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「逆境に強い」は、本当に長所だったのだろうかーー強さそのものではなく、その力が起動する「条件」を見直す

Strength was mine. Adversity was only the trigger.

⚡ 私はずっと、「何かあった方が強い」と思い込んでいたらしい


振り返れば私は昔から、何か問題が起きたときほど強かった。

予定どおりに進まない。
思いがけないトラブルが起きる。
時間がない。
条件が悪い。

そんな状況になると、困るより先に頭が動き始める。

「じゃあ、どうする?」
と考える。

追い込まれると集中力が上がるし、
制約がある方が、むしろアイデアが出ることも多かった。

一度崩れたものを元に戻すだけではなく、
そこから別の方法を考えて、気づけば最初より良い形にしている。

だから私は、自分のことをずっと、
わりと「逆境に強い人」
だと思っていた。

転んでもただでは起きない。
何があっても、そこから何かを拾う。
嫌な出来事が起きても、最後には結果オーライへ持っていける。

それは、今でも自分の強みだと思っている。
否定したいわけではないのだ。

実際、この力があったからこそ、
思いどおりにならない状況の中でも何度も立て直し、
そのたびに新しい道をつくってこられた。

だから、「逆境に強い」という自分の性質を、疑ったことはほとんどなかった。

むしろ、何かあったときに発揮される自分の強さを、かなり信頼していたと思う。

でも前回のワークで、
「抵抗があることで、創造性が起動するか」
と身体に聞いたとき、答えはYESだった。

そこで、初めて少し見え方が変わった。

逆境の中でも力を発揮できること。
そして、力を発揮するために逆境を必要としていること。

この二つは、似ているようでまったく違う。

困難が来ても使える力なら、それは純粋な強さだ。

でももし、
困難が来たときにしか、その力を最大まで使わない仕組みになっているのだとしたら。

そこには、「逆境に強い」という言葉だけでは見えない、別の条件が隠れている。

私はここで初めて、自分の強さそのものではなく、その強さが起動する条件を見ることになった。

逆境の中でも力を使えることは強さだった。

でも、逆境がなければその力を使えないのだとしたら、それは別の仕組みの話になる。


🔥 強さの裏側に、「起動条件」が隠れていた


ここで一つ、はっきり分けて考えたくなった。

私の中にある創造力そのものと、
その創造力がいつ起動するのか、という条件は同じではないはず。

洞察する力。
構造を見る力。
問題が起きたときに、別の道を見つける力。
必要なものを組み直し、現実の中に形として出していく力。

そうしたものは、抵抗が与えてくれたわけではない。

もともと、自分の中にあった力だ。

でも長いあいだ私は、その力を最大まで使うための条件として、
「何かが起きること」
を必要としていたのかもしれない。

何かが壊れる。
誰かに強く腹が立つ。
身体に問題が起きる。
思いどおりにいかない。

すると、自分の中のシステムが、
「本気を出す時間だ」
と判断する。

そこから一気に集中力が上がり、
頭が冴え、必要な情報を集め、構造を見つけ、創造が始まる。

そう考えると、これまでの自分の動きがかなりよく説明できた。

私は、逆境によって力を与えられていたのではない。

逆境が来ることで、すでに持っていた力を呼び出していた。

ここは、自分の中ではかなり大きな違いだった。

もし抵抗そのものが力の源だと思っていたら、抵抗がなくなることは、
「自分の強さまで失うこと」
のように感じてしまう。

穏やかになったら鈍るのではないか。
問題がなくなったら、何も生み出せなくなるのではないか。
追い込まれなくなったら、自分らしい切れ味までなくなるのではないか。

でも、そうではなかった。

火は、最初から自分の中にあった。

抵抗は、その火をつくっていたのではなく、ただ点火の合図になっていただけだった。

だとしたら、変える必要があるのは力そのものではない。

その力を呼び出すための条件の方なのかもしれない。

抵抗が私に力を与えていたのではない。
もともと私の中にあった力を、抵抗が呼び出す合図になっていた。


🌿 困難を称賛すると、古い回路を見落とすことがある


「苦労したから、今の自分がある」
「困難が人を成長させる」
「逆境を越えた人は強い」

そういう言葉は、ある意味では本当だと思う。

実際、困難の中だからこそ身についた力もある。

思いどおりにならない状況の中で、
自分の考え方を見直したり、
それまで使っていなかった能力を使ったり、
新しい方法を見つけたりすることもある。

私自身、そうやって何度も現実を動かしてきた。

だから、過去の困難を否定したいわけではない。

「あんな経験は全部無駄だった」と言いたいわけでもない。

ただ、今回のワークを通して見えてきたのは、
その物語を美しくまとめすぎると、一つ見落とすものがあるということだった。

私は、困難から学べる人ではあった。

でも同時に、
困難が起きると、最も強く起動する人でもあった。

この二つは、似ているようで結構違う。

起きてしまった困難を素材として使えること。
そこから何かを学び、次の創造へつなげられること。
それ自体は、自分の力だと思う。

でも、
創造するために、無意識のうちに困難という素材を必要としているのだとしたら。

それは「困難を活かせる」という話とは別になる。

振り返れば、この回路はずっとよく機能していた。

問題が起きれば、私は動いた。
壁があれば、考えた。
思いどおりにならなければ、別の道をつくった。
そして実際に、そこから結果を出してきた。

だからこそ、この仕組みを疑う理由がなかったのだと思う。

人は、うまく機能しているものを「問題」とは呼ばない。

むしろ、
「これが私の強さ」
「これが私らしさ」
として、自分の一部にしていく。

今回私が見つけたのも、弱さではなかった。

強さの使い方に、ある条件がついていたということだった。

逆境が来れば力を出せる。
それは今でも強みだと思う。

でも、その力を使うために逆境まで必要なのか。
そこは、初めて分けて考えていいところだった。

長所として機能しているものほど、その奥にある条件には気づきにくい。

私は「逆境に強い」という成功体験の中で、抵抗を必要とする回路を見落としていた。


🌸 もし、何も起きなくても同じ力を使えるとしたら


ここまで来て、私が見直したかったのは、
「逆境に強い自分」
そのものではなかった。

何かが起きたときに、そこから立て直せること。
トラブルを素材に変えられること。
条件が悪くても、その中から別の道を見つけられること。
それは今でも、自分の大切な力だと思っている。

これから先、何か想定外のことが起きたとしても、私はきっとまた考えるし、必要なら組み直すし、そこから何かを創るだろう。

その力を捨てたいわけではない。

ただ、初めて別の問いが生まれた。

抵抗がなくても、この力を使えるのだろうか。

何も壊れていなくても。
誰かに強く腹を立てていなくても。
危機が起きていなくても。
時間に追われてもいなくても。

安心しているときに、同じくらい深く潜れるのだろうか。

楽しいことをしているときに、同じくらい集中できるのだろうか。

すでに満たされている状態から、さらに新しいものを生み出すことはできるのだろうか。

考えてみれば、これはずいぶん違う創造の仕方だ。

これまでは、何かが起きることでスイッチが入っていた。

目の前に問題が現れる。
そこに反応する。
そして、そのエネルギーを使って一気に創造へ入る。

でも、もしそのスイッチを外側の出来事に押してもらわなくていいとしたら。

自分の内側にある好奇心や喜びや生命力から、直接その力を起動できるとしたら。

私の強さは、何かと戦うためだけのものではなくなる。

困難を越えるときにしか使わなかった能力を、何も壊れていない場所から未来をつくるためにも使えるようになる。

そう考えたとき、初めて、
「次の創造の仕方」
というものが、うっすら見え始めた。

問題は、逆境に強いことではなかった。

その強さを起動するために、これからも逆境という条件を必要とし続けるのか。

そこだった。

そして私は次に、身体へそのまま聞いてみることにした。

抵抗がなくても、私は創造できるのか、と。

私は、逆境に強い自分を捨てたいのではなかった。

ただ、自分の最高の力を使うために、逆境まで必要とし続けるのかを、初めて問い直した。



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