心理学の教授に聞いた「自己肯定感」を高める方法
心理学講義の質問タイムにて
最初の質問は
「自己肯定感を高めるには、どうしたらいいですか?」
だった。
――これは前回の話の続き。
昨年の冬、
私が通信制大学のスクーリング(対面授業)を受けた時のこと。
講義がすこし早く終わり
余った時間は質問タイムになった。
『みなさんの段取りがよかったですからね』
と、心理学実験の担当教授がそう言って笑った。
教室内の空気がフワフワっと揺れた。
私たちはちっとも段取りなんて良くなく、教授は中盤まで苦笑いをしていたからだ。
「心理学の質問なら、どんなことでもいいですよ。
僕でわかることは、できる限り答えます」
そこで出たのが、冒頭の質問。
と、いうわけ。
教授、不穏に教室をどよめかせる
以下が教授の回答。
「『自己肯定感』最近、よく聞きますよね。
自己肯定感が低いとか高いとか。
でも、心理学の領域においては
『自己肯定感』って言葉、
まだ定まった定義がないんですよ。
今のところ、心理学的に自己肯定感とは
心理学の「self-esteem」…ええと、セルフ・エスティームというのは日本語でいうと『自尊感情』、ありのままの自己を尊重し受け入れる気持ち。もっと簡単に言ってしまうと「自分を好ましく思う感情」です、
それと「self-efficacy」、セルフ・エフィカシーは『自己効力感』。自分にはできる!という感覚、
このふたつに近い概念。そんな感じです。
『自己肯定感』とは、『自尊感情』と『自己効力感』に近いような、合わせたような、まだふんわりした言葉なんです。
ここまで踏まえて
僕の考える『自己肯定感を高める方法』
を伝えます。
ヒトは社会的動物、つまり他者との交流や協力によって生きている。
要は『群れで暮らす動物』なので
その中で自分を肯定したい、というなら
「下方比較」をすることでしょうね。
自己肯定感を高めるには
「下方比較をする」
つまり
自分よりも不幸な人や劣っている人と
自分を比較することです。
不幸な人や劣っている人と
自分を比較すると、
「自分はまだマシだ」って安心するでしょう?それです。
自分が彼らより上にいることを認識して、自分を肯定する。
そんなところですかね」
今度は教室全体に
「うわぁ…」という空気が流れた。
「いや、だって、そうでしょう?
欲しかった答えじゃないっていうのもわかりますよ。でも、そういうことでしょう?」
教授はまた苦笑いをした。
あらためて『自己肯定感』を考える
『自己肯定感』という言葉に、どんなイメージを持っていますか?
そして『自己肯定感』という言葉を見聞きした時、どんな感情を持ちますか?
私は個人的に、いい言葉だと思うけど、正直ちょっとモヤモヤします。
ずっと考えていると苦しくなることもあります。
なんでモヤモヤするんだろう、どうして苦しくなるんだろう、私だけかな、と思っていたのですが、どうやらそうでもないらしく、
Googleの予測検索には
「自己肯定感 いらない」
「自己肯定感 気持ち悪い」
なんてワードも出てきます。
そういえば以前、
Xで交流があった人が
ある日、突然
「自己肯定感って言葉、大っ嫌い!」
と呟いたあとアカウントごと消えたことがあったので(何があったんだろう)、
『アンチ自己肯定感』の人も世の中には一定数いるのだろうと私は予想しています。
で、そのモヤモヤと苦しい理由が
この時の教授の話でわかったのです。
「自己肯定」したい人は
(私も含めて)
心のどこかで気づいているのです。
自分よりも劣っている人と自分を比べれば、
それこそエナジードリンクを飲んだ時のように
一発で不安が吹き飛ぶんじゃないか、と。
でも、それをやったらダメだ、と自分に言い聞かせているんです。
だからモヤモヤするんです。
なぜなら、禁断の果実を口にして
自分より不幸な人(または劣っている人)と自分を比べてしまうと、さらに苦しい状況に置かれるからです。
自分が誰かと比べて安心した以上、
別の誰かが、今度は自分と比較して安心するだろう
つまり、今度は自分が劣った存在になるだろう
ということを受け入れなくてはならないからです。
下方比較で手に入れた『自己肯定』は、
簡単に『自己否定』にひっくり返る。
それがわかるから苦しいのです。
では、どうしたらいいのか
考え方はふたつあります。
①心理学・脳科学で言語化されたメソッドを採用する
15項目、『自己肯定感』に効きそうなことを挙げます。
自分の長所も欠点も受け入れる
自分のことを認める、褒める
他人に無理に好かれようとしない
日常のちいさなことから自分で決める習慣を作る
自分の感情を大切にする
自分の考えを言葉にして伝える
心地いい場所や時間を増やす
成功体験を増やす
周囲の人の成功を自分のことのように喜ぶ
誰かに「あなたならできるよ」と声をかけてもらう
自分の心と身体のコンディションを把握する
他人との比較ではなく自分軸で自分の成長を測る
成功した自分をイメージする
自分を卑下しない(自虐しない)
誰かに褒められたらしっかりと受け取る
この15項目のうち、
1~7は『自尊感情の育て方』、
8~15は『自己効力感の高め方』とされています。
教授が仰っていたように、自己肯定感には定まった定義がありません。
でも自尊感情、自己効力感に関しては、心理学の領域では定義付けられ、研究が進んでいます。
それなら、研究が進んでいるものから取り入れてみましょう。
そのうち『自己肯定感』に関しても
自分なりの答えが見えてくるかもしれません。
それは同時に、あなたの自己肯定感が育ったということでもあります。
②宝物を扱うように、自分を扱う
これは、例え話から書かせてください。
私は、保護した猫2匹と一緒に暮らしています。
猫2匹のうち、あとから保護した猫には持病があり、療法食(率直に言って高い)を食べています。
成猫になってから捨てられた猫なので、過酷な経験で性格がひねくれてしまったのか、気難しく、最初の数年は先住猫とかなり揉めました。
捨てられるまでどんな生活をしていたのか私にはわからないので、細々したトラブルもたくさんありました。トイレを失敗したり、家を汚したり…。
それでも私は、その子が好きだし、うちにいてほしいし、一緒にいたかったのです。
今も、2匹とも、私の宝物です。
猫に何かしてほしいわけではありません。
見返りも期待しません。ただ元気でいてくれるだけで充分。
うちにいて、楽しく平和に過ごしてくれたらそれでいいのです。
粗相もケンカもするダメな子?
いいえ、それでもとってもいい子。
同じように、自分自身にも接することができたらいいのでしょう。
「ありのまま、その存在が好き」って、きっとこういうこと。
かわいい猫のように。
宝物のように。
自分を扱う。
そうすれば
『自己肯定感』なるものも育まれていくでしょう。
心理学の講義のエピソードに戻って
この話を終わりにしましょう。
ちなみに、ふたりめに指されたのは私。
質問したのは
『癒し』とは何でしょうか
でした。
教授の回答はこちらをどうぞ。
(前回の投稿です)
それでは。
