【#シロクマ文芸部3月③】出発!
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
上記プラス、おばあさんが読み聞かせをするというスタイルを今年は取ることにしました。そのため、シロクマ文芸部のお題から始まる部分が読み聞かせとなり、その後に会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。
3月の物語1回目はこちら👇
3月の物語2回目はこちら👇
雷は行人を照らします。さっきまで晴れていたはずなのに。譲はゴクリと喉を鳴らしました。最初は小鳥、そして行人、次に雷。当たり前のように変身をする行人と突然の雷に譲は混乱してしまいました。
「さっきまで晴れていたのに」
「今も晴れているよ?」
そう行人は言ますが。ペカー。また雷が行人を照らします。薄暗い譲の部屋で行人だけがぼうっと青白く浮かび上がりました。
「ほら!また光って……」
「ああ、これ?」
行人が窓を開けると、そこには大きな汽車が。
ペカー。
行人が窓を開けたと同時に汽車がライトをつけました。雷だと思っていたのは機関車の灯したものだったのです。
「雷じゃなかっ……って、え?ここ2階だよ!」
「うん。でも、僕達汽車で旅行に行こうって約束したよね」
「そうだけど」
春休みになったら、2人で汽車に乗ろうと約束をしていました。でも、その前に行人が行けなくなって。行人と出かけるのが楽しみだった譲は、理由も聞かずに行人に「嘘つき!」と叫んでしまいました。
悲しそうな行人を残し譲は走り去りましたが。家に帰るとすぐに行人に会いに行きたくなります。どんなに怒っても行人は譲にとって大切な友達なのです。仲直りをしないうちに、学校は休みに入りました。譲は行人に謝るチャンスを失くしていたのです。
「最初の約束を守れなくてごめん」
「僕のほうこそ……」
「そうだね、あれは辛かったな」
冗談めかして譲に文句を言った行人は、ふっと寂しそうな顔をして「本当は僕も行きたかったんだ」とつぶやきました。
「行人くん……本当にごめ……」
「だからね!僕は鳥になって、汽車も用意して君に会いに来たんだ!」
さっきまでの寂しそうな表情はどこへやら、キラキラとした笑顔で行人は手を譲に伸ばします。行人の笑顔を見ているうちに譲は小鳥だったことや汽車が宙に浮いていることなどどうでも良くなりました。
「さあ、行こう!」
「うん!」
2人は窓からピョンと飛び出します。ストン。汽車がフカフカのシートで彼らを受け止めます。
「出発進行!」
銀河に続く透き通る線路を汽車はペカーっと照らし、グングンとスピードをあげていきました。
「すごいスピードだ!」
「譲くん!窓の外!」
「魚だ!え?熊の親子も犬もいる!」
「いるよ!だって星空だぜ!」
なるほどーと納得した譲を見てアハハハと行人は笑いました。
📚📚📚
「お空を飛ぶ汽車に乗りた~い」
「ぼくも!」
そうだねぇ、乗りたいねぇと言いながら本を閉じるおばあさん。
「どうしたら乗れるのかなぁ?」
そうねえと、しばらく考えたおばあさん。
「ひと眠りしてから考えましょうか」
と2人にフワッと布団をかぶせます。
「ずるーい」
「まだ寝たくなーい」
しばらくの間、子ども達はおばあさん相手に、きゃっきゃとふざけていましたが、すぐに可愛らしい寝息を立て夢の中へ。
「ふぅ。寝つきが良くって助かるわ」
(つづく)
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。
