見出し画像

楽器用携帯アンプ作ってみました。Part2

経緯

前回の接着剤によるサンドイッチ工法による楽器用携帯アンプに続いて、今回はちゃんとした筐体に入れて安全に持ち運べる楽器用携帯アンプを(あまりお金を掛けずに2万円以下の目標で)作ってみました。



材料と部品


コンパクトで手頃なギターアンプYAMAHA製GA15IIの筐体を利用しました。スピーカーはAmazonで2インチのフルレンジスピーカー4個と4インチのウーハー1個と中国製の2.1chデジタルアンプを購入しました。またミキサープリアンプは前回と同様に手作りしました。電源は使わなくなったACアダプター12V5Aを利用しました。その他は合板と接着剤と線材です。

筐体に利用するギターアンプGA15IIとスピーカー


GA15IIの分解


YAMAHAの初心者向けギターアンプは非常にコストパフォーマンスが良く、分解も楽でした。モノラルで±15V電源でプッシュプル動作(おそらくAB級)で小型の中間タップ付き電源トランス(±18V)を内蔵しています。プリアンプ部はトーンやドライブ回路にローノイズオペアンプNJM2068LDを3個使用しており、PC板は片面1層紙エポキシで節約していますが、プリアンプの電源電圧が高いのでノイズに対して有利です。(分解したギターアンプの電子回路は後日別な用途工作Part3で使う予定です。)

GA15IIを分解してみました。



スピーカーの取付


厚さ9mmの合板にスピーカーの穴を空けます。糸鋸では手間がかかるので、今回はホールソーと電動ドリルで穴を空けました。

スピーカー用木材穴あけ加工の道具

バッフル板(スピーカーの背面圧力波を遮断する)にスピーカーを木ネジで取り付けます。筐体の枠サイズの制約があり、3インチフルレンジスピーカーでなく2インチフルレンジを2個直列接続(4Ω+4Ω)しています。スピーカの極性を間違えないようにしてください。

スピーカの取付



中国製2.1chデジタルアンプ


ひと昔前のシリコントランジスタAB級パワーアンプはPN接合面の順電圧バイアスのために、プッシュプル回路の0Vをクロスする±0.6V領域で歪が発生する致命的な問題がありました。所詮アナログアンプは線形近似動作です。デジタルアンプはPWMのスィッチング電源と同じ構造原理(高速制御スィッチングと考えると良いと思います)なので小型で低消費電力で高パワーで歪が少ない利点があります。

筆者の経験から中国製のデジタルアンプはコストパフォーマンスが高いと感じています。Amazonで2千円以下で入手できます。

デジタルアンプと2.1chスピーカ

トーンコントロール回路とサブウーハー用分離回路(カットオフと音量)が内蔵されています。そのままスピーカーが繋げます。また驚いたことに電源投入時にメロディが流れます。(昔の高級アンプは電源投入時の過渡応答を避けるため1秒程度のミューティング:遅延リレー回路が入っていましたが)過渡応答防止用にアナログスィッチ切り替え時にメロディを流しているようです。ということはMPUが内蔵されています。


ミキサープリアンプの工作


前回同様、複数入力の音量調整ができるミキサープリアンプの電子回路工作をおこないます。前回と同様の回路です。ただし今回は外部電源電圧が12Vなので3端子レギュレータに78L08(8V用)を使用します。IN/OUTの端子配列に注意してください。(7808と78L08ではINとOUTが逆です。)

ミキサープリアンプ回路図
ミキサープリアンプのボックス



楽器用携帯アンプの組立


デジタルアンプ,ミキサープリアンプ,スピーカ,電源を筐体に組み込んでいきます。

楽器用携帯アンプPart2の組立
楽器用携帯アンプPart2のブロック図

以上で目標コスト以内で楽器用携帯アンプPart2を作ることができました。



MIDI音源オプション


半世紀前には音楽用シリアル通信MIDIが大ブレイクしDTMや電子楽器に大きく貢献しましたが、現在ではUSB経由でもっと高速な通信(UART)が可能となり音源もMPU演算速度向上でソフトウェア化され夢のような環境が当たり前のように手に入るようになりました。
しかし、いまだにMIDI音源が販売されています。使い道を考えていたPianobox Proが手元に転がっていたので筐体の脇に接着剤で取り付けることにしました。ただし電源はUSB経由5Vなので、Amazon で入手したDCDCコンバーターをプラスチックボックスに入れて筐体に接着剤で固定しました。

MIDI音源を筐体脇に接着剤でとりつけます。


MIDI音源用にミキサープリアンプにステレオφ3.5ジャックを追加し、ボリュームつまみを黒で統一しました。またパイロットランプ(赤色LED)がウーハー用サランネット上部を照らしています。ついでにYAMAHA のエンブレムももったいないのでくっつけておきました。

最終仕上げ



評価結果と反省


サイズは前回に比べて一回り小さくなりました。持ち運びもしやすくなりました。ウーハーとMIDI音源が重いので、重さは当初考えていたよりも軽くないです。機能は設計通りに動作しています。

楽器用携帯アンプPart2

問題の音質は5段階中の3.5程度でした。やはり2個使いとはいえ2インチフルレンジは指向性が強く音圧も不足しています。3インチ以上のフルレンジスピーカーを使うことをお勧めします。低域は30Hz~120Hz程度をウーハーでカバーできていますが、入力が大きいと歪が発生します。本来ならウーハーは80Hz以下で動作させたいのですが、2インチスピーカのfoが150Hz程度なのでウーハーのカットオフを上げて使用しています。中低音域(80Hz~150Hz域)は2インチスピーカでカバーできないのでモノラルウーハーに頼っています。



音圧については、スピーカー性能のためトータルで20W相当が上限と考えられます。個人練習用あるいは少人数練習用には向いていると思います。
ノイズについては、中国製デジタルアンプ(プリアンプの内蔵)の内部のクロックもれがあるのでS/Nで70dB程度(アナログFMラジオ放送レベルより少し上:市販のアンプ並)です。前回のように電源ハム雑音はないのですが、デジタルアンプのクロック漏れ(MPUの動作)が混入しています。これは中国製デジタルアンプの性能に依存するので、もう少し高価なものを使うと良いかも知れません。

MIDI音源内蔵のリズムボックスを使って2週間のスピーカーのエイジングが終わり音質を確認したところ、慣れもあって正面からのボーカルの音質も不自然ではなくなりました。良かったことは中低域のこもりが全くなく(箱やスピーカー由来の変な共振点がなく)それなりにベース音域がなだらかに再現できています。楽器にとっては良い特性と思いました。やはり音圧やバランス的にフルレンジスピーカは3インチ以上のものが欲しいと思いました。

いいなと思ったら応援しよう!

デクノスティック これからも応援しています。