Katsurao AIR アーティストインタビュー vol.9 丹治りえさん(後編)
アーティストが葛尾村に滞在してリサーチや制作を行うアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「Katsurao AIR(カツラオエアー)」。2025年6~7月の2か月間、3名のアーティストが葛尾村で暮らし、それぞれの視点から制作に取り組んでいます。7月24日(木)から27日(日)の4日間は、葛尾村内にて、制作過程を公開するオープンスタジオ形式での活動報告会を実施いたします。
前回に引き続き、滞在アーティスト 丹治りえさんのインタビューをお届けします。(聞き手:Katsurao Collective 阪本健吾)
前編はこちら
——今日(インタビュー日)は6月24日ですが、昨日、6月23日は、沖縄の慰霊の日でしたね。本土に住んでいる多くの人は、6月23日が慰霊の日であるということをあまり意識していないかもしれません。
私も、福島に住んでいた頃はそうでした。地域によって、大切にしていることや大切な日は違うのですが、一方で、なんで他の地域のことを知らないんだろうという思いもあります。
——今年1月に沖縄に1週間くらい滞在していたのですが、テレビを見るだけでも流れるニュースがぜんぜん違いますよね。先島諸島で実施される台湾有事に備える避難訓練のニュースを見て、ここに来なかったら知らなかったかも、と思いました。
自然の災害だけではない理由で、住んでいる場所を離れないといけないということが、リアルに想定されているんですよね……。
——ここまで、ご自身の中で大きかった変化として2011年がひとつのポイントだったというお話を伺ってきました。今回、アーティストインレジデンスのプログラムで葛尾村にお越しいただいた理由も、その延長線上にあるのでしょうか。
そうですね。大学進学を機に福島を出てから今まで、自分の中で福島のことがちょっと遠くなっているような感覚があるんです。たまに帰省はしているのですが、実家に暮らすのとは違う経験を得たいと思って、福島市ではない地域で一定の期間住んでみたいなと。そこで Katsurao AIR のことを知って、応募しました。
——葛尾村ではどんな取り組みをされるのでしょうか。
今、大放(おおはなち)という集落のとある一画、以前は畑だったところの草刈りをしています。草刈りしていて、土が見えてきたので、今、その土を起こしたくなっています。つまり、体を動かしてますね。
——頭の中で考えるよりは、ということですか。
そうですね。幼少期に祖父母の畑仕事を見ていたということもありますし、葛尾村でも、みなさん農作業や草刈りをあたりまえのようにさらっとやってらっしゃるように見えて。でも、実際に自分がやってみるとなると、暑いし、虫もいっぱいいるし(笑)
——今作業をしているところには、蜂がよくいますよね。刺されないようにしないと。
はい。蜂の音にビビりながら(笑)、そういう普通の体験からはじめたいなと。


——そういった活動はどのような形で、村内外のみなさんにお伝えする予定なのでしょうか。
今のところ考えているのは、特定の場所、土地、さらに言うとその地面を、違うところに持っていくということができればいいなと思っています。もちろんその場所には、そこに来ないと感じられない、風景とか、空気とか、湿度、気温……そういったものがあるので、その総体は絶対にその場所にしかない、というのが大前提なのですが。
7月末に実施する葛尾村内での活動報告会もそうですし、沖縄や東京でも、葛尾の土地、地面を見てもらったり、もしかしたらそこに座ってみたりすることで、場所の特異性を共有することができればいいなと思っています。

撮影:大屋玲奈
アーティストインレジデンスプログラム「Katsurao AIR」
本インタビューの完全版を、各種リスニングサービス および note音声投稿にて配信中です。
