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AIバブルと通貨信用の相場【レポート1】

この記事では、2026年2月15日時点での相場レポートを書く。

・AIバブルと通貨信用の相場
 さて、現在の相場を動かす二大要因は、「AIバブル」と「通貨信用」であると思う。個人的な見解を簡単にまとめると、株式は上がりすぎと判定できるが、同時に通貨は持ちたくないと判定できるので、株式を売りたい気持ちと売りたくない気持ちが混ざり合った複雑な相場だということだ。これらの「AIバブル」と「通貨信用」という二つの軸で考えられると見通しが良くなるのではないかと思う。

・なぜAIバブルと言えるのか?
 SP500は、2023年~2025年の3年連続で20%近いリターンを叩き出している。SP500の長期平均リターンは10%前後と言われるから、長期の統計平均と比べて上がり過ぎと考えるのが客観的だろう。株価だけでなく収益も上がっていれば(つまり株価収益率PERが変化していなければ)、別に問題ないはずだ。しかしやはり、PERも上がり続けているようである。

 さらに米国株の中で大きく上がっているのは、ほぼマグニフィセント7と呼ばれる巨大IT企業と、一部のAI系ベンチャーだけだろう。このような特定のセクターに資本が集中するのも、バブル相場に典型的な傾向と言える。

 AI相場はバブルだという観点は、悲観的な投資家の間だけで共有されているものではないはずだ。2025年10月に、アマゾンのCEOであるジェフベゾス氏は、AI投資をバブルだと明言したのである。投資される側のど真ん中の人物から見ても、バブルの感覚があるということだろう。

・NASDAQ100のPERを見よう
 AI投資の過熱感を最も数値的に表す指標は、NASDAQ100のPERだと思う。NASDAQ100はアメリカのIT企業が集結している指標であり、かつ伝統的で、信頼性が高い。現在のPERの値は33であり、指標としてはやはりかなり高いだろう。

・ドットコムバブルの再来?
 たまに2000年のドットコムバブルの再来だ、と言っている記事を見る。たしかに傾向は似ている部分もあるだろう。しかしドットコムバブルの時、NASDAQ100のPERは最高で150前後まで到達したはずだ。だから似てはいるけど、バブルの程度はかなり違うと思う。2000年の方がかなり激しいバブルだったのだろう。

 2000年と2026年の違いは、IT企業がしっかり稼ぐ力も伸ばしているということだろう。将来稼ぐかも?という期待を反映した株価だけでなく、今年の収益も伸ばしていると言える。だからPERが33で止まっているのだろう。逆に2000年の時は、インターネットが稼ぐかも?という期待ばかりが爆発的に膨れ上がって、収益が全く追いついていなかったはずだ。

・AIバブルが崩壊すると株価はどれぐらい下がりそうか
 NASDAQ100のPERは、過去数年だと概ね25~28ぐらいの値になることが多かったはずだ。また、コロナショックの時は、20ぐらいまで下がった。これらの事実から、2割下落ぐらいは普通にありそうで、大事件が起きたら3割下がるかも、というぐらいの印象を持っている。トランプの関税ショックで一時的に下がった時も、これぐらいの動きだったはずだ。

 NASDAQ100は今の株式相場の主役だから、AIバブルがはじけると、リスクオフで他のセクターが下がることも避けられないだろう。しかし、歴史的にも、そういった場合は、やはり本丸のNASDAQ100よりは下がらない可能性が高そうだ。適当に言うけども、NASDAQ100の半分ぐらい、10~15%下落ぐらいをイメージする感じだろうか。

・株式がバブルなら、現金と債券で備えるはず・・なのだが
 株式がバブルなら、伝統的には債券が最適解と言えそうだ。なぜならバブル崩壊が起きて不景気になると、経済刺激のために低金利になり、低金利は債券価格の上昇と同じである、というのが、伝統的な見通しだからだろう。現金でも別に良いのだが、低金利化の効果の分、債券の方がリスクヘッジ効果が強く、さらに常に金利が優れているという理解で良いだろう。

 しかし個人的な考えでは、この伝統的な「株式バブル崩壊への防御策」が現時点では大きく妨害されているのだと思う。その理由は、先進国(アメリカ、日本、欧州)政府の巨大債務問題だろう。過去の記事で解説をしたが、政府の巨大債務(返還義務のある国債の巨大な残高、つまり政府の借金)が原因で、通貨価値の持続可能性を疑問視している。特にアメリカは、国債の利払い費だけで日本の国家予算を超えているのだ。

・先進国政府の巨大債務問題は通貨価値の持続を懐疑的にする
 家計や企業の借金は、収入を増やすか支出を減らすかで、真面目に返済するしかないはずだ。しかし国家政府の場合は、自国通貨の価値を激減させる、つまりハイパーインフレによって、借金の価値も吹き飛ばすという抜け道があるのだろう。
 
 事実、日本円の価値はすでにここ数年で大きく下がり、税収が「数字上で」上がったはずだ。通貨の価値を下げて物価を上げておいて、消費税率も上げているので、当然の結末だろう。つまり日本はすでに、通貨切り下げという逃げ道で債務問題をやわらげたと理解するのが、客観的であると思う。

 アメリカも巨額の利払い費を帳消しにするために似たようなことをするのではないかという疑義が、ドルという世界の基軸通貨の信用を下げているのだろう。

・債券の価値は通貨に連動してしまう
 そして他のnoteで繰り返し述べているが、債券というアセットの特徴の一つが、価値が通貨と連動するということだろう。例えば100万円を来年105万円にして返すことを約束する、みたいな商品なわけだから、ハイパーインフレによって1年間で円の価値が半減してしまうと、返還される105万円の価値も当然、半減しているはずだ。

 つまり債券とは、「通貨価値が変化しにくい」環境で、優れた株式暴落のリスクヘッジ効果を発揮する資産だということだろう。

・株はバブル、通貨と債券は信用低下、それでゴールドに資金が集まる
 株はバブルで、しかし、通貨と債券は価値が下がるかもしれないから持ちたくないということだろう。それでどうなったのか?ゴールドに資金が集まったはずだ。それも、強烈に。特に、ドルという今まで世界の主役だった通貨の信用が問われているのが大きいだろう。次の主役の通貨を当てることなど、大博打だろう。しかしゴールドならどの通貨が覇権をとっても、換金性が維持されるはずだ。

・ゴールドが爆発的に上がったのでシルバーとかプラチナも上がった
 よし、ゴールドがきっと最適だ。しかしみんながそう思ったころには、値段がとても上がってしまったのだろう。それで、ゴールドほどではないが換金性を有するシルバーやプラチナが突然買われ始めたはずだ。

・貴金属ほどではないが米国株以外の株も上がった
 日経平均が歴史的な上昇を記録したのは、きっと強く印象に残っているだろう。しかし日本株だけでなく、2025年はオルカンのリターンがSP500を上回ったことから、これは世界共通のトレンドだと言えるはずだ。実際に、韓国やベトナムなど、歴史的な株価の上昇を記録した国が多い。その根本的なメカニズムは、やはり米国株はバブルっぽいが、通貨と債券を持ちたくないという心理であると思われる。

【ちょっとだけ自慢】
なお、著者は2025年前半時点でこれらのトレンドを予想しており、かなり大きなリターンを得ることができた。

・いったん、まとめ
 要するにここまでの内容は、過去1~2年の動向の解説と、やっぱり俺の予想通りだっただろ~という自慢である。当然、重要なのは次どうなるかだろう。

・アンソロピックという「脅威」
 ところで、アンソロピックという企業を知っているだろうか?OpenAIの元幹部であるダリオ・アモディ氏が、2021年に創業したスタートアップである。驚くべきは、2021年にわずか7人で設立されたスタートアップであるにもかかわらず、現在の企業価値はトヨタ自動車に匹敵する

 さらに重要なのは、アンソロピックのビジネスが「法人向け」であり、なおかつ開発が「自動化」されているということだろう。私見ではあるが、同じ金を稼ぐにしても法人相手と個人相手では、ビジネスとしての確立度のようなもののレベルが違うと思っている。例えば、ちょっとディスるようで申し訳ないが、全然採算が取れない段階のEV車を買う個人はそれなりにいたけども、法人はそういうのは相手にしないはずだ。(ただし、法規制で強制的な場合は別)

 アンソロピックはAIベースの自動開発によって個々の企業の業務に特化したAPIなどを作成し、具体的にはおそらく稟議書の出力などを通じ、営業あるいは営業の補助、広報、企画などの実務を高速化、自動化している様子である。そして、今までの生成AIでもできていた、コーディング開発支援なども引き続き行えるらしい。

 つまりアンソロピックはOpenAIやNVIDIAが開拓してきたAI技術のプロダクト化を牽引しているのだろう。そして注目すべきは、法人相手で数兆円の売り上げをすでに達成していることだろう。

 AIは実は儲からない、データセンターは赤字だ。そのような意見も多かったと思う。ドットコムバブルの時はそうだったのだろうが、ビジネスとしての規模が未確定である期待の段階で株価は大幅に伸び、どれぐらい稼げるかが確定した段階で実力通りの株価になると理解することができるはずだ。

 要はアンソロピックがやっていることは、儲かるかどうかよくわからなかったAI技術の、「確定度の高い」マネタイズであると言えて、それゆえにAI相場のクローザーになりえる可能性も高い。

・失業率が命運を握る・・大きめの調整か金融危機か?
 AI技術のマネタイズが確定してしまうと、「稼ぐ力通りの」株価に調整されてしまうはずだ。具体的に言うとPERが統計平均の20~28ぐらいになるかもしれない。つまり収益が今とあまり変わらないなら、株価が2~3割ぐらい下がるのでは、ということだろう。これだけだと、2022年に起きたような、大規模な調整みたいな相場だと思っていいのではないか。まあしばらく含み損になるかもしれないが、そのうちインフレが進んで長期では誤差になる、ぐらいの印象。逆に言うと、そもそも稼ぐ金額が増えれば株価の調整さえ起きないかもしれない。

 もし歴史的な金融危機の引き金を引いてしまうとすれば、それは株式バブル崩壊と、自動化による失業率の上昇が同時に起きてしまうことかもしれない。失業率、そして連鎖的な倒産は厄介だと思う。民間銀行がリスクを恐れて融資できなくなり、資金繰りが止まってさらに倒産が進んでしまう可能性がある。リーマンショックの時は政府の債務を増やし、市場に現金を供給することでこの状況を乗り越えたのだろう。しかし、何度も言っているように今回はすでに債務は巨大で、これ以上増やすと通貨を誰も信用しなくなる危険性があるのだ。

・3通りのシナリオ
 つまり、おそらく近未来のシナリオは次の3通りだ。

1. アンソロピックらがAIの確定したマネタイズに成功し、収益が伸びたから株価は下がらない。

2. アンソロピックらがAIの確定したマネタイズに成功するが、収益はそこまで伸びなかったので、適正PERに合わせた株価に下落する。失業率はそこまで悪化しなかったので大規模な調整で終わる。

3. 株価が下落し、失業率も悪化してしまう。政府は資金繰りの停滞と連鎖的な倒産の防止のために量的緩和を試みるが、これまでと違ってすでに債務残高が大きい。そのため、政府と国民には、連鎖的な倒産か、それとも通貨を誰も信用しなくなる状態か、という究極の二択が突き付けられる。

・著者の運用方針
 基本的には今のポートフォリオから変えるつもりはないです。ゴールド、欧州株、グローバルサウス、シルバー、レアメタル、電力セクターなど。足すなら仮想通貨かなと思うけども、税制が未整備なので見送っている。(注意:これは自分の保有銘柄への感想であり、投資助言ではありません。)

・要約
引き続きAIバブルと通貨信用の動向が重要だろう。

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この記事は経済および時事問題の解説を目的としており、特定の商品の購入や売却を推奨するものではありません。
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この記事を参考にして行った投資、運用、トレーディングなど取引の結果について著者は責任を取ることは一切できません。

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