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最先端AIテクノロジー【レポート9】

このnoteでは、最先端のAIテクノロジーについて紹介する。


AnthropicとOpenAI

 現時点でのAI企業の2大トップはAnthropicOpenAIではないかと思う。もう一つ追加するならGoogle Deepmindだろうけど、正直最先端の性能と言うよりは、Googleが得意とする既存ITプラットフォームとの融合を追求している印象だ。他にも中国企業なども勢いがあるが、やはり性能では2大トップには及ばないと考える。

 おそらく、素人の筆者の考えでは、現時点で純粋なAIの性能はAnthropicの方が少し上だと思う。一方でOpenAIは高性能AIでありながら、画像生成ができるなど、万能型だろう。たぶんITや金融などプロフェッショナル専門職向けのAnthropic、個人あるいは一般労働者向けのOpenAIという住み分けになっている感じがする。

未発売モデルに注目

 さて、最先端AIを考えるうえで、やはり未発売の最新モデルに注目したい。具体的にはAnthropicのClaude Mythosと、OpenAIのChatGPT5.6だ。これらの最新モデルは、既存のモデルと比べて性能がかなり上がっている印象がある。

Claude Mythosの性能

 まず、Mythosは「人間の指示なしに」未発見のOSやブラウザーの脆弱性を見抜き、それが原因で一部の公共機関、IT企業、金融企業にだけ先行で公開することが決定され、話題になった。これは、明らかに既存モデルとは一線を画す能力を持っていることの証拠だと思う。

 さらに注目すべきは、6月4日にAnthropicから公表されたレポートだろう。Claude Mythosは、Anthropic社内における新しいAIの開発に必要なコーディングの80%を、2026年5月の時点で行っていることが明らかになった。ちなみに2025年2月の時点ではAI生成のコードは、10%にも満たなかったようだ。

 このレポートのタイトルが「recursive self improvement」つまり「再帰的自己改良」であるように、最新AIは「能動的かつ自動的に」AI自身の性能向上を行う能力を獲得する寸前だと考えられる。Anthropicも、現時点では再帰的自己改良に突入する可能性あり、といった文脈の主張をしており、まだ確定ではないようだ。

 仮にコーディングという実務がAIに代替されたとして、AI開発において人間に残された役割は、状況判断であると言われる。状況判断は、社会の情勢とか、社内外の利害関係者とか、経営状況とかを総合して判断するわけだから、一般的にとても複雑なはずだ。しかし、驚くべきことに、Mythosはすでに、人間のプロAI開発者よりも「結果的に良かった判断」をする確率が高いようである。(レポートの3枚目のグラフ)。

 つまり、すでに最新AIはプロのエンジニアを超えるコーディングや、東京大学入試で全受験者より高い点数を取るという専門的かつ総合的な能力を獲得していながら、本来は社会人としての経験によって形成されるべき柔軟な判断能力まで兼ね備えているということを意味するだろう。

 さらに、自己改良に至らない現状においても、すでにAI開発の爆発的な加速は達成されつつあるという点に注目すべきだ。ここ数年において、AIが能動的に完了できるタスクの規模は、2023年ごろまでは、約7か月で2倍になるという経験則があったようである。これは、データセンターの拡大規模とか、人間のAI開発速度とかを総合すると、それぐらいの時間スケールになるということだと思う。いわゆるムーアの法則とよく似ている。

 それが、2023年には4か月で倍増、2024年には3か月と圧縮され、ついにMythos級では処理可能なタスクの規模が大きすぎて測定不能になったとのことだ。つまり、「AIによってAI開発を加速する」段階までは、すでに成功しているはずだ。これはつまり、加速が加速を呼ぶという、爆発的な発展はすでに起こっているとみなすこともできる。しかし、加速が爆発的なだけで、まだ人間は必要なのだ。それが、人間が不要になってしまえば、AIの進化は全自動かつコントロール不能になってしまうかもしれない。

 この現状を受けて、Anthropicは6月4日に、AI開発の一時停止を提案した。しかしながら、AIの性能はソフトウェアの品質とデータセンターの規模で決まるため、例えアメリカの企業がこの提案に合意したところで、中国産AIの進化を止めることは難しいと考える。だから、中国に先を越されるぐらいなら、という考えで、結局開発に踏み切ってしまうのではないか?と予想する。

 トランプ政権は6月5日に、アメリカ政府がAI企業の株式を取得することを提案したようである。政府は莫大な金額の国債を発行して資金調達をする権利があるから、普通の投資家が株主になるのとはわけが違ってくるはずだ。もしこの提案が実現すれば、AI企業は経営の安定度や買収の抑止能力の高さを獲得する一方で、良くも悪くも国策を反映した経営をせざるを得なくなるだろう。

 約4か月前のnoteでも、Anthropicが「脅威」となる可能性を指摘してきた。状況は筆者の想像通りに進み、AnthropicはAIの再帰的自己改善、つまり「知能爆発」の実現の手前にいると思う。AIが自動的にAI自身を改良し、人類には理解できない速度の知能爆発が始まる日。人類史に刻まれるべきその日は、もうすぐなのかもしれない。

ChatGPT5.6の性能

 さて、Mythosの内容がかなり衝撃的だったのでGPT5.6のインパクトが弱くなってしまうかもしれないが、こちらも凄まじい成果を出している。OpenAIの社内未公表モデル(おそらくGPT5.6)は基礎数学の未解決問題であるエルデシュ予想の中でも、最も重要度が高いとされる「単位距離問題」の予想の反証に成功した

 おそらく何を言っているかよくわからないだろうし、筆者も数学が専門ではないから具体的には何もわかっていない。重要なのは、権威ある数学者である、ケンブリッジ大学教授のTim Gowers氏は、もし自分が論文の審査員であれば、この成果をためらいなく「Annals of Mathematics」に掲載すると述べたことだろう。

 Annals of Mathematics数学の最上位ジャーナルであり、1年間にわずか約30報の論文しか掲載されない。ちなみに過去20年間で日本からAnnals of Mathematicsに掲載された論文は、わずか約30報のようである。つまり日本の数学者全員から1年に1報出るか出ないかクラスの研究成果が、AIによって生み出されたということだろう。即フィールズ賞、他分野のノーベル賞クラスとは言えないかもしれないが、その一歩手前ぐらいまでは、すでに到達しているのではないかと思う。

 他にも、国際数学オリンピックで金メダル級の成績を記録するなど、数的な処理能力の高さもかなり向上していると思われる。さらに特筆すべきはこれらの驚くべき研究成果や数的能力が、「汎用モデル」から出力されている点だろう。AI(LLM)は強化学習によって特定の分野の能力を向上させられることができると言われる。しかし、その代償として、汎用性は落ちるらしい。イメージとしては数学者とAIを対話させ続けて特化した学習をさせると数学の能力は上がるが、他のタスクが苦手になっていくということだろう。

 問題の本質は、数学に特化していない汎用モデルAIからノーベル賞手前クラスの研究成果が生み出されたことだと考える。つまりすでに現状においても、投資と準備をして強化学習によりAIを数学に特化させれば、さらに多くの研究成果が生まれると考えるのが自然だろう。やはり研究はすぐには儲からないので、このような投資は汎用AIと比べて後回しにされていると考える。よって、すでに技術的には、AIに凄まじい研究能力を付与できるラインは、もう突破されているのかもしれない。

 もちろん、AIというかLLMにもきっと、分野の得意不得意があるのだと思う。その実態が、これから明らかになるのではないだろうか。もう少し汎用モデルの性能が上がり、さら強化学習によって、研究に特化した調整が行われた時。我々は数多くの、かつ革新的な、もしかしたらノーベル賞級の、AI発の科学的発見を目の当たりにするのかもしれない。

他のモデルの成果

 さて、最先端AIということで、未発表モデルについて先に解説したけども、他のモデルにおいても、数多くの革新的な成果が出つつあると思う。筆者が注目しているのは、研究関係だ。ここでは、特に注目すべきと考える最新の論文をいくつか紹介する。

「科学的発見を自動化するためのマルチエージェントシステム」
(Nature, 2026年)

「AI研究のエンドツーエンド自動化に向けて」
(Nature, 2026年)

「(AIの)共同研究者と共に科学的発見を加速する」
(Nature, 2026年)

 NatureScienceと並んで、研究者の誰もが認める理系全分野総合のトップジャーナルだ。いろいろ計算の仕方があるのだが、おそらく掲載された時点で、上位0.1から0.5%程度と評価された論文だと思って間違いない。

 まあこのように、特に研究を専門としない人向けの解説の場合は、内容ではなくて論文の階級の高さを説明するしかない。しかしこれも悪い方法ではなくて、なぜなら階級が高いジャーナルほど審査が厳しく、かつ多い人数の有力な審査員によって審査されるからだ。つまり、その分野のトップクラスの専門家の複数人が、論文の凄さを認めたと言うことができる。

 3つの最新の論文は、AIで研究を自動化するという点で共通しているが、アプローチの方針に違いがあると思う。

 一つ目の論文は、AIが実験室で生物学の研究を行い、仮説生成、実験、データ解析、図の生成、病気の治療候補の発見と検証を一貫して行うことを実現したという内容のようである。

 二つ目の論文は、AIが情報分野において文献調査、新研究のアイデア生成、コーディング、データ生成、論文執筆、論文のレビューを全自動で行うシステムという内容のようである。

 三つ目の論文は、AI中に仮想的な「共同研究者」を構築し、人間の科学者が研究目標とこれまでの研究状況を提供すると、仮説の改良と新しい研究内容の提案が行われるという内容のようである。

 つまりざっくり言うと、全自動のAI実験研究者、AI理論研究者、AI研究アドバイザーという3種類のアプローチが進んでいるのではないだろうか。さらにこのnoteの前半で述べたように、未発表モデルのAIの性能はさらに大きく上がっていることが予想される。これらの状況から、近い将来にAIが数多くの研究成果を発見することを予想している。

 知能爆発はMythosのように、AIの性能の文脈で語られることが多い。しかし、AIが全自動の研究によって未知の知識を発見できると言うのなら、それは「AI自身による、AI用の学習データの拡大」を意味すると思う。このような学習データの自発的な拡大という文脈での知能爆発も、注視すべきではないだろうか。

筆者が恐れていること

 最後に、筆者が恐れていることを共有したい。それは、大きく分けて二つだ。一つ目が、AIの発展と応用がマネタイズ目的に集中し、多くの人間が失業し、さらにその状態が維持されてしまうこと。二つ目が、テロリスト的な集団による生物兵器や化学兵器の開発だ。

 一つ目は、ある意味で資本主義社会では当然の結末かもしれない。AnthropicやOpenAIは巨額の投資を受けてAIを開発し、それゆえにマネタイズ目的でしか動けないはずだ。まあだからこそ、その結果作られた、金儲け目的の汎用モデルで数学の研究が大きく進んだことに驚いているのだが。

 話を戻すと、おそらく金融、広告、製造、IT、エンタメ、営業、事務、マネジメント、などのドル箱的な業界や職種が集中的にAIに狙われるだろう。一方で一次産業や介護など、生きていくのに必要だけど儲けにくいビジネスは、きっと後回しにされる。その結果、何が起こるか?雇用だけが奪われ、生活コストは大して下がらず、AI企業が大儲けするということではないのか?

 これは資本主義的なマネタイズが目的である以上は、多かれ少なかれ避けられないのではと思う。抑止できるのは国民の民意だけだが、例えば法的にAIの応用を禁止するようなアプローチは、筋が悪いと思う。筆者の考えでは、税金を注入してでも、AIによる一次産業や介護の自動化を進めるべきだ。それは税金で道路を作ったりするのと、同じレベルの議論になってきていると思う。AIの議論は盛んに行われているけど、このような公共性の目線が不足しているとすごく思う。

 二つ目は、AIは研究者に匹敵するようになってきているという事を紹介したけども、それで危惧すべきは、テロリスト的な集団がAIを活用することだと思う。もう少しAIが進化すれば、何万人もの全分野の研究者に好き勝手に命令できるのと同じになるかもしれない。特に警戒しているのが生物兵器と化学兵器である。核もヤバいかもしれないが、現時点で原料の濃縮ウランを厳しく規制することには、ある程度成功しているように見える。

 生物兵器と化学兵器が厄介なのは、原料はネット通販で売ってる普通の物質だったりする点だろう。つまり現状では開発の専門性が高い側面が、悪用を抑止している可能性が高い。その障壁がAIによって無くなってしまうかもしれない。

 特に危ないと思っているのは、新種ウィルスのような伝染性の生物兵器だ。コロナウィルスの事件は強烈に記憶に残っていると思うが、テロリストによって悪意ある設計をされた新種のウィルスは、大惨事引き起こす可能性がある気がしている。

 関連するニュースとして、研究者ではなく起業家のポール・コニンガム氏は、AIとゲノム配列調査サービスを活用し、愛犬のガン治療のためのワクチン設計に成功したと言われている。ポール氏は生物学や医学の素養は全く無く、AIと相談してワクチン設計までたどり着いたとのことだ。さすがに設計されたワクチンの製造自体は研究所で行われたようであるが、このワクチンは実際にガンに対して一定の効果を発揮したようである。

 治療目的のワクチンだからハッピーなニュースに見える。しかしウィルスとワクチンの設計はかなり近い技術のはずで、誰でもそれができるという状況を注視している。

 おそらくこの状況を受けて、Anthropic、OpenAI、Google Deepmindという代表的なAI企業のCEOら3名は、ウィルスやワクチンの原料となる合成核酸の管理を厳格化すべきであるという署名を発行した。それはおそらく、現状の濃縮ウランのような扱いになることを意味するのではないだろうか。そしてこの署名には、「AIは専門分野において博士号レベルのウィルス学者を上回る性能を示している」と記されているのであった。

 これらの公共目的の自動化と、主に生物兵器への悪用という2つの問題意識を、このnoteの読者と共有したい。

要約

未発表モデルのAIはすごそうだ。

AnthropicのClaude Mythosは、自己改良に到達する寸前かもしれない。

OpenAIのChatGPT5.6は、ノーベル賞の一歩手前クラスの数学の研究をする能力を持っているし、強化学習でさらに伸びるかもしれない。

他のモデルでも、全自動のAI実験研究者、AI理論研究者、AI研究アドバイザーが実現され、全てが2026年にNature誌に掲載されている。

個人的には公共目的の自動化の遅れと、生物兵器開発への利用を懸念している。

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