親が元気なうちに、何を聞いておけばいい?父を亡くして初めて気づいた「終活」の盲点
「親が元気なうちに、何を聞いておけばいいんだろう?」
親の終活を考え始めたとき、私はこの問いに対する明確な答えを持っていなかった。
財産を整理してもらう。
遺言書を作ってもらう。
葬儀について希望を聞いておく。
そのくらいは思いつく。
でも、実際に父を亡くしてみると、それだけでは足りなかった。
むしろ、後になって困ったのは、
「そんなことまで聞いておく必要があったのか」
と思うような細かなことだった。
今回は、父の死後に実務を担った私が、
「これは生前に確認しておけばよかった」
と感じたことを中心に書いている。
終活で最初に考えるべきなのは「財産」だけではない
終活というと、どうしても財産の話になりがちだ。
預金はいくらあるのか。
不動産はどこにあるのか。
株や投資信託は持っているのか。
保険には入っているのか。
もちろん、これらも重要だ。
実際、父が亡くなった後、私も財産に関するさまざまな手続きをした。
だからこそ、今になって思う。
最初の段階では、まず「いくら持っているのか」を把握することが大切だった。
ただ、実際に父が亡くなって分かったのは、「どこに、何があるのか」まで知っていることも重要だということだった。
そして、そのためには本人に聞いておく必要がある。
父が亡くなった後に困ったことの一つが、
「誰に連絡すればいいのか」
という問題だった。
もちろん、家族や親族なら分かるが、それだけではない。
普段から付き合いのある人。
地域の人。
お寺。
葬儀に関係するところ。
契約しているサービス。
こうした「本人なら知っているけれど、家族は知らない」連絡先がたくさんある。
生前なら、
「この人に連絡して」
と聞けば済む。
でも、亡くなってしまえば本人には聞けない。
だから今振り返ると、
財産一覧だけではなく、「もしものときの連絡先一覧」も作っておけばよかった
と思う。
もう一つ、意外だったのが実家のことだった。
相続財産として考えれば、
「土地と建物」。
でも、実際に家を引き継いで管理するとなると、それだけではない。
どこに何があるのか。
普段、どのように庭を手入れしていたのか。
どの設備をどう使っていたのか。
近所との付き合いはどうなっているのか。
新聞や回覧板はどうしているのか。
家の中の細かなルールや習慣まで含めると、
「家を所有すること」と「家を管理すること」は別の話
だと実感した。
父が生きているうちなら、
「これってどうしてるの?」
と聞けるが、
亡くなってからでは、それができない。
「本人しか知らないこと」は、思っている以上に多い
父の死後に実務をしていて感じたのは、
親が長年一人で管理してきたことには、本人しか知らない情報がかなりあるということだった。
家族からすると、
「そんなこと、わざわざ聞かなくても分かるだろう」
と思うことがある。
ところが実際には分からない。
だから終活で大切なのは、
「何を残してもらうか」だけではなく、「何を聞いておくか」
なのだと思う。
財産や契約についても、金額や名称だけでなく「何のためのものか」まで聞いておいたことは、父の死後に役立った。
ただ、それでも足りなかった。
私が後から強く感じたのは、一覧表だけでは拾えない「本人しか知らないこと」の多さだった。
聞きにくいことほど、元気なうちに聞いておく
終活には、聞きづらいことがある。
お金のこと。
暗証番号などの管理情報。
葬儀についての希望。
遺言書。
死後のこと。
親子であっても、
「そんなこと聞いていいのかな」
と思うことがある。
でも、亡くなってから、
「聞いておけばよかった」
と思っても遅い。
私は父が亡くなった後、
「あのとき聞いておけばよかった」
と思ったことがいくつもあった。
逆に、生前に聞いていたことで、
「これは聞いておいて本当によかった」
と思ったこともあった。
「終活をする」ではなく「情報を引き継ぐ」と考える
父が亡くなる前の私は、
「終活をしてもらう」
という感覚が少しあった。
でも、今なら少し違う言い方になる。
「親が持っている情報を、子どもに引き継いでもらう」
だ。
親が亡くなった後、子どもが実務を担う可能性があるなら、
大切なのは、親が持っている情報を少しずつ知っておくことだと思う。
どこに何があるのか。
誰に連絡するのか。
どんな契約があるのか。
何を大切にしているのか。
何をしてほしいのか。
そうした情報を、少しずつ共有してもらう。
それだけでも、突然その役割を引き受ける側にとっては、大きな違いになる。
私が一番後悔しているのは、「聞く時間はまだある」と思っていたこと
父とは、終活について話すことができた。
だから私は、父の死後、
「何も聞いていなかった」
という状態ではなかった。
それでも、もっと聞いておけばよかったと思っている。
庭のこと。
日々の生活のこと。
父が大切にしていたこと。
人との付き合い。
そして、父自身がどんなふうに人生を考えていたのか。
手続きに必要な情報だけなら、ある程度は整理できる。
でも、
本人にしか答えられないことは、本人がいなくなった瞬間に聞けなくなる。
これは、父を亡くして初めて実感した。
終活は「死ぬための準備」ではなかった
父が亡くなった後、私は終活に対する考え方が変わった。
終活という言葉には、どこか「死ぬための準備」という印象がある。
でも、実際には違った。
親が元気なうちに話をしておく。
情報を共有する。
本人の希望を聞く。
家族が困らないように整理する。
そして、その過程で親のことを改めて知る。
私にとって終活は、
「死ぬための準備」というより、「残された家族が困らないための情報の引き継ぎ」
だったのだと思う。
もし今日、親に一つだけ聞くなら
私は、
「もし何かあったとき、誰に連絡すればいい?」
と聞くことから始めてもいいと思う。
そこから、
「他に契約しているものはある?」
「大事な書類はどこ?」
「家のことで、私が知らないことはある?」
と少しずつ話を広げていく。
いきなり完璧な終活をしてもらう必要はない。
一度に全部聞く必要もない。
親が元気なうちなら、何回でも聞ける。
父が亡くなって、私は「聞ける時間」そのものが財産だったと知った。
父が亡くなった後、私はたくさんの手続きをすることになった。
その中には、生前に聞いておいたことで助かったことがあった。
一方で、
「これも聞いておけばよかった」
と思ったこともある。
だから今、親が元気な人に伝えたいのは、
終活を完璧にやってもらうことより、まず親と話しておくこと。
そして、
「まだ聞けるから大丈夫」と思っている時間そのものが、実はとても貴重だということ。
私自身、父が亡くなる4日前まで、一緒にランチをしていた。
そのときには、まだ父に聞ける時間が続くと思っていた。
でも、その4日後には、もう聞けなくなった。
だからこそ、
「いつか聞こう」ではなく、「聞けるうちに少しずつ聞いておく」。
父を亡くした今、私はそう考えている。
私の父の死後には、ここからさらに多くのことが待っていた。
生前にある程度の準備をしていた私でも、父が亡くなった後には、想像していなかったほど多くの実務が発生した。
葬儀。
遺言書。
預金・証券・保険。
行政手続き。
税理士などの専門家選び。
公共料金。
新聞や回覧板。
そして、今も続いている実家の管理。
私はそれらを一つずつ、自分で調べ、比較し、判断しながら進めた。
その経験を、単なる「やることリスト」ではなく、
「実際に何が起き、私はどう判断したのか」
という形でまとめている。
親を亡くした後、
「次に何をすればいいのか分からない」
という方に。
そして、まだ親が元気なうちに、
「今のうちに何を聞いておけばいいのか」
と考えている方に。
私の経験が、少しでも役に立てばと思う。
聞いておいてよかったことは、父の死後に分かった
父が元気なうちに、私は財産や口座の用途、
保険、葬儀の互助会、遺言書などについて話をしていました。
そのときは、それが実際にどれだけ役立つのか分かっていませんでした。
本当に「聞いておいてよかった」と感じたのは、
父が突然亡くなった後でした。
一方で、父がいなくなって初めて、
「これも聞いておけばよかった」と気づいたこともありました。
そして、生前にある程度準備していた私でも、
実際に経験した手続き・確認・判断・管理を整理すると200項目になりました。
何を聞いておいたことが役立ったのか。
父が亡くなった後、実際に何が起きたのか。
私は何を考え、どう判断して進めたのか。
生前の準備から、葬儀、行政、相続、金融、専門家選び、
公共料金、そして今も続く実家の管理まで、
一人の会社員として経験したことを、一つの記事にまとめました。
親が元気なうちに準備しておきたい方にも、
すでに親の死後の実務を担っている方にも、
私の経験が一つの参考になればと思います。
