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「地域文化資本」を活用した学びの場「地域文化資本ラボ オンラインゼミ」を立ち上げます。

quodの一連の活動で得た知見を活かして、地域の文化資本を研究・分析する「地域文化資本ラボ」。この度、地域に実践の場を持つメンバーと相互に学び合うコミュニティ「地域文化資本ラボ オンラインゼミ」を立ち上げることになりました。今回のnoteでは、オンラインゼミの概要や目的、4月初旬に行ったミートアップで感じた課題について書きたいと思います。


実践の共有を通して、最適なヒントを紡ぎ出す

quodではここ3年ほど、地域が持つ自然や文化を資本として活かすことで認知・イメージを高める「ローカルプレイスブランディング」に取り組んできた。その中で感じるのは、物件開発等のプロジェクト企画や地域運営法人の経営に対するニーズが高まっているにも関わらず、それらの知識やスキルを体系化して共有する場がないということ。

地元DMO/DMCとともに企画・運営に携わるアートホテル「楽土案」。富山・砺波平野の散居村を守り、民藝の魅力を伝える

しかし、単に情報共有ができればいいというわけではない。地域によって抱える課題は異なるため、他の地域の成功事例をそのまま当てはめたところで、必ずしもうまくいくとは限らない。リアルな現場に携わっている人同士が、それぞれの専門性から導き出したノウハウを共有し、足りない部分を補完し合うことで初めて、ベストな解決策の糸口が見つかるのではないだろうか。かつ、そのサンプルが多ければ多いほど解像度は上がるはずだ。

長野にて民間エリアアセットマネジメント会社「白樺村」を設立し、レイクリゾート構想の一環として白樺湖に桟橋を建設

そこで今回、quodが培ってきた知見を日本全国に普及させ、各地域で取り組むプレイヤーの後押しをするために、「地域文化資本ラボ オンラインゼミ」を立ち上げることにした。ポイントは「実践の場を持つメンバーが相互に学び合うコミュニティ」であること。僕が一方的に講義をしたり、答えを提示するプログラムではなく、メンバー間でのディスカッションや考察を通して、学びを耕していく場にしたいと考えている。

理論を説くのではなく、どう実践するのかを考える

今回、オンラインゼミの0期生として5人のメンバーが集まった。個人で伝統工芸の工房ツアーを運営している方、大手広告代理店やスタートアップを経て地域づくりに取り組んでいる方、大手鉄道会社・観光コンテンツ系スタートアップに勤務している方、地方行政の政治に興味がある方などさまざまで、それぞれ北陸、関西、中国地方で活動している。メンバー構成を加味し、今後0期生と進めていくプログラムでは以下のような学びを掘り下げる想定だ。

  • 「地域を何とかしたい」という想いを事業の形にする 

  • 地域らしさを深く伝える物件やツアーを企画し、それらを連動させる

  • 地域とそこに住む人をよくするための法人を立ち上げ、運営する 

  • 地域振興や産業振興を目的とした観光の入り口をつくる 

  • 上記を実現するための資金調達やお金の流れをデザインする

  • 実績が積み上がっていくようなエリアコミュニケーションに取り組む 

プログラムの実施に先駆け、4月初旬にメンバー全員でミートアップを行った。そこで、1月に「ART JOB FAIR」のプレイベントでも話した地域発展の構造(前回note参照)について触れたところ、「理論は理解していても、実現するとなるとなかなか難しい」という声が多く挙がった。

この図が表すのは、地域で生み出された産業で域外に価値を発揮し、外貨を稼ぐことで利潤が得られ、それを地域に再投資することでさらに発展し、新たな文化が生まれていくという循環構造だ。昔の日本は基本的にこうした構造になっていたが、グローバル化が進んだことによって、地域で出た利潤を再投資せずに違う形で発展させる仕組みが広まった。そこで、この循環を取り戻そうという動きが近年増えてきているのだが、実際のアプローチ方法がわからないというのが地域の中での肌感のようだ。今後プログラムを進めていく中で、循環させる上でそれぞれの地域に足りないパーツをクリアにできればいいと思っている。

地域経営を考えるには「過去」の理解も必要

また、ミートアップでは下図をもとに、地域を形成するレイヤーに時間軸をプラスして考える必要性についても触れた。

短期的に物事を考える場合には表層的な部分に注目するが、地域経営には長期的視点が必要だ。自然環境や精神文化など、地域が辿ってきた数千年、数万年もの歴史を理解した上で未来を見据え、今を見つめ、地域の方向性やコンセプトを定めるステップが重要になる。

メンバーと話す中で、この中の「STEP1」が意外と盲点になっていることがわかった。そして「自然環境や精神文化が現在の産業とどう繋がっていくのかを読み解く方法がわからない」という意見もあった。この辺も、今後掘り下げていきたい議題の一つである。

プロジェクトもファイナンスも自分でデザインする

今後、オンラインゼミで取り上げるテーマは以下を予定している。

  • 取り組み事例の概要

  • エリアリサーチの考え方

  • 地域経営の仕組みづくり・法人化

  • 地域文化資本を活用した物件開発・事業開発の考え方

  • 地域文化資本を活用するためのファイナンス 

  • エリアブランディングの考え方・エリアコミュニケーションの考え方 

ミートアップを経て、それぞれのメンバーに壁打ちしたい議題をヒアリングしたところ、以下のようなテーマが挙がったため、これらも併せて掘り下げていきたいと思っている。

  • ステークホルダーの巻き込み方

  • 補助金からの脱却方法

  • 利潤を得る方法とバランス配分・規模感

  • 地域産業を持続させるための打ち手

  • 地域への再投資を促す企業向けのアクションプラン

オンラインゼミを立ち上げるにあたり、改めて思うことは、物事を構造的に捉える視点がいかに重要かということ。僕自身、幼い頃に全国を巡り、大学で都市計画を学び、日本政策投資銀行で産業・地域金融のナレッジを得て、地域を構造的にデザインする思考を身につけられたことは、今の活動においてとても意味のあることだと感じている。

長期的・戦略的な投資ファイナンスは、基本的に外資系投資銀行や証券会社、メガバンクの特定の部署などの一部の金融機関しか行っていないことが多い。そのため、地域で投資的なプロジェクトを立ち上げる際には資金調達が大きな課題となる。ではファイナンスリテラシーを備えていればOKかというと、それだけでは不十分で、想いを事業として具現化する能力があって初めて資金調達が可能になる。つまり、プロジェクト企画と資金の巡りの両面を構造的に捉え、自らデザインできるノウハウを持つことがカギとなるのだ。

もう一つ感じたのは、これまでの活動で得た実践知だけでなく、形式知もしっかりと積み上げていく必要があるということ。まずはもっと本を読まなければダメだなと思っている。どんなに忙しくても毎日10分は本を読むようにしているのだが、まだまだ十分ではない。加えて、全国の優良事例も広く集めていく必要があるので、quodのメンバーやインターン生も巻き込みながら、時間をかけてリサーチしていきたい。

「地域文化資本ラボ オンラインゼミ」は走り出したばかりで、まだ課題らしい課題も見えていないが、ひとまず楽しみで仕方がない。ミートアップの時点ですでに自由な議論が起こり、メンバー間で新たなコラボが生まれる予兆も感じられた。このnoteでも、オンラインゼミで出たトピックスの考察や、関連書籍の紹介記事などを書いていけたらいいなと思っている。


【オンラインゼミに関するお問い合わせはこちらまで】
地域文化資本ラボ事務局
lcc-lab@cfquod.jp


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