独特なサウンドをつくる。|天野正道から学ぶ【吹奏楽の書き方④】
今回は「独特なサウンド」について。
これまで豊かなサウンドの書き方等を述べてきました。
吹奏楽楽曲の作曲やエヴァンゲリオンシリーズの編曲で知られる天野正道の作品を分析します。
サウンドを耳にした瞬間「天野正道の曲だ」と分かってもらえる、いわばアイデンティティや特許のような手法をたくさん持つ作曲家です。
特徴的な手法を10個ほど列挙してみます。
前置き
※ 今回資料として用いる楽譜は筆者がDoricoで再現したものです。
※ オプション楽器や一部鍵盤楽器は除いています。
※ 細かい表記は盛り込んでいませんのであしからず。
※ Hrの1-3,2-4と1-2,3-4も実際の記譜と異なることがあります。
参考曲
参考
持続低音(オルゲルプンクト)
■『La forme de chaque amour change comme le Kaléidoscope』1小節目~
低音が何小節かにわたって同じ音を伸ばし続ける手法です。
低音以外の音高を変化させることで、和音を変化させます。
『La vierge d'Orleans』350小節目~にも見られ、かなり多くの楽曲で見られます。
むせび泣くS.Sax
限界となる超高音域でメロディーをS.Saxが担い、オーケストラのようなサウンドになります。
天野正道×佐川聖二のタッグでその美しさを耳にすることができます。
■『Adagio SłowiańskieⅡ』83小節目~

S.SaxのE♭6という音域はかなり高音域で、F#6以降はフラジオとなります。
ちなみに、Tp1は独自の旋律を奏でており、細かい音符を抜いた主旋律を演奏しています。
また、ピアノの左手のような音形で、Euphが分散和音の対旋律をしています。オーケストラで言えばチェロのような役割といえます。
極密テクスチュア
木管群で分厚く濃密なテクスチュアを作り上げます。
■『La Vierge d'Orléans』350小節目~


特徴が3つあげられます。
①ハーモニーのようなメロディ
主旋律:Picc,Fl,Ob,EsCl,Cl1,Cl2,B.Cl,Fg,S.Sax,A.Sax2,Euph
ハモリ:Ob,A.Cl,Cl1,Cl3,Fg,A.Sax1,T.Sax,B.Sax,Euph
ハモリは主旋律に執拗なまでに追従し、大きな塊となってメロディがうごめきます。
各声部の間隔も狭いため、名付けるとすれば「超密集配置*」といえます。
*……単なる密集配置はバスとテナーが5度離れることもあるが、超密集配置は4度間隔まで。
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