チューリップで、今日の気温がわかるらしい。 33歳、春の発見
「チューリップの開き方で、今日の気温がわかるんですよ」
朝何気なく流していたテレビから、お天気お姉さんの軽やかな声が聞こえてくる。
ふと洗い物の手を止めて顔を上げると、息子も同じようにご飯の手を止めてテレビの方へ顔を向けていた。
色鮮やかなチューリップを背景に、簡単な説明テロップが流れる。
チューリップは、気温が20℃を超えると大きく開くのだそうだ。つまり花の開き具合を見れば、おおよその気温がわかるという。
「へぇーそうなんですねー」
もう一人のアナウンサーと私の呟きが自然と重なる。
衝撃だった。
33年間生きてきて、私はこんなことも知らなかったのか。
いやでも、このアナウンサーさんのように、あまり常識として知られていないことなのだろうか。
それともこれはテレビでよくある小芝居のようなもので、単に私が無知なだけ…?
曲がりなりにもチューリップをイラストに描いていた自分が、少し恥ずかしくなる。
そんなことをぐるぐる頭の中で考えていると、食べ終わった食器を片付けながら息子が言った。
「幼稚園で今日、見てくるね!!」
園ではまさにチューリップが見頃を迎えていた。
「じゃあお迎えの時にママと一緒にみよう。」
そう約束して、少しずつ強くなっていく日差しを感じながら、洗濯物を干し始めた。
夕方。
昨日よりも暖かい空気を感じながら、自転車をせっせと走らせる。
園庭に入ると、真っ先に目に飛び込んできたのは綺麗に整えられた花壇だった。
そしてそこではチューリップが一斉に花びらを開き、風をうけて気持ちよさそうに揺れていた。
「やっぱり開いていた!」
見聞きした知識が、目の前の光景とぴたりと重なる。
それは、欲しかったガチャガチャを引き当てた時の高揚感によく似ていた。
先生や他の園児たちに怪しまれない程度に花壇を眺めてから、息子のいる教室へ。
「ママ、予想当たった?」
それはこの季節にしかできない、温かくてやさしい答え合わせだった。
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