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「鍵泥棒のメソッド」を観たかめちゃん 〜"何者か"よりも"どう生きるか"〜 【感想】

どうも、かめちゃんと申します🐢

U-NEXTの無料期間が始まって早1週間余り。
急ぎ観たかった3作品は無事観ることができたのですが、これで辞めてしまっては勿体無いということで、AmazonプライムとNetflixでも無料視聴ができない作品を観ることにしました。

今回選んだのは「鍵泥棒のメソッド」。
数年前に一度観たことがある映画なのですが、いつかまた観たいと思っていた作品です。

▼過去の感想noteはこちら▼

すでに観たことがある作品の感想は初めてではあるのですが、久しぶりの視聴なのでご容赦ください。


概要

2012年に公開された内田けんじ監督の映画作品。僕はこの監督の作品が好きで、TSUTAYAで借りて見ていた記憶があります。
第36回日本アカデミー賞・最優秀脚本賞を受賞するなど、評価のある作品です。

堺雅人演じる元劇団員の桜井は、無計画な上、泣かず飛ばずで人生に行き詰まり自殺を試みますが失敗。財布に入った無料券を片手に銭湯に行くことにします。

一方、香川照之演じる、社会の闇に潜む便利屋のコンドウ。計画的で丁寧な仕事ぶりを誇る彼は、ある晩も華麗に"仕事"を遂行した際に受けた返り血を洗い流すために銭湯へと向かうのでした。

面識のない2人が偶然居合わせた銭湯。
ひょんなことから石鹸で足を滑らせたコンドウは失神してしまうのですが、脱衣所で彼の分厚い財布を見ていた桜井は出来心からロッカーの鍵を入れ替えることにしました。
コンドウの財布から借りていた金を方々に返していく桜井ですが、コンドウの持ち物などから怪しさに気づきます。罪の意識に苛まれながらも、彼宛の電話をとってしまうことで便利屋の仕事に巻き込まれていくこととなってしまいます。

一方のコンドウは病院に搬送されますが、なんと記憶喪失。入れ替わった荷物から自分を桜井であると誤認したまま退院の日を迎えます。

退院の日。
同じ病院に入院する父の見舞いに来ていた、広末涼子演じる雑誌編集者の水嶋香苗は、自認桜井のコンドウと出会います。
香苗は記憶を失っているコンドウに住所を尋ねられたことをきっかけに世話を焼くようになり、彼の記憶探しの手伝いなどを行うようになりました。

本作の第三の主人公である香苗は、病に伏せる父を喜ばせたいと結婚すると伝えていました。ですが、彼女には彼氏はおろかまともな恋愛経験もありません。
計画的な仕事ぶりを誇る彼女は、結婚への計画を立て、職場の部下たちの助けも借りながら相手を探していたのですが、コンドウと接するにつれ、生真面目な性格などに触れていくことで彼こそがその結婚相手に相応しいと感じるようになっていきます。

本作前半は、コンドウとして闇の世界に巻き込まれていく無計画な桜井と、桜井としてでありながらも丁寧に自分の記憶を取り返そうとしながら香苗と交流を深めていくコンドウという大きく2つのシーンの行き来から構成されています。

ただ、後半になるにつれて、桜井がコンドウとして任された仕事、コンドウの記憶、香苗の結婚事情など、様々な要素が絡み合っていくこととなります。
果たして彼らは無事に平穏な生活を送れるようになるのでしょうか...


感想

本作の展開自体は一度観たことがあるから、新鮮!というわけではなかったのですが、
改めてプロットへの感心を持つことができる映画でした。

まずはキャラクター。
特に無計画で無頓着で貧乏な桜井と、計画性があって努力家で裕福なコンドウという対比を、
記憶喪失を用いた入れ替わり劇という一見ファンタジーに近いプロットの中で魅力的に描いているなと感じました。
そういえば入れ替わりといえば「ファミリー・スイッチ」もそうでしたが、本作は超常現象じゃなくて記憶喪失という構造を使っているから、入れ替わりの自覚がある人とない人というのも対比的ですね。

そしてそれを演じる役者陣。
堺雅人さんは、「半沢直樹」などに代表されるような頭のキレるキャラという印象が強かったのですが、本作で演じた桜井は本当に情けなくなるような印象も持つようなシーンも多く、その演じ方は見事なものでした。
ただ情けないだけではなくて、その中にあるプライドが邪魔をしている部分とかね。流石です。

コンドウを演じる香川照之さんは、記憶の有無で変わる迫力の演じ分けはさることながら、両者に共通する丁寧で真面目な部分などをしっかり保ってくれているので、1人の人物として破綻なく2時間を見終えることができました。
本作の魅力を最大限に引き出しているのはまさに彼であったと思うところ。
そういえば堺雅人さんとの組み合わせはまさに「半沢直樹」を思い起こさせますね...

僕はこのコンドウが本作の最も魅力的なキャラクターであるように映ったのですが、おおよそ彼が誠実な人間であったことに起因すると思います。
何事においてもしっかりと向き合い、整理して思考する姿は仕事はともかく憧れるところが多々ありました。
元々杜撰な桜井として生きていくにあたって、誠実に堅実に向き合っていく姿は、自己理解においても他者理解においても大切な姿勢だと感じます。
実際、本作における彼は桜井として生きながらにしても成功を掴みつつあり、人間関係や仕事などに繋がるという点は、「何者であるか」(環境)よりも「どう生きるか」(本質)が重要であるという示唆を与えてくれるキャラクターだったと感じます。


さて、香苗もまた計画的な人物ですが、コンドウとは別ベクトルの真面目さで、恋愛関係においてはうまくいかなさそう、、、と思わせるような機械的な印象を見事に表現されていました。機械的だった香苗が結婚を目指すという過程の中で感情に気づいていくというようなプロットは、なんかこういう映画では珍しくもありましたが。笑


本作のテーマの一つは、やはりこうした"愛"についてなのではないかと思います。
本作のネームドの登場人物たちのほとんどは、少なからず恋愛的な関係性の中で悩んでいるか、そうした過去があります。
その中でコンドウと香苗の交流が描かれていくのですが、彼らに限らず愛ゆえの決断みたいなも見えたりして、少し考える部分がありましたね。

というのも、僕ももうアラサー。
未婚ということもあり、香苗ではないにしても両親や祖父母に結婚する気はあるんかと言われたりするようになってきたお年頃。
まぁプライベートのあれこれの細かな部分は省くにしても、大人になるにつれそうやって新しく情緒的な交流を深める機会ってそうそう簡単なことではないなと感じてはいるわけで。
ましてやオタク趣味に全力でそれ以外は杜撰な僕なので、どちらかというと本作の桜井ポジションだなと思ったわけです。

本作における"愛"の描かれ方って、自分の幸せ以上に他人の幸せを祈れることだと思います。
だから、桜井ポジションの僕にとって目下今は自分の生活をなんとかするべきだろ!みたいなところがある中で、そんな高尚な感情を持つことができるのだろうか...とも思ったりしました。

だから、せめてコンドウが示唆してくれているように誠実であることくらいは大切にしたいなと思います。
桜井よりはコンドウに憧れるわけですからね、少しずつそうやって生きていけたらなと思った次第でした。


さいごに

さて、既に見たことがある映画を観ての感想は初めてでしたが、
再びの視聴だと気楽だったのと、ストーリーそのものよりも色々と考えることができたのはよかったです。

こうやって再び観ることができるのもサブスクの良いところですね。
またタイミングがあればこういうのもやっていきたいなと思います!

それではまた!

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