「不登校・ひきこもりに“なる”」ということ(前編)
※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。
※2022年度からは「原則として2年前までの文章を転載する」という方針で更新しており『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず30年余り前の文章から選んで時系列に転載を進めてきました。そして現在はおもに2年前の文章を掲載しています。
※そこで今月は『ごかいの部屋』のおととし6月配信号のコラム(掲載文)を転載します(年月や調査結果の記載は執筆当時のままにしてあります)。本人が不登校やおとなひきこもりをやりたくてやっているかのような世間の言説が気になっていた私が、あらためて本人の心理状態を説明し理解を求めた文章です。
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本人は進んで学校/社会に目を背けた?
2024年ももうすぐ半年。学校では1学期も残り1か月という時期。
「年度替わりの不安定な状態が落ち着いてきた」「ゴールデンウィーク明けから不登校になっている」など、不登校/おとなひきこもり状態の方やそのご家族の状況はさまざまでしょう。
近年、不登校/おとなひきこもり状態(以下「不登校/ひきこもり状態」)にある人の人数が調査されるたびに急増している(最新の結果は小中学校の不登校約30万人、15~64歳のひきこもり推計146万人)ためか、マスコミで取り上げられることが多くなりました。
それにつれて「不登校/ひきこもりは、甘えだ/怠けだ/わがままだ」などという世間からの非難も増えているように感じます。
私は「そのように非難している人たちは、不登校やひきこもりを本人が自らの意思で実行していると思い込んでいるのでは」と考えるようになりました。
たとえば、そういう人たちは病気や不慮の事故や自然災害など、自分の意思によらない出来事で動けなくなってしまった方に同じ言葉を投げかけるでしょうか。
学校を休みたくて休むことは「ずる休み」ですし、社会から目を背けてブラブラ遊び歩いていることは「フーテン」「遊び人」です。それらの人たちと同じように認識しているのではないでしょうか。
しかし、不登校/ひきこもり状態も前述のケースと同様、自らそうしたくてそうなった人はいないから「状態」なのです。
ですから、私は自分の体験を語るとき「不登校になった」「ひきこもりになった」と言っています。決して「学校に行くのをやめた」「ひきこもりを始めた」などとは言わないのです。
本欄で繰り返しお伝えしているように、多くの場合不登校/ひきこもり状態は最初にドーンと落ちるところからスタートします。それまでに “ストレス” という名の液体が増量していたコップの水があふれ出すように、あるいはエネルギーが底をついたように、周囲から見たら「急に行き渋り出した」「突然ダウンした」などと見えますが、ギリギリまで頑張ってきたのがプツンと切れてしまう=心が折れてしまうわけです。
本人が自らの意思で学校/社会に背を向けたのなら、そのようにギリギリまでエネルギーを使い果す前に実行に移しているはずです。
「でも、うちの子は “もう学校に行かない” と宣言して休み出しました」という親御さんがいらっしゃいます。それなら、その子は宣言してすぐに生き生きとして楽しく過ごし始めたでしょうか。むしろしばらくの間は元気なく過ごしていたことでしょう。
“学校に行かない/仕事しない” 宣言は、追い詰められた本人が自分の心を守るためにとる窮余の一策であって、確信をもって堂々と行う一般的な宣言や決意表明とは似て非なるものです。
このように、一見本人が自らの意思で学校/社会から撤退したように見えるタイプを含めて、不登校/ひきこもり状態は本人が自らの意思で選んだわけではないことを強調しておきたいと思います。
<後編に続く>
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