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【寄稿】最速で最初の1枚(生物探検家・トノムラ)

本記事は「虫撮り機材ガイド」の寄稿編です。
生物探検家トノムラ さんに、暗所・夜間・室内など外光の少ない環境を想定した実践的な撮り方と、愛用機材/設定の考え方を寄稿いただきました。最初の1枚を最速で得るためのワークフローを中心に、経験者ならではのリアルなコツをお届けします。


生物探検家トノムラ

雑誌季刊奇蟲の編集長 
生物を撮影するために世界中をウロチョロしている。
X:https://x.com/Gaison64

「うわああああああ!!撮れたッ!!!!!!!!!」
最初の1枚の感動が俺を8年間つき動かした。だからこれから始める人には1枚目の感動を今すぐ味わってほしい。虫を撮るのは実は難しくないぞい!とはいえ多くの方は念写スタンドをもっているわけもないから必要な機材から見ていこう。

この記事はこんな人にオススメ
・暗い林内にいる虫を撮りたい
・夜に虫を撮りたい
・室内で撮りたい
・撮影チャンスに強くなりたい

こんな人は一旦は読み飛ばしてもいいかも?
・真昼間に明るい場所で虫を撮りたい
・自然光で撮りたい

筆者はオオムカデ(昆虫ではない!)を専門に撮影している。そのため外部からの環境光がほとんどない場所での撮り方を身に着けてきた。よって今回は真昼間にチョウやトンボを自然光で撮りたい人向けの記事は別の方にお譲りする。薄暗い林内で、あるいは真夜中、はたまた室内で白バックなどを撮りたい人は一読の価値があるはずだ。

必要なもの
・ミラーレス一眼
ストロボが繋げられれば古くても大丈夫
E-M1で撮りはじめ、現在はⅡとⅢをメインに使っている
・ズームレンズ
好きな虫がデカいならキットレンズでも十分とれるぞい
筆者は12-100mm F4.0 を最初に買い、今でも愛用している(2代目)
・マクロレンズ
好きな虫が4cm未満ならあった方がいいと思う
60mm F2.8 を最初に買い、今でも愛用している(3代目)
・ストロボ
単3電池4本で駆動するタイプなら大体どれでも大丈夫
Godox TT600をメインで使っている(6代目)
・ディフューザー
白いビニール袋3枚を膨らませてストロボにかけるといいよ
ハクバ クリップオンストロボディフューザー 2WAY Lサイズ(∞代目)

※断りがない機材はすべてOM SYSTEM(旧OLYMPUS)
セッティング例

「うわあ!いっぱいボタンとダイヤルがあるよ!なんじゃこりゃあ!!」
というのが私がカメラを手にした最初の感想である。
だが大きく分けてカメラの設定は5つしか触らなくていい。

・マニュアルモード(M)
・シャッタースピード
・絞り
・ISO感度
・色温度

そして今でも使っている黄金の設定をお伝えしよう。

・マニュアルモード
・シャッタースピード 1/125秒
・絞り F8.0
・ISO感度 200
・色温度 太陽光

そしてこれですぐ室内で写真を撮ってみてほしい。
きっと薄暗い写真、あるいは真っ黒な写真が撮れることだろう。
だがこれでいい!

ここにストロボで光を足してやると……
周囲の光が混ざらないストロボ光のみで作り出された写真が撮れるのだッ!!
写真とは光の画である。まずはストロボ1灯から描き出そう。
明るさの調節はストロボのダイヤルのみで行う!

◇せんもんてきなかいせつ

Mモードにするとシャッタースピード、F値、ISO、色温度を自分で選べる。自分で設定することでカメラに撮らされるのではなく、はじめて自分で撮ることができるようになるのだッ!
カメラとストロボには同調速度に限界があるッ!
本当は1/250秒のようにメーカーの推奨する最速のシャッタースピードにしたいが、ここでは知ってるカメラで1番遅いものに合わせたぜ!説明書が読めるタイプなら出来るだけ速い設定にしてくれ!

◇せんもんてきなかいせつ

ストロボの光は明るいだけじゃあないぜ!瞬間的な閃光である事にこそ意味があるッ!
出力を抑えてやれば閃光時間は実に1/10000秒とも言われており、手ブレや被写体ブレから解放されることになる。これがストロボ光だけで写真を撮る意味だッ。


写真には後から容易に変えられること、そして変えることが困難なことがある。

・ピント
・ブレ
・構図

この3点は後から変更することが容易ではない。
しかし明るさや色など、他の事は多くの場合、Photoshopで変更することができるのだ。
よって、最初はこの3点にのみ心血を注ぐことを推奨したい。

ピント

昆虫写真において最も重要な要素はピントである。
基本的に写真は手前の目にピントが合っているとイイ感じである。
というか合っていないと気持ち悪い。ここがスタートラインという感じだ。
大体オートフォーカスが備わっているだろうから
シャッターボタンを半押しして手前の目にピント合わせを行ってほしい。
あんまり近づきすぎるとそもそもピントが合わないことがある。
慣れないうちはちょっと引きで撮ると楽だ。

ピント成功例
ピント失敗例
なにかわからないし、どこを見ていいのかわかりにくい

ブレ

真っ暗な状態にストロボ光を足すスタイルの場合はその閃光時間の短さからブレはないものと考えていい。よって割愛する。筆者は基本的にオオムカデを撮影しているため、撮影地は薄暗い林内か真夜中である。昼の虫については他の方の解説をぜひ……。

でもブレててもボケても気に入ってる写真ってのはあるんだよなぁ

「ホントに俺ケニアにいるんだよな?」というふわっとした気持ちと写真のブレボケがマッチしたのかも知れない

構図

まずは日の丸を覚えたらイイ感じである。
虫をど真ん中に配置してあげよう。虫が主役である。素晴らしいッ!
トリミングすると寄ることは出来るが、引くことは出来ない。
虫好きはドンドン寄ってしまう傾向があるが、文字を入れるときに引きの写真も撮ってあるとなんだかんだ助かる事が多い。

図鑑写真として使う際は日の丸
文字を入れる場合は片方に虫を寄せるか引き気味で撮ると良い結果が得られることが多い。

特に図鑑写真で意図がない場合は日の丸にすると良い。

3分割構図の例(写真の縦横をそれぞれ3等分し、その線や交点に被写体や眼など重要な部分を配置する構図)文字を入れるならこういった構図を撮っておくことも必要になる。

構図がよくわからない?そんな人は虫の好きな部位にめちゃくちゃ寄って撮るといいです。僕はそういう写真が好きだからです。

日の丸でとってみたがパッとしない?

そんな時はめっちゃ寄ってみよう。
少なくとも俺はそういう写真がタイムラインで流れてきたら嬉しい。

◇せんもんてきなかいせつ

構図の中にはアングルも含まれる。
一般に図鑑など説明で使うにはハイポジション×ハイアングルのように高い位置から見下ろすように撮る。

作品として発表する場合は
ローポジション×平行アングルのようにカメラを低い位置に構え真横にして撮るか、
ローポジション×ローアングルのようにカメラを低い位置に構え、上に向けて撮ることが多い。

ハイポジション×ハイアングルの例

一般にハイポジション撮影では「サスライアリの行列」のように状況や昆虫そのものを説明する際に使いやすい写真になる。

ローポジション×平行アングルの例

同じ位置から撮影したがかなり印象の違う写真が出来る。表紙や作品などに使いやすい。

ハイポジション×ハイアングル
ローポジション×平行アングル

目的に応じて構図を変えられるようになると上達が早まるぞい!

おわりに

設定を組んでしまえば、ストロボで明るさを調整して、シャッターを切るだけである。芸がない感じがするが、この方法はとにかく出が早い。これに尽きる。
ちょうど葬送のフリーレンのフェルンが戦闘では一般攻撃魔法しか使わないように、速く撮ることに注力して、本来はいろいろできるはずの技を封印しているイメージだ。もちろん相手が撮影時間を許してくれるならフリーレンの如く戦闘でも様々な魔法(技術)を使うことになる。でもガチャガチャいじるのはある程度「こう撮りたい!」がもっと明確になってからだと思う。まずは撮れる喜びを知ってほしい。そしてこれらの記事を読まれた方がバリバリ撮るようになられるころには「露出の三角形」「自然光とストロボのミックス」「焦点距離による見え方の違い」など中級者以上向けの企画も出るだろうということで、このあたりで筆をおくことにする。

謝辞
ケニアでの撮影は むし岡だいきさん、たまやさんにご協力いただきました


この写真の「構図」はどう?など具体的な質問は気軽にTwitterでして頂いて大丈夫です。そんな教えるほど写真をわかってるわけじゃないんだけど、役に立てるなら幸いです!


かいたひと
生物探検家トノムラ

雑誌季刊奇蟲の編集長
生物を撮影するために世界中をウロチョロしている。
X:https://x.com/Gaison64


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