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「売上は月50万円増える」の根拠は? 単価×数量に分けて考える

「設備を入れれば、売上は月50万円増える見込みです」

事業計画にそう書いたあとで、手が止まる。50万円という目標はある。でも、誰から、どれくらい注文が増えるのかまでは書けていない。

この記事では、月50万円を「単価×数量」に戻し、生産能力と受注見込みを分けます。AIには、売上を作らせるのではなく、数字の穴を探してもらいます。


作れる数と、売れる数を分ける

以下は説明用の架空の例です。金属部品を加工する会社が、新しい設備の導入を検討しているとします。金額はすべて税抜です。

同じ仕様の部品について、加工単価は1個5,000円。設備を入れると、今より月100個多く作れる。計算すると、5,000円×100個で月50万円になります。

掛け算は合っています。ただし、分かったのは「100個を追加で売れた場合の売上」です。設備の余力が、そのまま注文になるわけではありません。

生産側のメモと、受注側のメモを並べる。ここを分けると、次に何を確認すればよいかが見えてきます。

100個のうち、注文の見込みがあるのは何個か

同じ架空の会社で、営業担当に確認したところ、次の材料が集まったとします。

  • A社:月40個の追加注文について相談中。納期と価格は未合意。

  • B社:月20個の引き合いあり。試作品の評価待ち。

  • 残り40個:販売先はまだ決まっていない。

A社とB社を合わせても60個です。しかも、どちらも受注確定ではありません。「月100個の追加受注を見込む」と一文にまとめると、この違いが消えてしまいます。

計画のメモには、たとえばこう残します。

月50万円増を目標とする。既存2社から計60個分の商談があるが、発注は未確定。残り40個分は新規販路の開拓が必要。まず2社の条件と発注開始月を確認する。

少し地味な文章です。でも「需要の拡大が期待される」だけより、確認すべき相手も、足りない注文数も分かります。正式な計画にするときは、実際に確認できた資料や日付も添えます。

AIには、数字の穴を見つけてもらう

この段階なら、AIに頼む作業も絞れます。完成した収支計画を一気に作らせるのではなく、手元のメモから抜けている前提を挙げてもらう使い方です。

以下は売上計画の点検用メモです。
事実にない注文や成約率は補わないでください。

目標:月50万円の売上増
単価:税抜5,000円/個
設備導入後の追加生産能力:月100個
A社:月40個を相談中。価格・納期は未合意
B社:月20個の引き合い。試作品の評価待ち
残り40個:販売先未定

「確認できていること」「仮定」「不足する情報」を分け、
売上を見積もる前に確認したい質問を5つ以内で挙げてください。
計算式には単位を付けてください。

実際の資料を使う場合は、取引先名をA社・B社に置き換えるなど、AIへ渡してよい情報かも先に確認します。

回答を受け取ったら、数字と質問を元のメモへ戻って点検します。AIが勝手に「成約率80%」と置いていたら、それは新しい根拠ではありません。

50万円に届かない場合も、残しておく

仮に60個を追加で売れた場合は月30万円、40個なら月20万円です。どちらも受注を保証する予測ではなく、条件を変えた試算として置きます。

そこから材料費や外注費などが増えるなら、売上増の全額が利益になるわけでもありません。設備を買うか考えるときは、売上だけでなく、増える費用と資金の支払いも別に確認したいところです。

日本政策金融公庫も、売上を客数と客単価などに分けて予測する考え方を紹介しています。ここで使った部品の例は、その考え方をもとにした独自の架空例です。日本政策金融公庫「売上予測と損益分岐点分析をしよう」(2026年9月5日確認)

まず、手元の売上目標を一つ選んでみてください。「何円×何個なのか」。その横に、数量を裏付ける資料を一つ書けるか。書けないところが、次に調べる場所です。


月と年、税抜と税込、支払いの時期が混ざっている場合は、事業計画の数字を点検する5か所も合わせてどうぞ。

事業計画の数字をどう確かめるか、AIに何を任せるか。こうした話はX(@kawaguchi_keiei)でも発信しています。仕事の合間に読める短い投稿も、ぜひ。

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