解説★勝てる投資、勝てない投資
このnoteでは、勝てる投資と、勝てない投資について解説するぞ。
・勝てる、勝てないってどういう意味?
「勝てる」とは、「戦略通りにやれば、期待値では勝てるはず」という意味だ。だから、「勝つことが可能」というイメージが正しいかもしれない。当たり前だが、必ず勝てる方法のようなものは投資の世界には存在しないだろう。
逆に、「勝てない」とは、「期待値がマイナスになる戦略」だと思えばよい。注意すべきは、勝てない戦略で大儲けした超ラッキーな人も、たくさんいるということだ。仮に勝率が45%の方法があったとして、これは50%を下回っているので勝てない方法ということになる。しかしチャレンジする人が大量にいれば、45%を引き続けるラッキーな人がわずかに現れるに違いない。
さて、勝てる、勝てない投資の利益と人数の関係を確認してみよう。

統計で、期待値で勝てるのか?が重要だということだ。そして、特定の投資戦略に注目して、どれぐらいの利益と人数の分布なのだろうか?と意識することも重要だろう。例えば手数料が高い投資信託は、格安手数料のインデックスに比べて、このイメージでは分布の頂点がジワジワとマイナス利益方向に動いていく、と理解できる。
インターネットの世界には、投資で儲けた人がたくさんいる。重要なのは、その儲けた人が、期待値で勝つ方法を知っている人なのか?、それとも勝てない方法で運勝ちしたラッキーな人なのか?、を判別するリテラシーだろう。
ギャンブル的なやり方で投資をしたとしても、競馬やパチンコよりはよっぽど負ける可能性は低いので、ラッキーで大勝ちする確率は他の博打よりは高いはずだ。ここがある種の魔力で、ハマって抜けられなくなりがちな理由かもしれない。
・ズバリ、勝てる方法
実は、勝てる方法はものすごくシンプルで、大きく分けて2種類しかない。一つ目が、インデックス投資だ。これは有名になったから、今さらこのnoteで解説するまでもないだろう。重要なのは二つ目で、ズバリ言うと「プロファンドが採用している投資法」である。
ところで、投資、あるいは投機的なトレーディングというのは、おそらく頭脳労働の中では最も参入障壁が低い世界だ。1時間働いた時給があれば、誰だってFXや株取引を始められる。これは実はすごく重要で、他の多くの頭脳労働はスキル、学歴、資格、コネ、法規制、国籍、工場などの資本など、何らかの参入障壁を築く仕組みがある。
つまり、儲かりそうな投資方法の研究など、とっくの昔に優秀な人たちがやり尽くしているのだ。自分オリジナルの発想で、勝てる投資法を発明できる可能性はゼロと言ってよく、もし自己流でインデックス投資より儲かっているなら、それはおそらく運が良かっただけだろう。
だから、インデックス以外の方法で勝ちたいなら、「どのようにしてプロファンドの投資戦略をマスターするか」という問題だけを考えればよい、と言えるだろう。
プロファンドが使っていない方法で、期待値でインデックスに勝つのはおそらく不可能だと思う。そして悪質なのは、勝てない方法を勝てるように見せかけて情報商材を売りつけて儲けている連中がたくさんいる、ということだ。
・プロファンドの投資法
さて、では優秀な先人が研究しつくした結果であるプロファンドの投資法とは、どのようなものだろうか?昔はこういうのを調べるのは面倒だったのだが、今はAIに聞けばすぐ出てくる。なお、プロファンドは運用の内容を公開する義務もあるから、秘密の方法、のようなものも存在しないはずだ。
具体的には、以下の8通りだ。
1 マクロ
2 個別株
3 イベントドリブン
4 テクニカル
5 債券
6 アービトラージ
7 非上場
8 クオンツ系
次に、それぞれの手法を解説したい。なお、著者はマクロ投資家で、他の手法は自分でやっているわけではなく、そこまで詳しくないので注意が必要だ。ちなみに、ファンドデータベースであるHFRによると、金額ベースでは30%が個別株、28%がイベントドリブン、27%がアービトラージ、15%がマクロのようだ。ただ、金額と運用者の数が比例する世界でもないのだと思うが。
1 マクロ(グローバルマクロ)
グローバルマクロ戦略とも呼ばれ、個人的に最も好きな分野である。各国の政策、金利や財務などのファンダメンタルズ、紛争などの重要事象、大統領や中央銀行総裁の発言などを調査し、投資する資産を決める方法だ。そんなんで勝てるの?と思うかもしれないが、これで食ってるプロの人たちが確実にいるのだ。
個別株にも手を出せる手法ではあるが、株式、債券、ゴールドなどのアセットごとの性質の違いに注目した予想や、国家ごとの株式の上がり方を考察することが大半だと思う。
たぶん、政治や経済にすごく興味があるけど、特定のイデオロギーは無い人が向いている。逆に、例えばトランプ政権は絶対嫌だ!みたいなイデオロギーが強い人だと、どうしても客観的に未来の確率を判断できなくて、負けてしまうのだと思う。「構造として」政治経済が好きな人向け、ということだろう。
2 個別株(株式ロング・ショート)
プロファンドの世界では株式ロング・ショートというかっこいい名前で呼ばれるようだが、ロング・ショートとは買い・売りを意味するので、要は個別株だろう。最も重要なのは、銘柄分析であるはずだ。アルファ、ベータとか、PERとか、必須知識もあるのだが、これは知らないと銘柄分析ができないだけで、知ったから勝てるようなものではないはずだ。
ものすごく成績が良い個別株投資家は、IR情報などを読み込んで、まだ発見されていない優良銘柄を見抜く、というアプローチの人が多いようである。(例えば片山晃さんや、井村俊哉さんなど。)正確には、銘柄がみんなの予想よりも実は優れているか、逆にみんなが期待しすぎかを見抜いて、買い・売り注文をするということだろう。みんなというのが結構厄介で、個人投資家とプロの機関投資家が混ざっている。興味がある人は、一度IR情報を見てみるといいのではないだろうか。
3 イベントドリブン
合併、再編、自社株買いなどの特殊な状況の値動きで稼ぐ方法。これは本当にプロ向けな印象と言うか、自分も全然わからないし、イベントドリブン個人投資家も見たことが無い。M and Aとかですごく株価が動くのは見たことあるけど、これを主力の戦略にしようというのは、ちょっと今は想像がつかない。
教訓と言えるかわからないが、特定の戦略を得意とする人でも、他の戦略は全然理解していなかったりするのが普通だと思う。でも顧客の資産を預かるプロはそれを言ってしまうと信用してもらえなくなるから、あえて言わないだろうし、全部に詳しいフリをしているのだろうけど。一方で、このnoteはマクロ経済オタクが利害関係無しで好き勝手書いてるだけだから、ある意味ですごくフラットな情報かもしれない。
4 テクニカル
チャートの形状を分析するやつ。正確には、価格チャートだけじゃなくて出来高とか板注文みたいな、公開情報を分析するのだろう。これは誰もが最初に試したくなる分野で、実際自分も投資に興味を持ち始めたころに手を出していた。
トレンドフォローとかボラティリティとか、テクニカルの中で勝ちやすいとされるパターン自体は確立されているのだと思う。しかし、個人的には純粋にテクニカルだけで勝つのは、マクロや個別株に比べて本当に難しいのではないかと思う。
と言うか、プロファンドもおそらくスクリーニングの一種として使っているだけで、テクニカル+マクロとかテクニカル+銘柄分析みたいな合わせ技が多いのが実態ではないだろうか。
本当に勝ってるっぽいデイトレーダーは、板注文や出来高の挙動から未来の価格を察知している人が多い気がする。動画とかで実際にトレードしてる様子を見れるのだが、個人的な感想では野生の勘みたいな世界だなと思った。
なお、テクニカルは勝てない方法を情報商材として売りつけようとする悪徳業者が本当に多いので、要注意だ。
5 債券
ただ債券を買い持ちするだけではインデックスには勝てないと思う。プロの債券ファンドは、債券の種類ごとの金利差(スプレッド)や、保有期間ごとの金利の違いを分析し、リターンを上げていく戦略を採用していると思われる。
自分も異なる種類や保有期間の債券にレバレッジをかけて買い・売り注文を入れて・・というスタイルをちょっと試してみたこともあるのだが、なかなか複雑かつストレスも大きい感覚があり、マクロ分析して現物買いをするだけ、という今のスタイルに落ち着いた。
6 アービトラージ(裁定取引)
これは、ほぼ同じ価格になるはずの2種類の商品の価格差を見抜き、利益を得る方法。最近の例だと、純金上場信託の値段の上がり方が実際の純金より激しくなる、というニュースが去年あったと思う。あとは、先物と現物の価格差とか、FXでドル円とユーロドルとユーロ円を同時に注文してズレた瞬間に売る(三角裁定)とかが有名だろうか。
たぶんデジタル化以前は、こういう価格のずれを狙うようなやり方が通用する余地もあったと思うが、現代ではなかなか難しいのかも?でも純金上場信託の値段は実際に純金から大きく離れたわけだから、チャンスはあるのだと思う。
7 非上場(プライベート系)
プライベートエクイティ(PE)、とか呼ばれるものだ。そもそも非上場株は普通は個人は買わないので、多くの場合はPEファンドに間接的に投資することになると思うが。上場とは自社の株を証券取引所に開放することであり、逆に非上場株は会社から直接買うしかない。スタートアップの新株発行による資金調達に手を貸すようなイメージだ。
当たればものすごく跳ねるはずだけど、決してインデックスのような買って放置できるような世界ではないのだろう。当たるスタートアップを探す、みたいな世界だから、マクロや個別株とも違ったセンスが要求されそうだ。むしろ株主として経営に参加して、自分の手腕で会社を変えていくような世界なのかもしれない。
8 クオンツ系
高度な統計分析や機械学習、高速取引に基づくトレードとされる。これは個人レベルでは参入障壁は高いから、ちょっと特殊なのかもしれない。しかし、きっとクオンツ業界の中ではすでに方法は研究されつくしているだろう。だから、参入障壁は高いけども、乗り越えたところで儲け放題の夢の世界が待っているわけはない、みたいな感じだと思う。
著名投資家ジェームズ・シモンズ氏は「クオンツの帝王」と呼ばれ、元数学教授という異色の経歴を持つ。彼は数学やアルゴリズムに基づくトレーディングで巨額の利益を勝ち取ったとされるが、その本質は、当時彼がパイオニアだったから、ということだろう。最初は真似できる人がいなかったから勝てたけども、現代ではプロのクオンツの世界ではとっくに陳腐化していると予想する。
たぶん個人投資家にとって重要なリテラシーは、個人が用意できないレベルの超高速取引マシーンとか、AIベースの自動取引アルゴリズムが大量に市場に参加している、ということだろう。このような機械的なライバルが参加している中で、自分が勝てる戦略とは何か?ということを考える必要がある。
・勝てる投資の共通点
さて、これらの戦略の多くに共通するのは、「ライバルが気付いていない価値に気づけるか?」が極めて重要だということである。例えばマクロなら政策ベースで、個別株ならIR情報ベースで、気づかれていない価値の発見に取り組むということだろう。よって、それぞれの戦略は気付かれていない価値の発見の手段を具体化したものであると言えるだろう。
最近だと、例えばAIや半導体とか、防衛関係が伸びそう、というのはみんなが思うことだろう。重要なのは、市場に参加しているライバルの期待よりも伸びるのか、あるいは期待され過ぎなのか、ということである。そして、その参加者の期待度と実際の価値のズレを判定する方法論自体は、プロファンドの戦略として、すでに確立されているということだろう。
・勝てる投資のまとめ
繰り返しになるが、インデックス投資以外で期待値として勝ちたいなら、プロファンドがすでに採用している投資戦略を個人で再現することが重要だ。戦略から発明する余地など残されていないはずだ。
期待値として勝つことに興味が無くて、インデックスよりパフォーマンスが下がってもいいから好きなトレードをやりたいならそうすればいい。でも、正直言って、そういう人は期待値で勝てる側の養分になっているだけなのだろうけども。
個人的なおすすめは、1のマクロか2の個別株だ。3~8は難易度がさらに高いと思うし、やるにしてもマクロと個別株のリテラシーがあったほうが良さそうだ。
最も注意すべきは、興味があるかどうか?という点だろう。何時間もマクロ経済や個別株のIR情報のことを考えていても苦にならないだろうか?もしそうなら、継続すればインデックス投資家を期待値で超えられる可能性があると思う。プロは興味があって、能力も高い人たちだ。インデックス以外の投資をするとは、そういう人たちと市場で勝負することを意味するのだ。
興味はないけど儲けたい、というのが本音なら、やはりインデックスが最適だろう。それか、インデックスよりも期待値では勝てないのを自覚したうえで、趣味スケールの金額でやる。趣味としては、詳しくなる喜びがあるし、変化も多い世界だから、むしろ非常に質が高いと思う。忘れてはいけないのは、趣味にいくらつぎ込めるか?を考えたうえで投資するということだろう。
より具体的には、投資ポートフォリオの主力コアをインデックスにしておいて、サテライトで趣味の投資をするという運用方法がおすすめである。
・勝てない投資
さて、次は勝てない投資だ。勝てない投資は、個人的な考えでは以下の3種類に分類される。
1 手数料負け
2 長期で値段が上がらない商品
3 ランダムウォーク
こちらも解説をしよう。
1 手数料負け
勝てないパターンで一番多いのは1の手数料負けだと思う。手数料と言ってもいろんな種類があって、売買手数料、投資信託やETFの信託報酬、為替手数料、信用取引やレバレッジ商品の手数料など。あと、売却益や配当の税金も手数料として考えたほうが良いかもしれない。
年利数%を狙う世界なので、手数料を払っている場合ではないだろう。だが、必要なものだから、最低限は払わなければいけない。当たり前だが、重要なのは最低限の手数料だけ払う、ということになるはずだ。
だいぶリテラシーとして広まってきたと思うが、中身がほぼSP500なのにSP500のETFより信託報酬が高い投資信託を買う、などはNGと言える。あとは、信用取引やレバレッジ商品は何らかの形でお金を借りているのと同じだから、金利かそれ以上の手数料が必ず発生する。これらのレバレッジ系は、デイトレードのように短期取引のチャンスに使う仕組みであって、中期や長期で保有するためのものではないはずだ。デイトレではないなら、欲張らずにレバレッジは無し、というのが基本だろう。
2 長期で値段が上がらない商品
長期での値段の上がり方は、株式なら年10%ぐらい、債券なら7%ぐらい、といったように、だいたい決まっているはずだ。これは資本主義という仕組みでは、それぐらいのリターンになるのが決まっているということだろう。数値は過去の統計データを見れば見積もることができる。
そして注意が必要なのが、長期で値段が上がらない商品が存在する、ということだろう。最も有名な例は外貨のはずだ。また、上がらないとは言えないが、上がりにくい例としては小麦や石油などのコモディティ系が挙げられる。あとは、不動産もいろんな物件があるので、投資する前によく調べたほうが良さそうだ。
3 ランダムウォーク
戦略や根拠のない取引の全般を指す。株式は総額が上がっていくプラスサムゲームではあるのだが、インデックスやプロファンドの方法など期待値で勝てる戦略の参加者がいるから、やはりランダムだと厳しいだろう。
例えば、下手くそなFXはランダムウォークとなる。また、短期取引であるため手数料が割高になり、1の手数料負けも重なっている感じで、ものすごく勝てない戦略になってしまうのだ。それで、ほとんどの人が負けてしまう。本当にFXが勝てるのなら、アメリカの巨大ファンドはマクロや個別株などやらずに、FXトレーダーを雇うはずだ。しかし、現実はそうなっていない。
また、特に日本では不動産投資はなじみやすさから人気があるが、アンリカのプロファンドは積極的に日本の不動産を買っているだろうか?海外不動産についてはどうだろうか?もちろん自分で住むなら家賃が浮くので話が違うのだろうが。
注意すべきは、自覚の無いランダムウォークである。例えば、ありがちなのは、長期保有するつもりでNISA枠を年初一括で投資したけども、一ヵ月後に利確してしまった、みたいな状況である。これはランダムウォークになっているのだが本人は自覚が無いこともありそうだ。
なお、売り買いを繰り返すトレードをするなと言いたいわけではない。例えば、100万円は長期投資で、50万円はトレードの枠にすると決めておき、そのルール通りにやるということだ。そして、ルール自体を変更するのは別によい。戦略や根拠があるかどうかが重要で、それが勝てるロジックとしてハマった時にパフォーマンスが出るはずだ。
・要約
インデックスよりも勝ちたいなら、プロファンドの戦略を個人で再現できるかが重要だろう。
そのような戦略は興味を持てないと厳しく、儲けたいだけだとうまくいかない可能性が高そうだ。
ライバルが気付いていない価値の発見が本質で、それぞれの戦略はどういった手段でそれを実現するか?を具体化したものである。
勝てない投資法は避けたほうが良さそうだ。
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免責事項
この記事は個人的な意見と分析の公開であり、断定的事実や投資助言は一切記載されていません。
この記事は経済および時事問題の解説を目的としており、特定の商品の購入や売却を推奨および助言するものではありません。
この記事は個人的な推測を公表しているだけであり、特定の商品の価格を保証する意図は一切ありません。
この記事を参考にして行った投資、運用、トレーディングなどの取引の結果について著者は責任を取ることは一切できません。
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