基本無料|青色申告一年目の流れ 2026年3月|加瀬伊助
はじめに
※基本無料なので、おまけ以外は無料で見れます。また、確定申告の具体的な事例については、税理士に相談してください。
今回の作成時の課題
仕訳帳を付けていない
売上利益がほとんどない
会計ソフトを使わない
資本金を把握していない
簿記の基本はわかる
初めての青色申告は「専門用語の壁」もあって難しく感じますが、簿記の知識があれば、順序を追って実施することで必ずその終わりがみえてくるはずです。
青色申告(特に65万円控除)の最大のポイントは、「複式簿記」で帳簿を付け、「e-Tax(電子申告)」で提出することです。
複式簿記
「1つの取引を『原因』と『結果』の2つの側面から、左(借方)と右(貸方)に分けて同時に記録する方法」である。
左右に同じ金額を書き入れることで、常に帳簿全体のバランス(貸借一致)を保ち、最終的に「いくら儲かったか(損益計算書)」と「今いくら財産があるか(貸借対照表)」の2つを正確に導き出す。
以下、その手順を追って解説していきます。
参考記事↓↓
青色申告について
青色申告について、今回の申告における課題を加味しつつ、順を追って解説します。
事前準備と流れ
まず、大前提として以下の二つの書類が提出済みである必要があります(会計年度の3月15日まで)。
・個人事業の開業届出書
・所得税の青色申告承認申請書
1,帳簿を付ける(日々の作業)
青色申告のメイン作業です。1年間の「売上」と「経費」を記録します。
毎月の領収書などの書類を整理しておき、それらの記録を記載していきます。
本来ならば日々の作業として行うのが理想ですが、今回は売上も少ないためまとめて入力していきます。
なお、領収書・請求書は、基本7年間保存する必要があります。
2,会計ソフトの活用: 「Freee」「弥生」などのクラウド会計ソフトを使って銀行口座やカードを連携すれば、半分自動で終わります。
今回は、会計ソフトは使わずにエクセルと国税庁のサイトにて会計をまとめます。
決算整理(1月〜2月中)
12月31日が終わったら、1年間の数字を確定させます。
棚卸し : 在庫がある商売の場合、12月末時点の在庫金額を数えます。
未払金・未収金の確認 : 「仕事は終わったけど入金は来年」という売上などを計上します。
家事按分(かじあんぶん): 自宅をオフィスにしている場合、家賃や電気代のうち「仕事で使った分」だけを経費に振り分けます。
確定申告書の作成と提出(2月16日〜3月15日)
会計ソフトを使っていれば、ボタン一つで以下の書類が書き出されます。
・青色申告決算書 : 損益計算書と貸借対照表
・確定申告書 B : 最終的な税金を計算する書類
〇提出のポイント
最大控除(65万円)を受けるには、e-Tax(電子申告)が必須です。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、自宅から送信できます。
仕訳帳を付けていない問題への対処
仕訳帳(しわけちょう)とは、簡単に言うと「すべての取引を日付順に、簿記のルール(借方・貸方)に従ってひたすら記録していくノート」のことです。取引が少ないのであれば今からでも遅くありません。以下の3ステップで「仕訳帳」を埋めます。
領収書の集計: 月ごとに分け、経費科目を割り振る。
売上の確定: 銀行振込の入金履歴や、発行した請求書から総額を出す。
スプレッドシートへの入力:「日付 / 借方勘定 / 金額 / 貸方勘定 / 金額 / 摘要」の形式で一覧を作ります。
提出時
会計ソフトを使わない場合、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」が計算機代わりになります。手順は以下のとおり。
「決算書・収支内訳書」作成を選択: ここで「青色申告決算書」を選ぶ。
集計した合計額を入力: Excelで集計した「旅費交通費:合計〇〇円」「消耗品費:合計〇〇円」といった数字を画面に入力していきます。
貸借対照表(B/S)の作成: 「期首」と「期末」の現預金残高などを入力します。簿記の知識があれば、ここで左右(借方・貸方)の数字を合わせるのは難しくないはずです。
貸借対照表
貸借対照表、Balance Sheet、略してB/Sのことで、「ある特定の時点(確定申告であれば12月31日)において、その事業がどれだけの財産を持ち、どれだけの借金があるか」を一覧表にしたもの。
損益計算書(P/L)が「1年間でいくら稼いだか」という成績表なのに対し、貸借対照表は「今、事業がどんな状態か」という健康診断書のような役割を果たす。
売上が少ないからこそのメリット
売上が少ない場合、青色申告をすることで以下のメリットがあります。
純損失の繰越控除: 1年目が赤字なら、その赤字を最大3年間繰り越し、来年以降の利益から差し引いて節税できます。
青色申告特別控除: 利益から最大65万円(または10万円)を引けるため、税金が0円になる可能性が高まります。
最短で終わらせるためのチェックリスト
事業用通帳の1年分のコピー(またはCSVデータ)を用意する
領収書を科目(消耗品、通信費など)ごとに分ける
Excelで「仕訳帳」の形に並べる
マイナンバーカードとスマホ(IC利用可)を準備する
個人事業主の元入金
今回は「簿記の基本はわかる」という前提で、「国税庁の確定申告書等作成コーナー」を使い、自力で決算書を作成する戦略で実践していきます。
先ずは、事業開始時の元入れ金の設定について詳しく見ていきます。
資本金の把握(元入金の割り出し)
個人事業には厳密な「資本金」という概念はありませんが、帳簿上の開始残高として「元入金(もといれきん)」を算出する必要があります。
計算式
〔 元入金 =事業用口座の開始残高 + 事業用資産 - 事業用負債 〕
※元入れ金が把握できない場合
開業日時点の「事業専用の財布や通帳」にいくら入っていたかを決めるだけでOKです。極論すれば、資金0円からスタートしても帳簿上は成立します(詳細は後述)。
元入れ金の設定手順
個人事業主の元入金は、法人の「資本金」に近いものですが、決定的な違いは「毎年金額が変わる」という点です。
以下の3つのステップで考えれば、その正しい数字が導き出せます。
1. 「開業日」時点の持ち物をリストアップする
元入金とは、簡単に言えば、「プライベートの資金や財産のうち、仕事用として使い始めたものの合計額」です。開業資金として用意したお金や資産を、簿記のルールで帳簿に乗せた時の名前が「元入金」になります。
現金・預金: 仕事用口座に入れたお金
備品: 仕事用のパソコンなど(10万円以上のものは時価で計算)
棚卸資産: 開業時に持っていた在庫
◎Excelでの入力例(1行目)
開業日が1月1日として、仕事用口座に10万円入れた状態から始めるなら、Excelの最初の行はこうなります。
日付: 1月1日
借方: 普通預金 100,000
貸方: 元入金 100,000
摘要: 開業にあたる元入れ
2. 「売上がほとんどない」場合の現実的な決め方
とりあえず元入金は0円でもよい。
経費を払うたびに事業用負債として「(貸方)事業主借」という仕訳にすれば、帳簿上は「個人から借りて商売をしている」という形になり、正しく成立します。
事業用負債
「事業として将来払わなければいけない義務」や「個人から借りている状態」をいう。
・未払い金:クレジットカードで支払った経費のうち、まだ口座から引き落とされていない分。
・借入金 :銀行などから借りた事業資金のこと。
・事業主借:個人の財布から立て替えた経費のこと。
3. 元入金は「翌年」に更新される
個人事業の元入金は、1年が終わるごとに以下の計算式で自動的に書き換わります。
計算式
〔 翌年の元入金 = 今年の元入金 + 今年の利益 + 事業主借 - 事業主貸 〕
利益が出れば、 翌年の元入金(=事業の体力)が増える。
生活費(事業主貸)を出しすぎれば、 翌年の元入金が減る。
つまり、1年目のスタート(期首)の数字さえ決めてしまえば、あとは1年間の取引を入力するだけで、年末(期末)の元入金は勝手に計算されます。
事業主勘定
事業主貸と事業主借を総称して「事業主勘定」といいます。事業主勘定によって事業用とプライベート用の入出金を明確に区別する必要があります。
事業主貸(じぎょうぬしかし)とは、事業用のお金をプライベートの支出に充てたときに計上し、個人事業主が事業用口座から生活費を引き出すといったケースでは、この事業主貸を計上します。
一方、個人的なお金を事業用の支出に充てたときに使うのが、事業主借の勘定科目です。事業用口座へ個人のお金を入金したといったケースで、事業主借を計上します。
元金0円の場合の注意点
元入金0円でスタートする、さらに会計ソフトを使わずExcelで複式簿記を行う場合、以下のような注意点があります。
1. 帳簿上の「現金」がマイナスにならないようにする
対策: 個人の財布から出した経費は、貸方勘定に「現金」ではなく「事業主借」を使います。
正しい仕訳例: [(借方)消耗品費 1,000 / (貸方)事業主借 1,000 ]これなら「個人から借りて払った」ことになるため、事業用の現金がマイナスにならずに済みます。
2. 「事業用口座」の残高と帳簿を一致させる
「事業用」と決めた銀行口座があるなら、その口座の1月1日時点の残高は元入金に入れるのが正解です。
もし口座残高が10万円あるのに元入金を0円にしてしまうと、帳簿上の預金残高と実際の通帳の数字が最初からズレてしまい、後の管理が非常に面倒になります。
3. 「開業費」を忘れない
元入金が0円ということは、「開業準備に1円も使っていない」ということになります。 もし開業前にPCを買ったり、勉強代を払ったりしていたら、それは本来「元入金」の一部(資産)として計上できるものです。これらは「開業費」という資産として借方に計上し、貸方を元入金にすることで、将来の節税に役立てることができます。
4. 翌年の「元入金」が複雑に見える
前述した通り、元入金は翌年に繰り越される際に「利益」や「事業主借」を合算して更新されます。
1年目の元入れ金
元入金 0円 + 利益 10万円 + 事業主借 5万円 =15万円
2年目の元入れ金
スタート時の元入金は15万円
2年目からは元入金に数字が入ってくるため、1年目の決算(B/S作成)でしっかりと計算を合わせる必要があります。
簿記の知識
勘定科目 具体的な例
消耗品費 : 10万円未満のPC、文房具、コピー用紙、事務机
通信費 : インターネット代、スマホ代、切手、レターパック
旅費交通費: 電車・バス代、タクシー代、宿泊費、駐車場代
支払手数料: 銀行の振込手数料、システム利用料、仲介手数料
広告宣伝費: SNS広告、名刺作成、HP代、チラシ印刷
新聞図書費: 仕事用の書籍、新聞、有料ニュース購読
接待交際費:取引先との飲食代、お祝い金、手土産代
◎給与所得がある場合
簿記の仕訳帳は、あくまで「個人事業(事業所得)」の動きを記録するものです。会社からの給与は、税法上の区分が異なるため、事業の帳簿には混ぜないのが基本です。
事業の売上 : 「売上」勘定で仕訳する。
会社からの給与: 仕訳は不要。(確定申告書の段階で合算する)
もし事業用口座に給料が振り込まれたら、勘定科目は事業主借となり、個人のお金が事業用の口座に入ってきたとみなす。
◎開業費の考え方
「開業費」は、個人事業主にとって非常に節税効果の高い便利な項目です。
開業費は、「事業を開始するまでの間に、準備のために特別に支出した費用」を指します。開業届に記載した「開業日」より前に支払ったものが対象です。
開業費の内訳 例
準備のための飲食・打合せ;
取引先候補との会食代、打ち合わせのカフェ代
調査・研究費;
市場調査費用、セミナー受講料、専門書の購入費
広告宣伝費;
名刺作成代、ホームページ制作費、チラシ印刷代
通信・交通費;
準備のための電車・タクシー代、ネット回線工事費
事務用品・消耗品;
文房具、印鑑作成代、10万円未満の備品
地代家賃等;
事務所を借りるための礼金、仲介手数料、開業前の家賃
開業費に「含まれない」もの
間違いやすいのですが、以下のものは「開業費」には入れません。
10万円以上の資産: 10万円以上のパソコンなどは、開業費ではなく「備品(固定資産)」として個別に計上します。
販売用商品の仕入れ: これは「仕入」または「棚卸資産」となります。
敷金: 戻ってくるお金(資産)なので経費ではありません。
開業費のと任意償却
開業費は、会計上「繰延資産(くのべしさん)」という扱いになります。最大の特徴は、「好きな時に、好きな金額だけ経費にできる(任意償却)」という点です。
売上がない1年目: 無理に経費にせず、0円のままにしておく。
利益が出た3年目: 溜めていた開業費を一気に全額経費にして、税金を大幅に減らす。
Excelでの入力方法
「元入金と開業費の関係」を含めた、開業日(1月1日等)の最初の仕訳例は以下のとおり。
例:開業前に合計5万円の準備費用(名刺や書籍代など)を個人の財布から出した場合
(借方)開業費 50,000 / (貸方)元入金 50,000
※細かな内訳(領収書)は、「開業費の内訳書」としてExcelの別シートなどにメモしておく。
入会費
また、開業前に支払った士業の入会金は、開業の前か後でその処遇が変わります。
開業後に支払った場合は、
勘定科目: 「諸会費」 または 「支払手数料」
仕訳例: (借方)諸会費 300,000 / (貸方)普通預金 300,000
開業前なら、借り方は開業費になります。
登録に付随する費用についても、以下のように分類します。
職印代: 10万円未満なら「開業費」または「消耗品費」。
登録免許税: これも「開業費」に含めて問題ありません。
◎時価計算の基本ルール
「未償却残高の計算」と呼びます。計算方法は以下の通りです。
新品で購入してから、開業日までに「どれくらい価値が減ったか(減価償却)」を計算し、差し引いた残額が時価(元入金として計上する額)となります。
10万円未満のもの: 時価を計算する必要はありません。開業費に入れるか、そのまま仕事で使い始めてOKです。
10万円以上のもの: 以下の計算式で時価(未償却残高)を出します。
計算式
〔 時価 = 購入代金 - (購入代金 × 0.9 × 旧定額法の償却率 × 経過年数) 〕
おまけ
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