【組織開発プロフェッショナルを目指す方へーVol.25】1.3 Collaboration & Leadership 統合・実践編ーーー協働とリーダーシップを「スキル」から「組織を動かす設計」に変える
なぜ書くか
様々な情報が飛び交う現代において、人事(HR)に求められる役割は年々高度化しています。一方で、日本に住む約1億人の多くが、グローバルでの最新のHRの取り組みやアカデミックな知見に体系的に触れる機会を十分に持てていないのが現状です。
Every Inc.では「日本のHRをもっとグローバルに」というビジョンを掲げ、グローバルな取り組みや学術的文献、先端企業の実践事例をもとに、HRに関する知見を発信しています。
本ブログでは、「日本ならでは」「日本では難しい」という枠組みではなく、“グローバルスタンダードとしてのHR・組織開発"を軸に、
なぜ今、その理論が重要なのか
組織で何が起きているのか
HRはどのような問いを立てるべきなのか
を整理していきます。本ブログでは、CPTDの能力要件を軸に、
組織開発を支える理論と実務をつなぐ視点を提供しています。
少しでもこの領域を楽しんでくださる方が増えたら嬉しいです。
※CPTDとは
ATD(Association for Talent Development)は、世界最大の人材開発(Talent Development)に特化したプロフェッショナル団体であり、個人・組織の能力開発に関する国際的な標準をリードしています。そのATDが提供するCPTD(Certified Professional in Talent Development)およびAPTD(Associate Professional in Talent Development)は、人材育成・組織開発・学習設計・パフォーマンス改善といった領域において、実践力と専門性を証明する世界有数の資格です。
1. 1.3 Collaboration & Leadershipを貫く前提
1.3章を通して扱ってきた理論は、一見すると多岐にわたります。
Group Dynamics(集団力学)
Listening & Dialogue(聴く・対話)
Collaboration Design(協働の設計)
Conflict Management(衝突の扱い)
Contemporary Leadership Theories
Levels of Leadership(役割としてのリーダー)
しかし、これらを貫く前提は一つです。
協働やリーダーシップは、
個人の資質や努力の問題ではなく、
集団と構造の問題である
2. 協働とリーダーシップを一言で言うと
1.3 Collaboration & Leadership を一言で表すなら、
「集団が成果を出し続けるための条件を、
意図的に設計し、維持する能力」
です。
仲が良いこと
声の大きいリーダーがいること
チームワークを大切にする文化
これらは結果であって、出発点ではありません。
3. なぜ「協働」と「リーダーシップ」は切り離せないのか
実務では、次のように分断されがちです。
協働:チームビルディングの話
リーダーシップ:マネジメント研修の話
しかしCPTDの視点では、
協働は、リーダーシップが
正しく機能している状態そのもの
です。
対話が起きているか
衝突が扱われているか
相互依存が設計されているか
これらはすべて、
リーダーシップの「機能」の結果です。
4. HRは「人を変えよう」としなくていい
1.3章を通して見えてくる、HRにとって重要な視点があります。
それは、
人を変えようとしなくていい
ということです。
性格
モチベーション
リーダーの資質
を変えようとすると、組織開発は必ず行き詰まります。
代わりにHRが見るべきなのは、
構造
役割
意思決定
関係性の配置
です。
5. 1.3フレームは「組織診断」として使える
1.3 Collaboration & Leadership は、そのまま組織診断のフレームになります。例えば、次の問いです。
この組織では、どんな行動が強化されているか(Group Dynamics)
意見は、どこで本音として扱われているか(Listening & Dialogue)
協働しない方が合理的な構造になっていないか(Design)
衝突は、どこで止まっているか(Conflict)
リーダーは、学習を促しているか(Leadership)
役割は階層ごとに整理されているか(Levels)
これだけで、多くの違和感は言語化できます。
6. 実務で最初に変えるべきポイント
「理論は理解できたが、何から始めればいいのか」
という問いに対して、CPTD的な答えは明確です。
最初に変えるべきは、個人研修ではなく“対話と意思決定の設計”
です。
会議体は機能しているか
話す場と決める場は分かれているか
誰が何を決めるのかは明確か
ここを変えるだけで、協働とリーダーシップの質は大きく変わります。
7. HR自身が担っているリーダーシップ
忘れてはならないのは、
HR自身が、Collaboration & Leadership の一部である
という点です。
どんな問いを立てるか
何を個人の問題にしないか
どこに光を当てるか
HRの関わり方そのものが、組織の協働とリーダーシップの水準を決めます。
8. 1.3 Collaboration & Leadership のまとめ
協働は善意ではなく設計の問題
衝突は排除するものではなく資源
リーダーシップは役職ではなく機能
HRは人ではなく構造に介入する
ここまでが、CPTDが示す Collaboration & Leadership の全体像です。
次回予告
次章からは、
1.4 Cultural Awareness & Inclusion(文化理解とインクルージョン)
に進みます。
なぜ「文化」は見えにくいのか
ダイバーシティとインクルージョンの違い
グローバルで機能する組織文化とは何か
を、組織開発の視点から整理していきます。
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執筆者紹介:松澤 勝充

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供する Berkeley Hass Global Access Program にJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事。
2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発したプログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶHRBP講座などを展開している。
保有資格:
SHRM-SCP(SHRM)
CPTD(ATD)
Senior Professional in Human Resources – International (HRCI)
Global Professional in Human Resources (HRCI)
The Science of Happiness(UC Berkeley)他
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