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2025年4〜6月を振り返る ・ 映画版


そんな訳で2025年の4〜6月に映画館で観た映画の感想。並びは観た順。
今回、横長パンフレット度高し。

観たこと前提でネタを割っているので、未見の方は読まれる際にご注意ください。
今までの他映画感想はこちら↓から。




『バーラ先生の特別授業』(英題:Vaathi)

牛、意外に速いんだな……?

インドの受験戦争の凄さ、まだ日本ではそこまで知られていないんじゃないかと思いますが、本当にとんでもないなと映画を見ていても判ります。
きっと、またあえる』(感想と主演男優・スシャントに捧げた文はこちら)、『スーパー30 アーナンド先生の教室』(感想こちら)、『きっと、うまくいく』『ヒンディー・ミディアム』(この2本は見たのが古いのでここには感想ナシ)などなど。
日本にも「お受験」「受験戦争」なんて言葉があるように、それなりに受験は重要視されてはいますけども、ケタが違うと感じる。
日本だったら、東大や京大行くのに一浪二浪するとか、まあ割と普通じゃないですか。でもインドでは、それこそ「この一点に人生のすべてがかかってる、外したらそれで人生終了」レベルの感覚の人が、本人も親もたくさんいます。

だからこそこういう映画がつくられちゃうんだろうなー。で、まだまだこの不公平状況は残っているのだろうと思います。
こういうの見てると、やっぱ私立高校に国や地方が学費助成するのはどうなのかと思ってしまいますね。その分のお金は、公立の環境アップや優れた先生陣を配置する為に使ってほしい。
裕福なおうちでもそうでないおうちでも、同じくらいのレベルの学力を持ってる子供が、同じくらいのレベルの教育受けられる学校に通えるようになるのがベストだよね。私立だと「学費」自体がゼロになったとしても、それ以外のことでいろいろお金がかかりそうだから、いくら学費がゼロでも家にお金が無いと通うのムリだもの。

それにしてもバーラ先生、胸元に覗く胸毛がすごくて気になって気になって仕方がなかった。いつこの毛だらけ上半身が見られるのかとドキドキしていたら最後まで出てきませんでした(笑)。半袖なのに更にその袖口をまくりあげるのが、決めポーズなんだろうとは思いますが妙に面白かったです。
アクションは正直あんまり上手い感じじゃなかったですね。まあこれは本人のせいと言うより、殺陣担当の人の振り付け方とか、カメラの撮り方なんでしょうけども。それこそ昔のラジニ映画ばりに、殴っても蹴っても当たってるようには見えないのに敵が飛んでいく、て感じでした(笑)。

こないだの『デーヴァラ』でもそうですけど(感想こちら)、後半になってきてふっと、「あれ、そういえば自分はもともと何でこの『バーラ先生物語』を聞かされてるんだっけ……?」と我に返ること度々。インド映画、回想もので、語られる過去話があまりにも壮大にすぎるが為に、「そもそもなんでその話聞くハメになったのか」を忘れるパターンがすごく多い(笑)。

でもこの結末だと結局、本来の希望の「このむっちゃ教えるのが上手い先生に教わりたい!」て願いは一個もかなってないんですが、それでいいのか……? だって彼等の予備校の先生って、まさにあの「教える気もやる気もゼロ」タイプのヒトだよね……こうなったらもう、「46人の先生の予備校」の近くに下宿して通うしかないのかしら……?

バスに砂利突っ込む悪人がやることセコすぎてちっちゃすぎてキーっとなりました。コイツもっとぶちのめしてくれていいよバーラ先生!←らんぼう
助けてくれた穀物売りにいくお爺ちゃん、泣いたけど、でも「牛ってそんな速い……?」と心配にもなった。が、後のシーンで流れてく背景が結構速かったので感心しました。牛、やるな……。
しかし自分が村の住民なら、『アルナーチャラム』をやるよ、と言われてこっそりにでも覗きに行かない自信がない(笑)。
ビデオ屋のお爺ちゃん、何とも言えず良いキャラでしたね。好きだぁ。

エンドクレジット、例えば「サウンドエフェクト」とか「コスチューム」みたいなお仕事名は英語で、その下の担当者本人の名前はタミル語の文字で記載されていたんですよね。
が、仕事名部分もタミル語になってるところが結構あって(仕事名と名前のフォントは色が違うので見分けがつく)、「英語では明確な訳の無いお仕事内容があるのだろうか……」と想像してしまった。「めっぽう美味いチャイづくり担当」とか。




『RRR ビハインド&ビヨンド』(原題:RRR: Behind & Beyond)

プロデューサー「(ラストバトルについて)多少の誇張的表現は許されると思う」
…………多少…………?


そんな訳で皆大好き『RRR』のメイキングドキュメンタリー(『RRR』の感想はこちらこちら)。
どれくらい大好きかと言うと、この作品内で監督が「つくった後に世界中で大反響が起きた、特に西はアメリカ、東は日本だ」てな内容を語ってたくらい。アメリカの劇場と日本の劇場でのファンの大興奮の映像が出ていました。それにしてもアメリカ人、野生動物登場シーンにテンション上がりすぎですよ(笑)。

どんな映画でもメイキング映像で俳優同士が仲良くしてるオフショットにはほのぼのしますが、とりわけこの作品でNTR.Jr(タラク)とラーム・チャランが仲良くしてると頬がゆるゆるにゆるみますね。皆さん脳内に『Dosti』が流れたことと思います。

それにしても監督、要求がハードにも程がある(笑)。それをあれこれ言いながら、でもかなえてしまうスタッフと俳優陣の質の高さには惚れ惚れしますが。
動物の動きの速さを最初に頭に叩き込む為にアニメをつくっちゃう、て発想が凄い。それにお金と人手をかけられるのも凄い。感心しつつも、「そりゃ日本のエンタテインメント系の映画がなかなか世界に打って出られん訳だわ……」と少し肩も落ちる。こんな手間暇と人数とお金をかける余裕なんてないもんね。
しかしあの動き説明の為のアニメを見た日本人全員、思いませんでしたか……「うむ、ここまで既にできているのなら可能なのではないか、『アニメ版RRR』」って……?
実際の動物代わりの青い人形がかわいい。全身ブルーの「虎担当」のヒトが何ともじわじわと面白かった。

ビームへの鞭打ちシーンで、チャランが「歌い出すタラクに嫉妬した」て言ってるのがとても良い。判る、判るわ……あれはもう役者として一世一代の名シーンだよね。観客すべての人のこころを一瞬でぐっと握り込んでかっさらう。それを堂々たる姿で見せるNTR。「いいなあ、これ、オレがやりたかったなぁ」て思うよね。
でも言うまでもなくチャランも素晴らしかったですよね。あの冒頭の群衆と対峙するシーン、本当に瞳に映ってるものをリアルに撮ったんだ、という話に感激しました。なんて綺麗な瞳……!

Naatu Naatu』の撮影場面で、ウクライナのことを口々に讃えているのがじんときましたね。いつかもし本当に『RRR2』がつくられることになったら、その時には状況が今より好転していて、皆が落ち着いて撮影に行けて、現地スタッフと明るく笑いながら撮影ができるようになっていると良いなあ。
ナートゥの後にNTRがチャラン背負って帰るシーン、本当に普通におんぶしてて超かわいかった(肩車のアクションシーンとかは補助機械が入ってる)。なごむ……。

メイキング作品なので、映画を見てる時みたいに「ストーリー」で泣くようなことはないだろうと思っていたら、アカデミー賞受賞のくだりでしっかり泣きました。いやもう本当何回見てもいいわ(アカデミー賞受賞の際に書いた記事はこちら)。
でもってカーペンターズいいひとだ……。
インドの映画、それもテルグ語映画(インド国内ではヒンディー・タミル・カンナダ・マラヤーラム語版もあるそうですが)がアカデミーを取る日がやってこようとは。

ちなみに日本で初公開されたテルグ語映画は『愛と憎しみのデカン高原』なんですが、日本公開が決まってから実際に公開されるまで、蕎麦屋の出前のように「もう来る」言いながら延びに延びた。
おかげで当時、インド映画仲間でのオフでの別れ際の挨拶は、「じゃ、次はデカン高原で会いましょう!」でした(笑)。
それが今やこの勢い。本当にインド映画をここまで盛り上げてくださった多くの皆様、ありがとうございます。



『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』(原題:Fuhrer und Verfuhrer)

総統、ケーキ好きなんだな……。


冒頭に「こういう思いを込めてつくりました」的メッセージがかなり長々と出てくるんですが、その中で「この映画には多数の実際の映像が含まれる」「会話も綿密な調査から引用した実際のものである」とことわっているんですよ。で、そうすることで「ヒトラーやナチスがユダヤ人虐殺に実際にかかわっていたことははっきりと示されている」と(ちょっと記憶が曖昧なので完全にこの通りの文字列ではないんだけど、文意は概ねこの通りの筈)。

それ以外にも主張してる内容はあるんだけど、このくだりを見た時にはちょっと拍子抜けして。
「イヤ今更、だってそんなのは誰でも知ってる世界の中学教科書的常識知識じゃない?」と思い、次の瞬間はっと気づく、そうか、今はドイツ、まだアウシュビッツの生存者が暮らしているドイツでさえ大勢いるのか、「ナチスのユダヤ人虐殺は無かった」主張の人が……。

なんだかね、本当に、複数の収容所でそれぞれに生き残った大勢の人の、解放されてまもない当時の証言をどうやって口裏合わすというのか。そもそも収容所にいたのはユダヤ人だけではないのに、その人達までなんでそんな嘘をつく必要があるのか。
今イスラエルがやってることは全然良いとは思わないけれど、この時代にユダヤ人が迫害されていた事実は変えようがないわ。勿論、昔迫害されたからって今何やってもいい訳は全くないですが。

更には、この映画見てしばらく後に新聞で読んだアウシュビッツ生還者の人のインタビューによると、何年か前に怪我をして病院に行った際に若い看護師さんに腕の番号入れ墨を見られて、「なんでこんな入れ墨を入れたんですか?」て真顔で聞かれたんだとか。別の知り合いの生還者でも同じことを若者に聞かれた人がいたそうで、他でもないドイツ国内でその状況ってあまりにも衝撃的でした。
そりゃこんな「おことわり」を入れたくもなるってもんだ……。

頭に書いたように実際の資料にできる限り基づいて「ゲッベルス」という人物を造形しようとしている為、結構ぽんぽんと時間が飛ぶ。ざっくりでいいので、ひと通りの「ヒトラーとナチスの隆盛の経緯」が事前に頭に入ってないと見ていて「??」となりそうです。
多分、西洋、特にヨーロッパ圏のこの映画のターゲット層の人達にはこのくらいの流れは「常識」なんでしょうね。日本人が徳川幕府の成立や滅亡の歴史の大体の流れを皆知ってるくらいに。

ケーキを始め、結構ヒトラーの飲食シーンが多いのが印象的でした。今まで見たいくつかのヒトラーものでは、いわゆる「外交」や「会議」の場で「会食」として食べている場面はあっても、それ以外の「私的な飲食」シーンはそんなになかったように記憶しています。
しかもこんなにケーキむしゃむしゃ食べてるのなんかほんとに初めてかも。甘党というのはうっすら知ってたんですが。

昔はこういう描写をするとそれだけで「ヒトラーの『人間みがあるところ』の描写なんてするな!」て抗議がきたんでしょうが、時代は変わったな。今となってはすっかりネットのおもちゃとなってしまった『ヒトラー 最期の12日間』ですが、2004年に公開されたコレでさえそういう抗議がたくさんきたそうなので。
その時も思ったものですが、別にそういうものってひとりの人間の中で普通に両立するんですよね。犬をかわいがり、甘いもの好きで、追い詰められると弱音も吐いて。
「こんな非人道的行為をやった人に『いいところ』なんてある訳ない!」てのも「こんな『いいところ』がある人なんだから『非道い人』な訳がない!」てのも、どちらも違うよね。

ちなみに『ヒトラー 最期の12日間』でブルーノ・ガンツが演じた「ヒトラー」は最高峰の「ヒトラー」再現ではないかと思っています。今回のフリッツ・カールもなかなかいい感じですが、やはりガンツを超えられる人はいないな。この先すべての、「ヒトラーを演じる役者」の永遠に越えられない巨大な壁だと思います。

……しかし先日の『教皇選挙』でも思いましたが(感想こちら)、大量の登場人物が一度に出てきた際に「この人は誰でこういう人ですよ」とこちらに覚えさせる為の場面の作り方がすばらしく上手い。すごく覚えやすかった。本当にインド映画見習ってください(笑)。




『タンデール 君の声を聴きたくて』(英題:Thandel)

ムラリ、オレの中ではキミがNO.1だ……ハートも顔も、キミほどのイケメンは他にいない……キミこそがオレにとってのタンデールだよ……!!!!!
「子供が男の子だったらラージュとつけるわ」の場面で「イヤそこはムラリだろ!!」と心底突っ込んでしまったわ。


そんな訳で何ともかんとも自分には不満が積もる作品でした。
もともと、ひと昔前の映画や漫画によくあった「顔を合わせば必ず喧嘩になる二人、ホントは相手が気になって仕方ないのに、つい勢いで別の人とつきあい出しちゃったりなんかして、だけどおかげでお互いやっと素直になれてラブラブハッピーエンド!」的展開が嫌いで嫌いで(笑)。「別の人」が大概迷惑やろうがい!!
今回は最初から恋人同士なのでそこはいいんですが、サティヤがさあ……。

いや、でも、そもそも遡ればまずラージュが悪い。サティヤの言い分はぱっと見「仕事とワタシ、どっちが大事なの!」ではあるんですが、何せかかってるのは命です。しかも、身近な人間が死んだ直後です。
「仕事より自分を大事にしてほしい」より手前に「死んでほしくない」のです。そこに「娘の為に船を降りた」パパの話を聞いたら、「ならあの人だって……!」と思っちゃっても仕方がない。

ラージュはそこで、彼女の不安をしっかり受け止めて話し合ってあげなきゃいけなかったよ。どうしてもそれが上手くいかなかったとしても、嘘はダメ。しかもこんな嘘は本当に良くない。更には安心しきって幸福の中で眠った彼女をひとり置き去りにして去るとかヒトとして最低。
あれは見ていて胸が張り裂けそうになりました。愛情が深ければ深いだけ、怒りに転換する瞬間だよね。しかも自分が言った癖に、「そんなの無理だって判ってるじゃん」みたいな言い方までされて。

と、心底「サティヤかわいそう……!」と思っていたらアレだよ(怒)。
イヤなんで見合いを受けて「結婚します」と宣言した相手から、元カレの話を延々聞かされなきゃいけないワケ? 見合い結婚だろうが恋愛結婚だろうが男側だろうが女側だろうが、「わたし前の恋人がこんなにこんなに好きだったんです!」なんて話を延々聞かされる現カレorカノの立場は……?

しかも最後にラージュの元に戻るのに、「ごめんなさい」も言わないんだぜ?
「謝罪もしないのか」と唖然とした直後に、ラージュに再会して第一声が「ごめんなさい」だったので、「なんでラージュに謝れてムラリには謝れないんだよ!!!」と激しく内心で突っ込んでしまいました。ラージュはあの「嘘」の後に口もきいてもらえなかったりしたのは彼にも非がある、でもムラリさん悪いとこ何ひとつなくない?

ムラリさんご本人もそうだけど、わたし自分がムラリ両親の立場だったらぶちギレてます。そりゃ男性の方が婚活に有利な年齢範囲、女性よりは幅広いと思うよ。インドならなおさら。それでも、それなりの「イイ年齢」を数年間もムダにされて、金も時間も使われるだけ使われて、挙句元カレと元鞘って、アナタうちの息子を何だと思ってるんだ、て怒鳴らずにはいられんわコレ。
何ひとつ気持ちなんか無い癖に、よくもあそこまで堂々と協力させるものだな……。
ああ、『ミモラ』を見てこころを浄化したい(笑)。


……まあとは言え役者さんに罪はない。役者さんは皆素晴らしかった。
特にサティヤを演じたサーイ・パッラヴィ、ダンスがプロかと思う上手さ……!
ダンスシーンが少なかったのが本当に残念。ものすごい安定感とキレ。もっと見たい……!

ディーピカやプリヤンカのような、いわゆる「くっきり華やかインド美人」とは違う顔立ちだけれど、笑顔が本当にすばらしい。周囲の空気までもぱあっと明るくなる感じ。
別の映画をもっと見たいなー。

他には、ほんの一瞬しか出なかった「若き日のラージュ」がすごくイイ感じだった。役者は誰だ、と調べてみましたが判らなかった。見た感じまだ十代後半くらいでしたので、この先ぐんぐん育って有名役者になってくれるといいなあ……。

それにしても、キットゥ、アレ本当に切られちゃったの……?
最初は割礼されたんだと思ったんですよ。まあそれもとんでもないことですが、本体そのものは残ってるんだと思ってたのに、その後に悪党がラージュ達に「お前等もあのガキみたいに去勢してやろうか」てセリフが出てきたんで仰天。えっ、切り落としたの……?
イヤまさかね。違うと思いたい。誤訳だよ誤訳。
そうだよね……?

コレのせいで、最後の方で看守長が妙に「いいヤツ」モードになってるけど正直「けっ」となりました。自分が長として管理する刑務所内で、未成年の子に行われた暴力沙汰をスルーして、なに今更いいヒトぶっとんじゃい、と思ってしまった。

そしてこの映画を見て数日後のタイミングでインドとパキスタンの争い勃発……。
こんなにも根深い分断を生じさせた歴史、罪深いな。
このまま停戦合意でおさまりますように……。



『けものがいる』(原題:La bete)

パリの夜7時半って明るいんだな……!


つ ら い……。
このラストは辛いな……。

だが何故にあれが「浄化」になるのか、と鑑みるに、「どの時代でどのように出逢っても惹かれ合い不幸になる運命のふたり」であるからして、「過去の不幸を学び感情をクリーンにすれば現世では惹かれ合わなくなる=どっちも死ななくてよくなるよ!」てことなんじゃないのか。
つまり、どちらも「浄化」を失敗したとしたら、2044年でもどちらかが死ぬかどっちも死ぬか、になってた可能性がある訳で。
これは難しいよね……せめても愛を成就させて死ぬか、強烈な「運命の愛」はなくとも、あの感じだと多分「強い感情を排した人間関係(肉体関係も含む)」はOKっぽいので、その「そこそこのつきあい」で我慢をするか。

ルイはガブリエルに感じる「強烈な吸引力」を捨て、「波も深さも無い薄っぺらい精神」を選んで、それでも彼女との一種の「関係」は続けていこうとしてる訳だしな。「愛情がなくなったからこの人のことはもうどうでもいいや、無関係の他人でこの先一切会わなくてもいい」と思ってるようには見えないんですよ。
そう思うと、これはこれでルイ側のある意味での覚悟、「それを失ってでも自分もキミも死なずに交流を続けたい」というものでもあるのかも。ガブリエルにしたら、これ程手ひどい「喪失」はない訳だけど。

見ている途中で、もう20年以上前に見た夢を思い出しました。
なんでそんな昔のものを覚えているかと言うと、あまりにも印象的で起承転結がしっかりしていたので、当時きちんと書き起こしたんですよね。
世界の運命を決める神の使いとして地に降り立ったふたり。それぞれが別の土地に飛ばされ他人として人生を送り、「邪悪」と行動を共にする相手と時空を超えて何度も戦った。触れ合おうとする瞬間にいつも別の世界に飛ばされ、永遠に近いくらい何度も何度も繰り返した。世界の終焉が訪れたその日、一度は「邪悪」を打ち倒してついに触れ合うことができた、その時の固い固い抱擁、あれがずっと忘れられない。
映画を見ていて、あの瞬間の感覚、相手の指が髪に触れた感触、強く引き寄せられて相手の肩に押しつけられた自分の息の熱さ、そんなものすべてがすごくリアルに、実感を伴って思い出されました。だからこそラストのガブリエルの号泣は本当に辛かった。
昔のメモを見直してみたら、やっぱりいい夢だった。そんなにむちゃくちゃ長くはないので、その内noteに書こうと思います。

それにしても、「小粋な紳士」「非モテのミソジニー男」「純朴で誠実っぽい青年」を演じ分けるジョージ・マッケイ、見事だ……。
まあそれでも正直、「非モテ」で出てきた瞬間は「イヤきみ髪型とか服とかもうちょっと変えたらそれだけでモッテモテやろがい、自分が男なら『この顔面で何言うとんじゃいボケ』てなるわ」と思いましたが、見ていたらどんどん「これはモテんわ……」という気持ちになる(笑)。すごい説得力。
言ってるセリフの内容だけじゃなくて、全身から「女子が嫌がるオーラ」がにじみ出ている。すごい。

エンドロールはQRコードで見てね、は斬新でした。パンフの監督インタビューによると、「エンドロールっていわば『余韻を味わう』時間、でもこの映画は感情が排された世界を描いてるから、エンドロール無しでぶった切ることで観客にもそれを味わってほしい」的な理由だそうですが。
まあその意図はそれはそれでいいんだけど、クレジット以外の映像、あれ何で本編に入れなかったのか不思議。別にあれが本編にあったところで、話の受け取り方は全然変わらないと思うんですけども。

しかしちらっと思ったんですが、2044年でのあの「仕事」、もし測定時以外は好きなことしてていいんだったら結構良いんじゃないの、とちょっと思ってしまった(笑)。
生活はなかなか高水準に見えたので、あの仕事でそれだけの給料が入ってくるんだと思うんですよ。「浄化」して「特別な仕事」をすればもっと儲かるのかもしれないけれど、あれくらいの生活できるなら自分は全然「温度測定ワーク」でいいかも。で、毎日読書や映画やもの書き三昧。アリだわ。
測定時以外は何もしてはダメ、だとしたらかなりキツいけど、なんかあの世界の支配層、そんなこと気にしなさそうな感じがするのよね。

けど2014年の「お金持ちおうちバイト」はちょっぴりイヤだ……。
最初は異空間感覚味わえて結構いいな、と思ったんですよ。でもあの「チェック電話」がイヤすぎた。
あれ、どうなんでしょうね、オーナーがご近所に「お礼するから見張っといて」て頼んでるのか、それともご近所が自主的に「ちょっと旦那さん、アンタんとこのバイトの子ヤバいわよ」て告げ口してるのか。どっちでもイヤだな。ガブリエル、よくぞ壺割った(笑)。いいぞ。

ところでフィクション・ノンフィクションを問わず近代のパリの街並み映像で、こんなにも路駐車両が映っていないものを初めて見ました(笑)。すごいな、コレどうやって撮ったのかな。どいてもらったのか、CG処理で消したのか。きっと後者だろうな。どかすの超面倒そうだもん。



『Flow』

うむ、ラブのバカっぷりは最高にキュートだというのは全世界共通認識なのだな……。


酔 っ た ……。

イヤ良い映画だったんですよ。本当にステキな映画だった。
でも酔った……。
全くの想定外であった。こんなにも画面酔いするとは思いもしませんでした。
おかげで中盤とか後半とかは、薄目で見る始末でした。あんなに美しいのに……(涙)。

洪水が世界をすっかり覆い尽くした後の画面に感じられる「深さ」が凄かった。実際にカメラが水中に沈んでいって見せる訳ではないのに、この水の下にものすごく大きな空間が沈んでいる、という確かな実感や畏れを感じる。
それを更に後押ししてくる「鯨」。息を呑みました。

それにしてもヒトはどうして、「ヒトがすっかり滅んだ世界」にこんなにも美しさを感じてしまうのか。廃墟にえも言われぬ魅惑を感じるのってヒトの不思議です。ラストにたどりつく島の沿岸、ちょっと『未来少年コナン』のハイハーバー近海を思い出しました。
それにしてもアニメーションでこんなにも「水」を美しく表現できる時代がくるなんて思いもしませんでしたね。一番難しいものじゃないですか?

キャラクターが全員動物なんですが、人間が話を考えてその通りに動かしているので当然「ヒトの都合」で全員が動いてる訳だけど、そう感じさせない手腕が良い。本当は勿論「全部こっちの都合通り」なんだけど、そう思わせないように上手くつくられています。
船を動かしたりネコちゃんの為に群れに逆らったり、なんてのはまさに「お話の為」に本来動物がしないことをしている訳だけど、それが逆に「その場面以外の『野生動物の好き勝手さ』」を強調してくれる。本当はすべてのシーンがいわば「つくりもの」なのに、「ご都合主義だけじゃない、動物らしさがちゃんとあるな」とこちらに思わせてくれる。上手いです。

だがしかしご主人様、あのネコちゃん像はいくら何でも巨大すぎやしませんか……!
黒ねこちゃんがかわいすぎて愛が炸裂したのか。それにしてもでかい。
この黒ちゃんがかなりほっそりしてるのに、彷徨が始まってからなかなかご飯が食べられなくてドキドキした。やっと食べ物にありつけた時は心底ほっとしました。
映画館の良い音響で聴くゴロゴロ音は本当に素晴らしいな……。



『ヴィクラム』(英題:Vikram)

ティナ様……!!!!

もう彼女がいろいろ諸々すべてをかっさらっていったと言っても過言ではない。近来稀に見るシャープでクールで激シブな殺し屋でした。生き残ってほしかった……!(涙)

冷静になって思えば何にも知らなくてあの状況になったらパニくって当然なので仕方がないのですが、それでも正直息子妻にイライラしました。「もういいからお前彼女の言葉に従えや!!!」て。もっとさっさと隠れてくれてれば、孫ちゃん連れて脱出できたかもしれんのに……。

黒チームで他にハートをかっさらっていったのはティルさん。イヤもうあんなイカつい体格で黒の蝶ネクタイに白シャツに黒ベストのウエイタースタイルってだけで大好物なのに、その姿で黒覆面でアクション決めるってカッコ良すぎじゃありませんか??? この人も亡くなられてしまった、悲しい……(涙)。
それに引き換えローレンス何がしたいのかよく判らなかった。なんであんな敵の真っ正面によりにもよって孫ちゃん乗せて出ていったの???

孫ちゃんと言えば、あの「騒音厳禁設定」が途中からほぼ無意味になっていたのが残念でした。その制約上でどう戦うか、というのがアクションの面白みのひとつだと思っていたのに。
屋敷に押し入ってきた連中とヴィクラムが戦うシーンはちゃんとそう作られていて良かったのですが、ラスト戦場、アレもうヘッドホンくらいでどうにかなる代物じゃないですよね(笑)。
そんな戦場に、せっかく息を吹き返した孫ちゃんを連れて帰ってくるアマルに仰天しました。いやもうその足で一直線に病院に行け。ヴィクラムには動画でも送っておけ(まあそもそも、心臓止まってからあんな長い時間かかってたら、ぶっちゃけアウトだとは思いますが)。

アマル、そう、アマルもねえ、ちょっとなあ……むちゃカッコいい設定でむちゃカッコよく「正義の裏方」として活躍してるのに、彼女つくってあまつさえ結婚しちゃって、イヤまあヒトだからそれは仕方がないにしても、もっとセキュリティに気を使えよ……別に詳細言わなくてもいいから、立場をきちんと打ち明けて、警護付きの超高級住宅街に住まわせるとか。金はあるんだから、そこはいくらでもどうにでもできたろうに。

麻薬王サンダナムを演じるヴィジャイ・セートゥパティの独特の存在感が良かった。ちょっと泥臭いと言うか、もったり感があるところ。麻薬づくりがすごい家内制手工業なのに笑った。妙に地に足がついている。
主役・ヴィクラムを演じるカマル・ハーサンは言うまでもなく良い。この目力……!
娼館の女性をやさしくハグする姿にぐっときてしまったわ。

予告見た時には全く「歌とダンス」の気配が無かったので、まあ最近はそういうインド映画も多いし、こんなハードでダークっぽいストーリーじゃそれも仕方がないな、と思っていたらいきなりあのノーテンキダンスで意表をつかれました(笑)。謎の「Base」の決め台詞と、シャツを頭からかぶるヘンテコダンスがかわいかった。「オレだけにやらすなよ!」


ダンスは無いけど、『Wasted』の曲がむちゃカッコ良かった。音楽がとにかく良くて、サントラ買いました。アニルド・ラヴィチャンダル(Anirudh Ravichander)、他の映画も好きな曲だらけだな。声もいい。顔も好み(笑)。
↓これは映画の映像じゃなく、いわば「イメージビデオ」。サイケ……!


そして映画内の結婚式でビリヤニつくるシーンがあるんですが、そこで出てくる異様にテンション高いコックさん達がインドのお料理YouTuberだというのをIMDbのキャスト一覧で知って笑った。このノリ大好き……!




『政党大会 陰謀のタイムループ』(英題:Maanaadu)

えっ、で結局、なんでカーリクはあんなVIP扱いで飛行機に乗れてんの……?

てっきりインド映画あるある、「主人公が仕事何やってんのかさえよく判らんけども異様にお金持ち」なパターンかと思ったのに、フタ開けてみたらまるっきり一般サラリーマンにすぎなかったので疑問が深まりました。
タミルヴァナンの交通事故(に見せかけた暗殺)を防ぐ為に一分一秒の勝負で何度もやり直すシーン見てて、「理由は知らんけどキミが飛行機に遅れてなければそんな瀬戸際の勝負しなくても間に合ってたのよ……」と思いました(笑)。
ラストはもう一回ループなのか。これじゃ永遠に終わらんくない? こういうのって普通、「特別な一日」を乗り切ったらループしなくなるもんだと思ってた。だってそうじゃないと、普通に歳取って寿命で死んでも戻っちゃうことになるじゃないですか。しかしなんて血の気の多い兄貴だ。

それにしても、あれが「タイムループが起きる理由の明解な説明」になっていると言えるのか(笑)。「つまりは神の御心」レベルが理由でいいなら、他の作品でもその程度の説明はある気がするな。
帰ってからパンフ見て知って、すごく残念に思ったのは最初の方でシータがカーリクの鼻血を幻視するシーン。あれ、てっきりシータにも謎のパワーがあって、ループに参加できるようになるんだと思っていたので、何にも起きなくて拍子抜けしました。
パンフによると、あれはただ単に主役のシランバラサンが他の映画で標的女性を見つけると鼻血を出すシリアルキラー役をやっていたので、その楽屋オチネタなんだそうな。
イヤでもちょっと使い所が間違ってるでしょうよ……知らなければ伏線に見えるし、知っていたらいたで「えっ、ヒロインと出会ってその鼻血なの……?」てどん引きしません……?
これと言い、冒頭の謎のVIP扱いと言い、作劇があんまり上手くないなあと思ってしまいました。思わせぶりに出したものには、ちゃんと始末をつけないと。この点、同じタイムトラベルものでも『24』は辻褄合わせが素晴らしかったなと思います(感想こちら)。

S.J.スーリヤーが悪い役なんだけど、だんだん笑けてきて、最後にはちょっと気の毒にもなってきた。カーリクがやり直す度に当日朝に巻き戻されてると思うと……(笑)。

唯一の歌とダンス、『Meherezylaa』がすんごく好き。帰宅して即ダウンロード買いしました。サビの繰り返しメロディとリズムがむちゃ気持ちいい。脳内でエンドレスループしてしまいます。
覚えやすいメロディと難易度が比較的低そうなダンスで、実際の結婚式で使ってもらうことを意識してるんじゃないかと思いました。




『Orange』

NAGOYA DORAGONS……???


ストーリーは割と薄い。こじらせ男子がこじらせてる癖に超陽キャの一目惚れ体質で、その過程でいろんな人に迷惑をかける話(笑)。
ただ、そんな単純な話を3時間近い長さにする為に、歌とダンスが大量にあるのが嬉しい見所。現代劇だし海外ロケが大半なのもあって、大人数のゴージャスバックダンサーやゴージャス衣装はありませんが、ラーム・チャランが楽しそうに踊ってるだけで充分眼福です。帰宅してサントラ即買いしたわ。

それにしても、「今どんなに好きだって気は変わる可能性はゼロではないので生涯の愛は誓えません」なんてのは、「誰だって明日死ぬかもしれないんだから明日以降の約束は一切できません」てのと同レベルのいちゃもんであって、無人島でたったひとりで暮らしてるならともかく、複数の人間がいる世界で生きている以上そんな主張は通らんのよラーム。
アナタだって「明日の朝は早いんだから、今日はこれ以上飲まずに帰ろう」とか「手元のお金がゼロになるのは心配だから、全財産つぎこめば買えるけれどもローンで払おう」とか思うでしょう。「一寸先は闇だから先の保証も努力もしない、今愛してるんだからその分だけで満足しろ」なんてのは、明日のことを一切無視して今日だけを楽しむのと同じなの。ほんの一晩だけならともかく、連日そんな風に生きられる人は誰もいないの。

インド映画のFall in Loveって、もうほぼほぼ一目惚れ、外見惚れが九割なんですが、この映画では珍しくその「一目惚れ」に説得力があるんですよ。ものすごくまっすぐにキュートにストレートに、こころの底から友達の恋の成就を喜ぶ笑顔。心底素直でいい子なんだなというのが一発で伝わる。これは惚れる。
その後に友達とキャッキャしてたり、ライオン見てはしゃぎまくってたりする姿も全身から嬉しさがあふれ返っていて本当にあいらしくて、彼女からこの快活さと素直さと無垢なハートの美しさを根こそぎ奪い去ったラームには正直腹が立った。最後の方で「昔はあんなに可愛かったのに」みたいなこと言いよるんで、「そんなん言うのはこの口かゴラぁ!!!」と言う気持ちになりました。貴様じゃ、貴様!!!!

……とは言え、つきあうにあたりグラフィティを諦めさせて絵の先生の職を用意するジャヌにはちょっぴり引きました。同時に、「ああ、あんなにも『恋に恋する乙女な女性』だったのに、こんな地に足ついた遣り手オトナになってしまって、これも皆ラームのせいだよな……」とちょっぴり切なくなりました。人生にたった一度だけの初めての恋、ほんとなら後先なんぞ考えず、ただただキラキラした幸福にあふれてどっぷり甘い時間をすごせた筈なのに。ホントに罪深いわラーム。

ラーム友達、サティヤを演じてるプラネース(発音あってるかな? Praneeth)の顔がド直球で好み。でもIMDb見る限りでは、俳優はこれともう1本だけなのか。惜しい。
この系統のお顔すごい好きなんですよ。目が細く、でも二重と涙袋はしっかりあって、額が広く顎はほっそり、笑うと目の端や口の脇に皺が何本もよる感じ。『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』でパップーやってたシュレイヤス・タルペードみたいな(なおリンク貼っておいてアレですが、ストーリー紹介に見る前に知ると大変もったいないネタバラシがあるのでイントロダクションやストーリー部分を読んではいけない。Wikiや映画データベースサイト、DVDパッケージのあらすじも同様なので読んではダメです。何も知らずに見るべし)。
女性陣では、ラームの元カノ、ルーバをやってたシャザーン・パダムシーがやはりド直球で好み。なんという美女。こちらはこちらで、『オーム〜』のヒロイン、ディーピカ・パードゥコーンに似てる。好き。彼女になら束縛されてもいい(笑)。

謎の居候(インド映画にはよくいる)、パピーが好きすぎる。ブラフマーナンダム、この人がスクリーンにいるとそれだけで何とも気持ちがなごむな。かわいい。
かわいいと言えばジャヌ父のプラブ・ガネーサンもかわいい。一応「厳しい父親」立場にいて、そういう態度も見せるけど、なんかこの人が演じてると全然ハードさがない。警官役のプラカーシュ・ラージもほのぼのしますな。でもアレは「偉大なる愛の男」では全然ないと思う(笑)。




『メガロポリス』(原題:Megalopolis)

あれっ、なんかコレって…………梅田…………??
そうか、「メガロポリス」は梅田だったんだ……!←ちがいます


もう、何と言うか、嫌いではない。嫌いではないけど、「出来が良い映画」とは到底言えない(笑)。でもまあいいか。コッポラだし。自腹切ってるし。お年寄りだし。もうしょーがないよ。好きにやらせてあげようよ。

言いたいこと、主張したいことは大体ちゃんとセリフで言ってくれてるので、そういう意味では難解さはゼロ。ただ、全部セリフにするなら別にお金と人手かけて映画にしなくても文章で出せば、という気もせんでもない。
何故って、映画ですから、セリフで言いつつ同時に映像も物語も存在しちゃう訳ですね。で、それが乖離してると大変に妙な心持ちになる訳です。
身内全員金持ち上流階級で、贅沢暮らしをして、好きなものを好きなようにこしらえる仕事をしつつ金持ち娘をゲットして、そんな人にすごく高い場所から「未来の為に貧富や立場や人種の差を超えて語り合おう」言われたところで、フェンスの向こうでそれを聞いてる、明日の飯にも将来の為の学ぶ場からも遠い人達が「わあ……!」てなるか、ならんやろと思うし。

パンフを見たら、そもそもの発想の種は古代ローマ時代の政治紛争にあったそうで、だったらもうヘンなこねくりまわし方をしないで、超直球ストレートにコスチュームプレイで古代ローマものをやれば良かったんじゃないかしら、と思いました。現代社会に対して問題に思うことをそこに込めるのはそれ程難しいことではない筈だし。

と言うのも、何故「嫌いではない」かと言うと、美術の出来、そこかしこのシーンの美しさが尋常じゃないんですよ。本当に本当に綺麗。衣装も目を見張る。
動く巨大銅像も好き。何の意味もなかったけども好き。逃亡シーンで乗る地下鉄もゴージャスで最高だった……!
こんなに美術が素晴らしいなら、これに掛けたお金で最初からガチの時代ものをやってくれてたら、どれだけ綺羅綺羅しいものになったかと思うと……。

そもそも見に行こうと思ったの、予告が素晴らしすぎたからですしね。

この予告見て話が「アレ」だとは思わんやん(笑)。

もう間違いなく、近未来のビジュバリバリ、幻想を交えつつもガチSFものなんだと思ってました。それなのにああそれなのに。
何だよ「時よ止まれ」て(笑)。その要素が何になった。ああもったいない。絵面も役者も本当に素晴らしいのに、映画の中でその素材が全然生かされてないってさあ。
カティリナが撃たれて治療の為に顔にメガロンくっつけられるくだり、自分内で超盛り上がったのに、あっさり元の顔に戻って、彼にも他人にもまるでそんな出来事なかったレベルで終了してたのにびっくり&がっかりしました。もうがつんがつんに盛り上げるところじゃないですかコレ、SFモノにしたかったとしても哲学映画にしたかったとしてもさあ。
そういえば子供がカティリナにサイン求めに行って撃つところ、なんか似たような場面が別の映画にあったと思うけど思い出せない。子供が近づいて話しかけて撃つ、てヤツ。ああ撃つんだなコレ、てすぐに判ったけれど、それでもドキリとしますね。

あっ、それでも役者は良かったですよ。
アダム・ドライバーは勿論ですが(古代ローマ人っぽくしたかったんだろうけどあの髪型はあまり似合ってない)、シャイア・ラブーフがずば抜けていた。役名がクロディオのせいもあってか、なんとなくシェイクスピア的人物にも見えました。天下一のダメ息子。
ただのお飾り扱いで掘り下げられはしなかったけれど、クロディオの姉妹も好きだぁ。

それにしてもちょっと誰か何とかしてあげられなかったのかと思うけれど、肝心の「未来都市」が非常に地味でした。なんと言うか、昭和の子供が幼稚園の時に本で見ていた「みらいのまち」の絵柄みたいな感じ。
途中で「動く歩道」が出てきて、その時にも「あれっ?」と思いましたが、最後に歩道と一緒に都市風景が現れた時に確信しました、「これ梅田やん……」(笑)。

動く歩道あるし、空中を曲線描いて通る通路や、下に広がる緑、これもう完全にうめきたですやん。なんだ、メガロポリスは梅田にあったんだ!(と言うか正直、「都市」としての出来や眺めは梅田の方が上じゃないか……ルクアの屋上からうめきた、更にその先のスカイビルを見晴かす光景は明らかに「未来」だわ)
そういや途中でギター弾いて歌ってた人、「サヨナラ」て日本語で締めてましたよね。
更にはエンドロールに「Japan Unit」てあって、大量の日本人名がずらずらっと出てきたし。どうも結婚式の余興サーカスでパフォーマンスをやってた人達らしい。サーカス白塗りメイクでよく判らなかったけど、アジア系だなとは思ってたんですよ。日本の人だったのね(しかし何故公式サイトはそのことに全く触れていないのか……せっかくだから撮影裏話インタビューとか、協力してもらってプロモ映像つくるとかすればよろしいのに)。

しかしホント、さすがになあ、現代なら例えば「空飛ぶ車に乗ろうよ」言われて「イヤそんなおっかないモノ乗りたくないし」てのはまああっておかしくない展開ですが、この近未来ワールドでただの「動く歩道」に乗るのに躊躇するヒトって一体。
キケロさん梅田においで、「動く歩道」を通り越して「動いてるのにガンガン歩くのがデフォの歩道」が見られるよ!




『レオ:ブラッディ・スウィート』(英題:Leo)

「木々と雪に囲まれた小さな家だ」
……ちいさな……いえ……?


インド映画には珍しく、主人公がやってる仕事(警察官とか秘密工作員とかじゃない、一般のサラリーマンとか経営者の方)がすごくはっきりしていると思ったのに、カフェ仕事やってるシーンがむちゃむちゃ少なかった(笑)。
それにしてもあんな儲かるんですかカフェ経営って。「小さな家」で、馬もハイエナも飼っておいでで。それとも「マッチ工場」から逃げた時にそれなりのお金を持ち出したのか?

しかしアントニーさん、いけにえ占いの結果が自分の子供ふたり、と出て「うおおお……!」と苦悩するシーン見て「イヤやめれば……?」と非常に冷めた心持ちになってしまいました(笑)。
だってホント、ただの験担ぎにすぎんじゃないですか。どうしてもやりたいんなら前のように動物で済ませばいいだけで、子供の命かけてまでやる必要性のあるコトじゃないでしょうよ……そらお子さんだって逃げ出しますよ……。
アントニー役のサンジャイ・ダッド、パンフレットでのキャスト写真が頭に羽生えて輪っか乗ってて、天使さんのようで大変かわゆうございました。

チョココーヒー大好き強盗、サンディ・マスターって方なのね。振付もやる人なのか。
不気味でキレキレで短絡的で、こういう犯罪をやらかす人に時にいる、欲求の発生と暴力衝動が直結してる感じがよく出てて良かった。コイツは確かに撃っていいぞパールティバン、と思いましたがまさかの全員撃ち。意表をつかれました。
今回、好みど真ん中だったのは叔父のハロルド役のアルジュン・サルジャー。この、じわじわとダメ中年感の漂う感じがたまらない(笑)。
ナポレオン警察官、いい味でした。あのピタゴラスイッチのごとき庭の仕掛けからの狙い撃ち。とどめにチュプラマニ。この一連の流れ最高です。

しかし奥さんがどんどん気の毒になってきた……今後も平和な生活望めそうにないですし。何せヴィクラムに目をつけられちゃったものね(笑)。


それにしてもインド映画見てていつも思うけど、下っ端の人達が本当に従順。
自分だったら、例えば10人で乗り込んでいって味方7人がやられたらもう一目散に逃げると思います(笑)。イヤ5人でも逃げるかも。個人的な遺恨がある相手ならともかく、ボスの遺恨の為に自分の命捨てたくないもん。
バトルした場所にわざわざ遺体回収に来てくれるとも思えないし、逃げたところでバレないと思うんですよね。なんで皆さん、あそこまで超絶強い人に体張って殴りかかっていけるのだろうか。勇気があるなあ(映画だからですよ>じぶん)。

今回は結構歌があった割に、ダンスは一曲だけでした。ちょっと残念。ヴィジャイ、本当に引退しちゃうなら一曲でも多く踊ってほしいのにな。
途中、「これから結婚式に向かう」て話になった時、「よしダンスだ!」と思ったのに、役所でサインするだけの超地味婚で拍子抜けしました(笑)。今まで見てきたインド映画で初めてかも、役所でサインオンリー、音楽もダンスも無い式。

しかし本当にヴィジャイは俳優やめちゃうんでしょうか。もったいないなー。まだまだ充分活躍できるお歳なのに。
いつでも戻ってきてね!



まとめ

今回は比較的本数が少なかった(でもインド率は高め)。
忙しかったりでちょっとへばってたのもありますが、最大の理由、お金を結構使っちゃったから。
なんでかと言うと……iPad mini(第6世代)がぶっ壊れたから……。

数日前から、ほんのり予兆はあったんですよね。充電ケーブル差し込んでも無反応で。
でもその時は眠たかったから、「まあいいや、明日見よう」で放って寝たら、朝にはちゃんと充電完了してた。
だから気にしなかったんですが、すぐに「さしても無反応でかつ充電もなされない」状況になって、別のアダプタやケーブル使ってもダメ、でも何十回に一回、ふと思い出したように充電される、という事態に。
ちなみにMacとつなぐと、充電は開始しないけれども同期は可能。

ほんの三、四日で完全充電不可になって、いよいよバッテリー残量も減ってきたので急ぎApple storeへ。キタムラで予約しようと思ったら一杯だったので四条のApple Storeに行きました。

大変久しぶりに行きましたが、相変わらずハイソな陽キャ空間であります、Apple Store。
店員さんの名札は「アキ Aki」みたいなあだ名呼び強制装置になっているし、お客さんも海外の人の方が多め、数少ない日本人も大変におシャレで、店員さん待ちの間に読んでいる本が『土とワイン』なんてタイトルだったり(別に覗き込んだりした訳ではなく、普通にテーブル上で背を立てて読まれているので大変タイトルが視認しやすかった)。
汗だくで駆けつけた自分、すこぶる居づらい。でもそんな自分にもすこぶるフレンドリーで陽気なApple店員。眩しい。

故障状況をチェックの後、想定される修理価格は安くて2万、高いと5万(修理ではなく新品交換だそうな)。ちなみに買った当初に入ったApple Careの期間はもう終わってた。
くう、と肩を落とす自分に店員さんいわく「この状態なら今この場で満額下取りできます」なんですと!??

なんと、箱とか付属品のある無しは査定額に一切無関係とのこと。満額で3万円ちょい。そして最新のiPad mini (A17 Pro)、自分が欲しい256GBのWi-Fiオンリーモデルは約9万5千円。差額6万ちょっと。

買い替えます……!

そんな訳でその場で即買い替え。手元にやってきた新しいiPad miniは、新品だから当然だけど箱入りで付属品も全部アリ。つまり、家にもちゃんとした純正電源アダプタ&ケーブルがあるのに、もう一揃い手に入ってしまった(単品購入だと2点合わせて約5600円!)。今までは寝室とリビング、いちいち抜いて持っていってたけど、それぞれで使える……!

と、壊れた時は本当にショックだったけれど、結果的にはラッキーであったとも言えなくもない。充電器の値段も込みで考えたら、5万円ちょっとで去年出たばっかりの新製品がゲットできちゃった訳であるし。
まあとは言え、思わぬ出費であったことには間違いなく、自然と映画に少しブレーキかかってしまった。まあ映画自体は会員価格で安かったりしても、パンフも買うし、もしも食べたり飲んだりしたらそれもかかるしで、トータルそれなりになってしまうしね。
でもインド映画は逃さない(笑)。おかげでこの高いインド率です。

次期は今のところ『国宝』をスタートにしようとは思っているけど、さてどうなるか……。
と言うのも、ホントは6月中に行こうと思ってたんですが、チケット取ろうとしてあまりの埋まり具合に尻込みしてしまったんですよ。普段20人いたら「めちゃ多いな」思う環境なので……(笑)。
当分やるだろうしなあ、7月中旬くらいまで待ってみようかなぁ。悩ましいところです。
ちなみにパンフは既に買いました。『メガロポリス』見に行った時、パンフ買いつつふと見たら「売り切れ」てなってたのでびっくりして。
SNSとかチェックしてたら、その数日後にあちこちで「再入荷があった」という話をしている人を見かけたので、行ってみたら買えました。ふう安心。
これだけ売れるパンフは通販もしてもらいたいものですね……。

それではまた次回。
 
 
 
 

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