きくなる。

これまでよりも広い場所を取り、遠くへ行けるようになる。

速度も、視界も、関わる世界も変わっていく。

それは自由であると同時に、
自分の力が及ぶ範囲そのものが広がることでもある。

だから、その自由を安全に扱える身体や環境がまだ整っていないとき、
翼を開かないことは、必ずしも臆病さではない。

生命にとっては、閉じておく方が正しい時期もある。

自由そのものが危険なのではない。

ただ、広がった自分を支える中心が必要だった。

飛べる力に飲み込まれないこと。

自由を、今いる場所から衝動的に逃げ出すために使わないこと。

遠くへ行けるからといって、
自分の身体や、すでにある現実を置き去りにしないこと。

何にも縛られないことだけを自由だと思えば、
翼は自分を地上から切り離す力にもなり得る。

けれど、私の身体が待っていたのは、
どこまでも遠くへ行けることではなかった。

どこへ行っても、自分の中心へ戻ってこられることだった。

翼の大きさに見合うだけの器が育つこと。
広がっても、自分を見失わないこと。
自由になっても、身体や現実とのつながりを失わないこと。

その準備が整うまで、肩甲骨は翼を身体の奥で眠らせていた。

眠っていた時間を、力がなかった時期だとは思わない。

翼は、その間も確かに存在していた。

外からは見えなくても、失われてはいなかった。

表へ出ないまま、開く日に向けて静かに育ち続けていたのだと思う。

身体は、私から自由を奪っていたのではない。

まだ扱えない自由を不用意に開き、傷つけたり、浪費したりしないように守っていた。

いつか翼を広げたとき、それを逃走ではなく創造に使えるように。

自由の勢いで自分を見失うのではなく、
自分の中心から世界へ広がっていけるように。

肩甲骨は、時期を見ていた。

翼が安全になる日ではなく、私が翼を安全に生きられる日を待っていた。

翼は、開く力がなかったから閉じていたのではない。
その自由を失わずに扱える日まで、身体の奥で眠っていた。


✨ 今なら、翼を開いても中心を失わない


肩甲骨が翼を閉じていた理由が見えてきたとき、私は身体へ一つずつ問いかけた。

「翼を開いても、今の私は安全か」
返ってきた答えは、YESだった。

「これまでより大きく広がっても、自分の中心にいられる?」
これも、YESだった。

そして、
「自由になっても、身体や現実から離れずにいられる?」
と尋ねた。
身体は、やはりYESと答えた。

その答えを受け取ったとき、
肩甲骨が長く続けてきた役割は、もう終わりに近づいているのだと分かった。

以前の私は、広がる力を持っていても、
それと同じだけの器や中心をまだ身体全体で育てている途中だった。

遠くへ行ける力があることと、どこへ行っても自分でいられることは違う。

自由を求めることと、その自由を現実の中で生きられることも違う。

だから肩甲骨は、翼だけが先に動き出さないように待っていた。

けれど今は、身体のほかの部位も、
それぞれの役割を更新し始めている。

脚は、耐えるために踏ん張るのではなく、
自分が望む方向へ身体を運べるようになった。

二の腕は、強い生命力を緊張によって管理し続けなくても、
その力を身体全体で扱える器を育て終えている。

中心は、もう身体の外側にはない。

誰かの反応や、環境の許可によって決まるものでもない。

私は、自分の身体の内側にある中心へ戻ることができる。

だから、翼だけが単独で身体を引っ張っていく必要はなくなった。

脚は地上に立っている。
中心は身体の内側にある。
その土台の上で、背中が広がり、翼が開いていく。

それなら、飛ぶことと地に足をつけることは矛盾しない。

自由になることと、現実を生きることも両立する。

大きく広がるほど、自分から離れていくのではなく、
より深く自分の中心から世界へ関われる。

ここで大切だったのは、肩甲骨を外側から無理に開こうとしないことだった。

翼は、引っ張り出すものではない。
硬さを敵にして、力で押し広げるものでもない。

身体がもう閉じて守らなくていいと理解したとき、内側から自然に広がっていくものだ。

肩甲骨が緩むことは、守りが壊れることではなかった。

翼を閉じていなくても、自分の中心を保てる身体になったということだった。

もう翼を開いても中心を失わない。
地上に立ったまま、自分の大きさで広がることができる。


🌸 飛ぶことは、ここから離れることではなかった


翼と聞いて、イメージするもの。

今いる場所を離れること。
制限を超えること。
誰にも止められず、どこまでも自由になること。

けれど今回、肩甲骨との対話の中で見えてきた翼は、現実から逃れるためのものではなかった。

むしろ、もっと深くこの世界を生きるための翼だった。

背中が広がれば、呼吸が通る。
肩甲骨が自由に動けば、腕をより遠くへ伸ばせる。

身体の前側だけで世界と向き合うのではなく、
背後にも、左右にも、自分の存在が広がっていく。

翼を開くことは、どこか別の場所へ消えていくことではなかった。

自分の身体の中で、これまでよりも大きな空間を生きることだった。

自分を小さくまとめない。
周囲に収まりやすい形へ縮めない。
広がる力を持っていることを、遠慮しない。

それでも、足は地上にある。

中心も、身体の外ではなく、自分の内側にある。

だから私は、自由になるために現実を捨てなくていい。

誰かとの関係を断ち切る必要も、日常から離れる必要もない。

ここにいながら、自分の大きさを生きていい。

翼は、失われていた力を取り戻す象徴ではないのだと思う。

その力は、最初から身体の中にあった。

ただ、翼だけが先に開くのではなく、
脚も、腕も、中心も、その自由を支えられるところまで育つのを待っていた。

そしてようやく、身体全体が翼の大きさに追いついた。

肩甲骨が開くとは、
もう自由を閉じ込めておかなくても、安全に生きられると身体が理解したことだった。

飛ぶことは、ここを捨てることではない。

この身体で、この現実に立ったまま、
自分の存在をより大きく世界へ広げていくことなのだ。

翼は失われていたのではない。
私が自分の中心に立ち、その自由を安全に生きられる日まで、肩甲骨の奥で眠っていたのだ。


身体は、
治すためだけにあるものでも、
理想の形へ矯正するためにあるものでもない。

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