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気合と根性のBtoBナーチャリングを、AIとn8nで『ほぼ工数ゼロ』にした話

こんにちは、株式会社kubellストレージに出向してマーケティングをしてます池原です。

この記事はChatwork15周年に合わせた
#kubellブログリレー」の記事です。

BtoBビジネスのナーチャリング、大事なのはわかっています。

でも、
工数がかかりすぎて続かない。
即効性が弱いため優先度が下がりがち。
ただし重要度は高いからやりたい。


これは、マーケティングだけでなく、インサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)、カスタマーサクセス(CS)──BtoBの顧客接点を持つあらゆる部門で、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

ナレッジやニュースなどのナーチャリングコンテンツを探して、要約して、配信文を整えて、送る。
1回ならできます。でもこれを週3回、半年続けられるかと聞かれたら、正直キツいです。

私は現在kubellストレージ(kubellグループ会社)に出向してセキュアSAMBAのマーケティング担当をしております。
昨年12月まではkubell(旧Chatwork)で新規事業である広告事業のリーダーをしてました。
ナーチャリング施策の重要性は理解しつつも、まさにこの「続かない問題」にぶつかっていました。

そこで、Chatwork×n8n×GeminiAPIを組み合わせて「情報収集→要約→配信」を自動化する仕組みを作りました。
まだ正式運用前の段階ですが、仕組みと設計思想をシェアしたいと思います。
マーケ・セールス(FS/IS)・CS問わず、同じ課題を抱えている方の参考になれば嬉しいです!


なぜBtoBのナーチャリングは続かないのか

そもそも、なぜナーチャリングは続かないのでしょうか?
これはマーケに限った話ではなく、ISがリードを温める場面でも、CSが既存顧客に情報提供する場面でも共通する課題です。
私なりに構造的な理由を整理すると、4つに集約されます。

① 情報収集に時間がかかる
ユーザーに届けるナーチャリングコンテンツを探すところから始まります。業界ニュースやナレッジを巡回し、自社ユーザーに関係ありそうなものをピックアップし、要約して、配信用に整形する。
この一連の作業だけで、1回あたり30分〜1時間はかかります。

② 配信頻度を維持できない
最初の数回は気合いで乗り切れます。
でも通常業務が忙しくなると後回しになり、気づけば2週間空き、そのままフェードアウトする。
マーケでもセールスでもCSでも、あるあるだと思います。

お恥ずかしながら私が広告事業をしていた時も、気合いで続けていたナーチャリング施策が止まってしまったことがありました。
最後の配信から2週間が過ぎ、3週間が過ぎ…チームの定例で上長に「最近ナーチャリングどうなってます?」と聞かれたあの瞬間の気まずさは、今でも覚えています。
「すみません、止まってます」と答えるしかなかった。
あの時の情けなさが、今回の自動化の原動力になっています。

③ 属人化する
「あの人がやってたナーチャリング施策」は、その人が異動した瞬間に止まります。
ナレッジも仕組みも残りません。

④ チャネルが限られている
BtoBのナーチャリングチャネルといえば、メルマガか架電がほとんどです。メルマガはリストが摩耗し開封率が下がり続け、架電はスケールしません。ISやCSが個別にチャットで情報を送ることもありますが、それこそ属人化の極みです。

これらの問題は、突き詰めると「人がやるから・・・」「チャネルが限られているから・・・」などの根深い課題があります。
逆に言えば、AI×自動化×新しい配信チャネルを組み合わせれば、構造的に解決できるはずです。

全体像 -Chatwork×n8n×GeminiAPIのアーキテクチャ-

まず全体像を説明します。使っているツールは3つです。

  • n8n: ワークフロー自動化ツール。ノーコードで複雑な処理フローを組めます

  • Gemini API: Googleの生成AI。Grounding機能で最新のWeb情報をソースURL付きで取得できます

    • ChatGPTでも代替可能

  • Chatwork API: チャットへの投稿を自動化します

    • Slackでも代替可能

    • ただし、チャットマガジン形式にできるかはリサーチが必要

ワークフローは2本構成になっています。

WF1(コンテンツピックアップ&要約): 情報収集→整形→テスト投稿
WF2(承認処理&投稿): 承認/却下の分岐→本番配信 or 再リサーチ

全く新しいナーチャリングチャネル -Chatwork マガジンとは-

配信先として使っているのが「Chatwork マガジン」です。
これはChatworkの機能で、複数人に一方的に情報配信できるチャット機能になっています。
参加者同士は互いに見えないですし、ユーザーは投稿ができません。
※管理者ユーザーのみが投稿可能です。
企業からユーザーへの「1対N」の情報配信チャネルとして使えます。

▶ 参考: チャットマガジンとしてグループチャットを活用する方法

グループチャットに参加したユーザー(顧客)は投稿ができず、他の参加者も見えない。

メルマガが「ポストに届くチラシ」だとすれば、Chatwork マガジンは「毎日観ているリビングのテレビ」です。
ほぼ毎日利用するChatworkに届くからこそ、開封率やリーチ率はメルマガと比較にならないほど高い。

部署ごとのユースケース

  • マーケなら『未商談リードを温めてSQLへ』

  • セールス(FS/IS)なら『導入事例を投げて受注へ』

  • CSなら『活用事例を投げてロイヤルカスタマーへ』

活用方法は無限大です。

WF1: コンテンツピックアップ&要約

WF1は「情報収集→整形→テスト投稿」までを自動で行うワークフローです。
流れを説明します。

Step 1: スケジュールトリガー
毎週月・水・金の09:00に自動起動します。
人間が何もしなくても動き出します。

Step 2: 投稿カウンター
DXとセキュリティの2カテゴリを交互に配信するため、今回がどちらの回かを判定します。
今回は5回に1回DXカテゴリの投稿、それ以外はセキュリティカテゴリの投稿をするルールにしてます。

Step 3: カテゴリ分岐
DX回ならGeminiでDX・業務効率化に関する最新のナレッジ・ニュースを検索。
セキュリティ回ならセキュリティの最新情報を検索します。

Step 4: 投稿文整形
収集した情報を、Chatwork投稿用のフォーマットに整形します。
フォーマットには以下の要素を含めています。

  • タイトル

  • 要約

  • 影響範囲

  • 推奨アクション

  • ソースリンク

Step 5: 確認チャットに送信
整形した投稿文をテスト投稿として人間(私)に送信します。

同時に承認/却下のURLも送られます。
承認or非承認で呼び出すWebhookが変わるため、WFを分けてます。

WF2: 承認処理&投稿

WF2は、テスト投稿を確認した人間の判断(承認 or 却下)を受けて動くワークフローです。

承認時の流れ
承認URLをクリックすると、本番チャット(Chatwork マガジン)に記事が自動投稿されます。
投稿完了後、承認完了の通知が届きます。

却下時の流れ
却下URLをクリックすると、却下通知が届いた後、自動で以下が走ります。

  1. カテゴリを再判定

  2. Geminiで再検索

  3. 投稿文を再整形

  4. 新しい承認URLを再送信

つまり、人間は「このネタでOK」か「やり直し」かを判断するだけです。
却下しても、次の候補を自動で持ってきてくれます。

承認すると本番用チャットに投稿
却下すると再度ネタを探してくれる

「完全自動化しない」設計の意図

ここが一番伝えたいポイントかもしれません。

この仕組みは、あえて「完全自動化」にしていません。
必ず人間の承認を挟んでいます。理由は3つです。

1つ目は、AIの出力品質が完璧ではないこと。不正確な情報や、トーンが合わない投稿がそのまま配信されるリスクがあります。
ナーチャリングは信頼構築が目的なので、品質事故は致命的です。

2つ目は、承認フローを入れても工数はほぼ増えないこと。
人間がやるのは「投稿を読み、ソースをチェックして、承認URLをクリックする」だけです。1分もかかりません。

3つ目は、却下時に自動で再リサーチが走ること。
人間は「良い/悪い」の判断だけすればよく、代替案を自分で探す必要がありません。

かつて気合いでナーチャリングを続けていた時、ネタ探しに疲れ果ててPCを閉じたあの日の絶望をもう味わいたくない。
だからこそ、この仕組みは私の「弱さ」を補完するために設計しました。
「全自動」という名の無責任ではなく、「人間の判断を最小化する」という名の、徹底的に仕組みに頼る設計。
この境界線こそが、品質と工数のバランスを取る最適解だと考えています。

サービス資料やウェビナーを活用したリード獲得配信

ナーチャリングコンテンツを定期配信する仕組みが整ったら、次に考えたいのが「リード獲得配信」です。

ナーチャリングの合間にサービス資料を配信する
Chatwork マガジンでは、ナレッジやニュースなどのナーチャリングコンテンツが週3回、自動で配信されています。
この定期配信の合間に、サービス資料やウェビナー案内などのリード獲得コンテンツを挟み込むことで、自然な流れでリード獲得につなげられます。

ポイントは、ナーチャリングコンテンツが定期的に配信されているからこそ、リード獲得配信は不定期でもOKだということです。
普段から有益な情報が届いているマガジンに、たまにサービス資料が混ざる。
ユーザーにとっては「いつも役立つ情報をくれるチャットからのお知らせ」なので、抵抗感が低くなります。
毎回セールスの投稿が来るわけではないので、チャットの価値を損なわずにリード獲得ができる設計です。

GASで予約投稿も可能
リード獲得配信のタイミングは、Google Apps Script(GAS)を使えば予約投稿で管理できます。
スプレッドシートに配信日時・投稿内容・配信先を入力しておけば、指定日時に自動で投稿されます。
ウェビナーの開催1週間前にリマインド配信を仕込む、といった運用も簡単です。

ナーチャリング(自動)×リード獲得(予約投稿)の組み合わせで、配信チャネルとしてのChatwork マガジンの価値を最大化できると考えています。

やってみてわかったこと・注意点

まだ正式運用前ではありますが、仕組みを作る過程でいくつか学びがありました。

完璧を目指さず、まず動くものを作る
これが一番大事です!!!
これが一番大事です!!!
これが一番大事です!!!
(大事なことなので3回言いました)

0→1は簡単になった、大変なのは運用
これは今回の施策に限った話ではありませんが、n8nやClaude Codeなどのツールを使えば、0→1のアウトプットはかなり作りやすくなりました。
しかし、本当に大変なのはその後の運用です。
APIの仕様変更やタイムアウトによるエラー対応、チームメンバーから「このカテゴリも追加してほしい」「フォーマットをこう変えたい」といったオーダーへの対応──こうした保守・改修の積み重ねが、想像以上に工数を食います。
0→1を作る力と、それを安定運用しながら改善し続ける力は、別のスキルだと実感しています。

承認フローは「保険」ではなく「設計」
最初は全自動で試しました。
結果、ある日Geminiが生成した投稿の中に、ソースが古い情報を参照したものが混ざっていました。
幸い、テスト段階だったので実害はありませんでしたが、もしこれが本番配信されていたら──信頼を築くはずのナーチャリングが、逆に信頼を壊す凶器になるところでした。
あの冷や汗が、承認フローの実装を決断させました。これは後から足した保険ではなく、最初から組み込むべき設計要素です。

事業家として、仕組みをつくり、事業をグロースし続けよう

最後に、AI時代を生きる若手ビジネスパーソンに向けた話をします。

若手こそ、AIで「0→1」の仕組みを作るべき
今回のナーチャリング自動化は、AIと自動化ツールを使って「0→1」で仕組みを作りました。
ひたすらClaudeと壁打ちしながらn8nと格闘をしました。

世はまさに大AI時代です。(ドン!!!!)

なぜAI時代は若手にチャンスがあるのか。理由はシンプルです。
AIは「経験の壁」を破壊するから。

従来、組織の仕組みづくりは、何年も現場を経験したシニアメンバーの専売特許でした。
しかし今は違います。AIに壁打ちしながら、経験ゼロの領域でも「まず動くもの」を作れる。年次ではなく「手を動かす速度」が武器になる時代が、今まさに来ています。

事業責任者やBizDevを目指す若手にとって、今この瞬間を貴重な20代、30代で経験できることは奇跡であり、大きなチャンスだと考えてます。
事業を伸ばすために必要なのは、仕組みを作り(0→1)、それを組織に定着させながらグロースさせる(1→10)動きです。
従来、Ops構築は経験豊富なシニアメンバーが担当するものでした。
しかしAIを活用すれば、経験が浅くても「まず動くもの」を作れます。
プロンプト設計、ワークフロー構築、API連携、自律型エージェント活用──これらは年次よりも「やってみる姿勢」が重要です。

0→1を作り、保守運用しながら1→10に育てる
仕組みは作って終わりではありません。
運用しながらプロンプトを改善し、配信カテゴリを増やし、リード獲得配信を組み合わせ、効果測定を回す。
この「1→10」のプロセスは、まさに事業責任者に求められる「組織のパフォーマンスを最大化しながらグロースさせる」動きそのものです。

重要なのは、AIが「0→1」のハードルを下げてくれることで、1→10に取り組む打席が増えるということです。
仕組みを1つ作れば、そこから派生する改善・拡張・横展開の機会が次々と生まれます。
打席が増えれば、成功も失敗も含めて学びの総量が増える。
結果として、成長スピードが上がります。

私自身、約2年半従事していた広告事業では、セールス・マーケ・新規メニュー開発・採用などビジネスの全領域にチャレンジしましたが、打席数の多さは自身の成長に比例することを強く感じました。
これは座学では絶対に得られない、手を動かしたからこその学びです。

kubellでは、このように若手がAIを使って自ら打席を作れる環境があります。
一緒に泥臭くグロースを楽しめる仲間を探しています!

24新卒のBizDev石川の話もとても面白いのでぜひ併せてご覧ください!

まとめ

ナーチャリングの「続かない問題」は、根性論では解決しません。
構造的な問題には、構造的な解決策が必要です。

Chatwork×n8n×Gemini APIの組み合わせで、情報収集→要約→配信を自動化し、人間がやることは「1分の承認作業」だけに圧縮できました。
さらに、リード獲得配信を組み合わせることで、ナーチャリングからリード獲得までの一気通貫の仕組みが作れます。

ポイントは「全自動」ではなく「人間の判断を最小化する」設計にしたこと。
AIの出力を盲信せず、でも人間の工数は限りなくゼロに近づける。
このバランスが、実運用に耐える仕組みを作るコツだと思います。

そして、こうした仕組みをAIを活用して「0→1」で作り、運用しながら「1→10」に育てていく。
その打席を増やすこと自体が、事業を動かせる人材への成長につながると実感しています。

これをきっかけにXなどのSNSも頑張る…かもです…!

▼Xアカウント
https://x.com/IkeharaRyuta


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