英国の深夜4時、私はバスローブ姿で「公務員文法」と戦った。
去年の10月、有給まるまる3日間をモニターの前で過ごして環境省自然共生サイトに申し込んだ死闘。全アップロードが終わった瞬間には、やったぜ、やればできるの自己満足の極みでしたが、この瞬間はこれが本当の死闘の始まりだとは思いもよりませんでした。
書類提出から2ヶ月、50通以上のメールやりとり
自然共生サイト事務局から
「書類をPDFにせず、元ファイル形式でアップロードください。Excelでの作成を想定している申請書ですので、Excelでのご作成ください。」
から始まったやりとりですが、なんと、
「部分的にやり直し」
という理由でもらったメールやりとりは合計で50通以上の大混乱となりました。


兄に丸投げ
実は、事務局からもらったメールダメ出し10通目にしてすでに、これはあかん、私には無理や、と思ってしまいました。結局、兄に丸投げしております。兄が行政書士で本当に良かったです!

兄が
「あなた、手引書、読んでないでしょ」
は最も冷徹で、かつ的を射たアドバイスでした。ははは、もちろん読んでません。しかし、行政書士ってすごいですね、書類のプロ。空を仰いで遠い国にいる兄にお礼を言いました。10通目で諦めた私に代わり、手引書を読み、マニュアル通りに、その後43通、全てに時間通りにきちんと返信をして、最後までやり抜く力。ありがたかったです。
冷たい公務員文法
私はビジネスメールに慣れていないせいか、冷たいメールのやりとりについていけなかったのです。兄曰く、「公務員文法」と言うそうです。つまり、AIだって気を使ってくれる、「お疲れ様でした、ありがとうございました、素晴らしいです」などの言葉が一切ない、事務的なやりとりだったのです。
AIが人間味のある温かい文章を書く
人間が冷たい事務的な文章を書く
なんて、
「修正事項にはすべて対応いただきました。以上。」とメールが入っていた時には嬉しくて、「兄、お疲れさん!」の喜びメールを送ったのですが、読めば読むほど、この文面、冷たすぎる。AIは温かい、人間は冷たい、一体いつ、逆転してしまったのでしょう。
人間たち、もっと文章に人間味を出さないと、AIに勝てない時代になっていますよ。いや、むしろ事務的で機械的な文を書けるのが人間のみになるのか(混乱!)
ダメ出しの連続
終わりの見えないダメ出しの連続でした。思うに、共生サイトを立ち上げた際に、環境省のお役人側では「こういうのが正解、それ以外は不正解」という線引きをしているわけで、その「正解枠」に入るようにしなければならない。我々のプロジェクトはすでにバックグラウンドに膨大なデーターが蓄積されていて、それが逆に書類書きを難しくさせたように思います。

• Excelオンラインでもダメだった→100歩譲ってMac環境で作成した書類がダメなのはわかるけれども、もう少し、誰にでも使いやすい環境を作ってくれないのか . . . 。
• 動植物の確認結果は5年以内(2016年と2018年の植生調査はダメ、2016年の小型哺乳類調査はダメ、2012年のコウモリの調査はダメ、2015年の魚類の調査はダメ)→ 5年以内に限定する必要があるのか . . . しかもコロナ禍の空白期間があるというのに . . . 。
• 写真もダメ出し。新しいものへ差し替えてくださいと言われる。→ 5年以内に限定する必要があるのか . . .。
• 蓄積していた動植物リストダメ、やり直し、動植物リストは過去の2012年〜2018年のものを利用していた→ すでに全ての動植物リストを作っていたのに、5年以内のもののみ認められるという。
• モニタリング計画やり直し→ 過去に行った活動に紐付けして今後のモニタリング計画を記載していたのだけれども、過去に行った調査などを記入するな、と言われる。でもある程度の過去タイムラインリファレンスはやむ負えないのでは . . . 。
• 実際に行われる今後の活動がわかりにくいのでやり直し→まあ、基本、何もしないのがモットーだからね . . . 。
• 生態系タイプの欄には、分類群を記載する必要はありませんので、やり直し。
などなど。
ようやく全ての書類訂正が終わったのは、クリスマスイブ、つまり2ヶ月後のことだったのです。
昔々、小中学生時代に(昭和真っ最中)、先生の求めている「正解」を導き出すのは得意だったと思います。先生の質問している意図を読み込んで、それに外れないようにちゃんと正解を言えるタイプの教育ですね。
いや、「私は」そうだったと書いたけれども、日本の教育、みんなそうではないでしょうか。そういう風にクローズの質問が多い。なんでも来い、好きなように答えなさい的なオープンな教育ではなかったように思います。
日本人は正解を探す学習に慣れている
・正解がある問いに慣れている
・正解に最短で辿り着くことを求められる
・自分の意見より模範解答に合わせることが評価されやすい
今の私は、かつての先生たちが求めていたような前提としてある「正解」の枠から、もう完全にはみ出してしまっているようです。求められる書類の四角く囲われている枠の中に、我々の活動について説明すること、今後の計画を書くことなど、かなり窮屈でした。それは2023年にスタートしたばかりの環境省自然共生サイトに求められていることは過去5年間のみ、でももうそれ以前(13年以上前の2010年)からずっと自分たちの手で、悩みながら、いろんな人に相談しながらやってきた我々の思うところと時間差というかズレみたいなものがあって書ききれないのです。当たり前かもしれないけれども、私みたいな人を考慮した申請書ではないわけです。枠に入りきらないほどの動植物のリスト、しかもバイリンガルの日本語と英語を提出したら、申請書にデーターとして使っても良いのは最近の5年間だけ、とか言われてしまうと、個人的にはがっかりしてしまいました。しかも、これまで蓄積してきた、自分の(勝手な)意見がモリモリあるわけですからね . . .
Web会議システム(Webex)の接続および音声テスト
書面審査だけでなく、審査委員会へ出席が必要なことがあるため、オンライン、Web会議システム(Webex)の接続および音声テストを受ける必要があるということでした。時間は平日の10:30~11:30、14:00~15:00、とのこと。
日本の10:30~11:30 → 英国の01:30~02:30
日本の14:00~15:00 → 英国の05:00~06:00
という何とも微妙な時間帯。平日は毎朝、6時20分に起きるのだから、5時に起きるのなんて大丈夫だろうと思ったんですが、むしろ眠れなくて、4時起き。それなら、早朝1時30分に済ませておけば良かった。この仏頂面。

髪ボサボサ、開かないまぶた、全然面白くなくて、仏頂面
夜中なので、シャッターも閉まっているし、薄暗い中、寒くてバスローブを羽織っていて、1時間待って、それからなかなかつながらない30分が過ぎて、いきなりカメラが繋がった時には事務局側も、ヒ〜 薄暗い中のこの人は何!と思ったに違いありません。しかも、私が口にした言葉は
「はい」
「はい」
の二言だけでした。
「聞こえますでしょうか?」
「見えますでしょうか?」
と言われただけだったんですから。
「では以上です」
え?これって温かい声でお疲れ様でしたと言ってくれるAIでよかったんじゃない?しかも、結局、審査委員会の出席は免除されて、このテストも不要でした、はぁ〜。
㊗️ 5ヶ月後に認定された
新しく108ヵ所が認定されたそうです。うちのホロカトマム山林も、ようやく認定!おめでたい! 自然を愛し、守る、本気度が伝わったようで嬉しいです。
3月17日(火)本日、プレスリリース、報道発表。
環境省では、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」に認定する仕組みを令和5年度から開始し、更に昨年4月には、自然共生サイトを法制化した「地域生物多様性増進法」が施行されました。この度、本法に基づく3回目の認定として、108か所を自然共生サイトとして認定いたしました。これにより自然共生サイトは合計569か所となり、これまで掲げていた「早期に自然共生サイトを500以上認定する」の目標を達成することができました。

㊗️認定㊗️ ホロカトマム山林 自然共生サイト。
「やっと時代が我々に追いついてきたんだぜ!!!」
と祝杯をあげたいと思います。

現在の時点で、30by30の3分の2の地点まで来ているらしいです。

自然共生サイト認定授与式
札幌第一合同庁舎で、3月30日(月)自然共生サイト認定授与式があるとのご連絡をいただきました。オンラインで出席予定です。
時間帯は例の如く
日本の13:30~15:30 → 英国の04:30~06:30
となんだか眠い時間帯マックスなんですが、今回はバスローブでなく、ビシッと起きて、ちゃんと服を着て、参加したいと思います!
6ヶ月前のこと。企業や法人参加がほとんどの中、「個人」で森を守っている同士、村上さんの認定が私の尻を叩いてくれました。改めて、私たち、おめでとう。正式に認定、自然共生サイト登録、頑張ったよね。
ちなみに、ほぼ全ての書類をやり遂げた兄には、私のイチオシ、Glenfarclas ウイスキーを送ったんですから。しかもウチよりも格上げの15年。キ〜、だから許してね。うちのは12年↓
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