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[無料]登山したことないけど富士山に登りたい人が読むテキスト

こんにちは、ジオグラフィカという登山アプリを開発している松本という者です。登山は21年くらいやってます(2026年時点)。

先日、久しぶりに富士山に登って記事を書いたら結構読まれたんですが、書きたいことを書きすぎて長くなったので、別途富士山に登ってみたい人が知ってたらいい情報をこのnoteに書くことにしました。


登山経験ゼロで富士山に登るのはオススメしません

まず大事なことですが、富士山は「登山初心者が絶対に登れない山」ではありません。元々体力がある人が天気の良い日に行けば無事に登れる可能性が高いです。

でも、「初心者向けの山」でもありません。天候やその他条件、体力・体調次第では酷い目に遭いますし、遭難する可能性も十分にあります。富士山の6合目から上は、気軽に遊びに行く観光地ではありません。

富士山の標高はとても高い

富士山は標高が3776mあります。日本の最高峰です。2位の北岳より600m近く高い山です。海外の高山に登る日が高度順応などトレーニングで使うような標高です。

登山を趣味にしてない人がいきなり登る山ではありません。

酸素の薄さは五合目(2305m)で75%、7合目(3000m)で69%、本八合目(3400m)で66%、山頂(3776m)で63%です。高度に慣れてない人は、一瞬呼吸が乱れただけで息が詰まり窒息感を感じる、そういう環境です。

独立峰で4000m近い標高は、下界とはまったく違う気象状況を生みます。下は曇りでも山頂近くは暴風に大雨なんてザラです。真夏でも気温は0℃近くになり、風により体感温度は簡単に氷点下になります。服が濡れていたら短時間で低体温症になる環境です。

いきなり行くとツライよ?

そこに、普段登山も運動もしてないような人が行ったらどうなると思いますか?滅茶苦茶ツライ目に遭います。頭痛、吐き気、窒息感で力が入らない。ちょっと動くだけで息が切れ呼吸数と心拍数が増加します。

ずっと息が苦しいのは思ってる以上にキツイ体験です。

学校で運動部に入ってる学生や、普段から運動をしている若い人なら勢いで登れてしまうかも知れませんが、そうでないなら事前にしっかりトレーニングをしてから行くことをオススメします。

富士山に何をしに行くのか?楽しく登山をしたいでしょう?お金と時間を使ってツライ思いだけしに行きたくないですよね。

延々登っていく。

まず、登山の歩き方を勉強しましょう

先日富士山を登っていて他の登山者を観察していたのですが、多くの人がデタラメな歩き方をしていました。正しく登山の足運びができている人は希少でした。たぶん、本当に普段登山をしていないのだと思います。

登山のほとんどの時間は歩いています。登山の正しい歩き方は、とても重要な技術です。

Youtubeに歩き方の動画が何本もありますので全部見てください。見たら内容をメモして練習登山で試してください。

ザックの調整やストックの使い方も知らないと正しく使えません。動画などで勉強してください。

Youtubeの動画は、とりあえず山と溪谷chとヤマレコ社長の絶対遭難させないチャンネルを片っ端から見るとよいです。

歩き方の専門家である野中ガイドの動画も見てください。

あとは、本も読んで勉強してください。山での無知やミスは時として命の問題になります。真剣にやっていただきたいと思います。

トレーニングをしてください

登山に必要な体力は登山で手に入れるのが手っ取り早いです。近場の低山でいいから、とにかく山を登ってください。

近場でいいから山に行きましょう

行ったことがある山を何度も登ってください。トレーニングなんだから未踏の山に行かなくてもいいです。東京近郊なら高尾山や筑波山、丹沢などがオススメです。丹沢の大倉尾根を楽々登れると富士山も楽勝になると思います。

高尾山なら標高差400m、筑波山なら標高差700m前後、丹沢大山なら900mくらい登ることができます。大倉尾根なら標高差1200mです。東京近郊以外の方は、それぞれ近場でコースを探してみてください。

高尾山にも登ったことがない、もしくは登ったけど登山について何も分からず登ったのなら下の記事を読んでください。

暑い時期はスタート地点の標高が高い山を選ぶ

本番が近づくころは暑くなっているのでスタート地点の標高が高い山がオススメです。東京近郊なら大菩薩嶺ですかね。スタートの標高が1500mくらいなので下界より10℃くらい気温が低いです。山頂までの標高差は500mくらい。山頂は標高が2056mあります。標高2000mの酸素の量は下界の78%で、吉田口五合目の75%と近いです。奥多摩の三頭山もスタートが1000mなので暑い時期も比較的登りやすい山です。標高差は550m。やや標高差が少ないので、石丸峠や天狗棚まで歩いて距離を長くするとよいです。

大菩薩嶺は尾根から富士山が見えてテンション上がります。

日常的には重りを入れたザックを背負って早歩き

平日は仕事が終わったあとに水を入れたペットボトルなどを入れたザックを背負ってインターバル速歩をするとよいです。家の近所に坂道があるならベターですが、平地でもインターバル速歩でトレーニングになります。

正直登山よりは負荷が少ないですが、やらないよりはマシです。ランニングも心肺機能の向上に効果的ですが、運動習慣が無い人がいきなりやると膝や足首を痛めやすいので、最初はインターバル速歩くらいがよいです。

遅くとも4月から開始しましょう

4月からトレーニングして8月に登るなら4ヶ月半くらいあるので、12回程度トレーニング山行を積めます。準備として月に3回以上登山に行くのが難しいなら富士山なんか登らないようがいいです。わざわざお金と時間を使って苦しみに行くことはありません。普通に下界で遊んでいてください。

富士山に登りたくて練習登山をするなら、例えばこんな感じでしょうか。

  • 4月…高尾山1号路、高尾山6号路、高尾山稲荷山コース(合計1200m)

  • 5月…高尾山(稲荷山コース)、筑波山、丹沢大山(合計2000m)キツかったら帰りにケーブルカー有り

  • 6月…高尾山(コース問わず)、丹沢大山、大倉尾根(合計2500m)

  • 7月…大菩薩嶺、大倉尾根(熱中症に注意)、三頭山(合計2200m)

  • 8月のどこかで本番

暑い低山を登る際は下記の記事を参考にしてください。

これくらい登っておくのが最低限でしょうか。八ヶ岳なんかも標高が高いピークもあるし夏でも涼しいし関東からのアクセスが良いのでオススメです。

行くなら8月中がいいですよ

富士山の開山期間は9/10までですが、終わり頃になると開いてない山小屋が出てきますし、天候の良い日を選ぶのも難しくなります。8月上旬くらいから好天を狙えばチャンスも多くなります。

ギリギリの時期で、日程を選べないからと悪天候の日に突っ込んでしまえば遭難のリスクが高くなります。早めで調整しましょう。

痛みが出たら無理しなくてよい

途中で足首や膝などが痛くなったら無理せずに休んでください。痛いまま登山をすると悪化します。大倉尾根みたいな標高差が大きいコースも、途中で無理そうだなと思ったら途中で下山しちゃってください。そう、登山はキツかったら途中でやめたっていいんです。

最終的に、大倉尾根くらいの尾根(標高差1200m)を日帰りで無理なく上り下りできれば富士山も問題なく登れます。頑張ってください。7月になっても大倉尾根(標高1200mの上りと下り)の日帰りが無理だったり、あまりにキツかったらそうですね…もう1年頑張りましょうか。だって、準備不足で無理してくとツライよ?

予約は慌てなくて大丈夫です

ツアーで行くにしろ自分で手配するにしろ、実際に行く直前でもどこかで予約は取れます。土日だと混むので平日が狙い目です。有給を取って行けばよいでしょう。1週間予報も見て天気がいい日を選んでください。

一般的には梅雨明けから10日間くらいが天気が安定しているので、7月下旬から8月1週目くらいがよいです。その期間で条件が良い日を選んでください。

ただ、遠方で飛行機を使わなきゃいけないとなると早割で買いたいなら早めに日程を決めなくてはいけないのですが、その場合は…運を天に任せて全部予約してしまうか、飛行機だけ取っておいて富士登山をするかは直前に決めるか。条件が悪いなら飛行機をキャンセルして別日にするか、観光と割り切って関東近郊で遊ぶかですかね。

登山用の体を手に入れるには時間が掛かります

という事で、準備には時間が掛かります。7月や8月に急に思いついて富士登山をするのはオススメしません。準備期間が無さすぎます。1年トレーニングして来年にしてください。

普段から登山をしてる人なら別ですけど、普段あまり運動をしてない人はトレーニングをしましょう。重度の高山病になったり悪天候のなかでバテて行動不能になれば死ぬリスクもあります。

富士山で死ぬわけないって?いえ、たまに亡くなってる人はいますし、亡くならずとも救助される人は何人もいますし、救助までに至らなくても高山病などで体調を崩して山頂に行けない人は無数にいます。甘い山ではありません。

呼吸法が大事です

富士山では意識して深呼吸をしてください。特に大事なのが息を吐くことです。口をすぼめて肺に圧力を掛けるようにフーッ!っと長く吐いて、吐き切ってください。息を吐ききれば自動的に息を大きく吸えます。ちゃんと吐かないと吸えません。

その様な呼吸を続けます。浅くて速い呼吸ではなく、深くて長い呼吸をするのが肝要です。

本番の持ち物は軽くして行きましょう

練習登山では水を多めに持つなどしてザックを敢えて重くしてもよいのですが、本番の富士山では軽くしてください。

水は山小屋で買えます。500mlで500~600円程度です。2リットル買っても2000円です。最初に500mlを持ち、無くなったら山小屋で買うのが楽です。食べ物も売ってますし、おやつを大量に持っていっても意外と食べません。持っても柿の種一袋とカロリーメイト1箱くらいで足りるでしょう。

足らないものは金で解決してください。

必須装備

  • ヘッドランプ(5時間以上点灯するもの)

  • 上下セパレートタイプの防水透湿レインウェア(防水透湿じゃないとダメで、上だけ持ってきてズボンを忘れることがよくあります。標高が高いところで雨に濡れて風が吹くと低体温症で死にます。絶対必須)

  • 登山靴(ミドルカットを推奨。お店で試着して足に合うものを選ぶ)

  • ザック(25~30リットル程度)

  • 防寒着(フリース、ライトダウンジャケットなど)

  • 手袋(なぜかツアー登山では軍手を配りますが、ポリエステルなど化繊の手袋がよいです。ワークマンなどでも売ってます。軍手は濡れたら乾きません)

  • サングラス(紫外線が強いので晴れの日は特に必須)

  • 水(500mlは持ち、無くなったら買う)

  • 行動食(800kcalくらい。持ち過ぎは重くなるので少量でよい。足らなくなったら山小屋で買う)

  • モバイルバッテリーとケーブル(スマホは生命線です。10,000mAhを1個程度)

  • ストック1本以上(2本あっても岩場で邪魔なので1本でもよい)

  • 現金(小銭が多くあると便利だけど山小屋で両替してもらえます。水も食べ物もお金があれば買えます)

  • ゴミ袋(ゴミは商品を買った山小屋に返却以外、すべて持ち帰りです)

あればベター

  • 歯ブラシ(個人的には必須。ただし、歯磨き粉を使って磨いたあとに吐き出す場所がありません。歯磨き粉無しで磨いて飲み込むしかない。山では普通のことですが、慣れてないと無理かも?)

  • 手ぬぐい(個人的には必須装備。寝る時の目隠しや首の日焼け保護などに使える。清潔な手ぬぐいを割けば包帯にもなる)

  • 耳栓(個人的には必須装備。小屋は割とうるさいので寝る時に使う)

  • エコバッグ、スタッフバッグ(個人的には必須。荷物の整理に便利)

  • ザックカバー(省いた場合は防寒着や着替えを濡れないようにビニール袋で防水してください。必須寄りのベター装備)

  • スパッツ(吉田口往復なら無くてもよい。そんなに砂が入らないから。今回は着けた。大雨の場合は靴に水が入るのを防ぐ)

  • 帽子(寒い時はレインウェアを着てフードを被ればよいので必須まではいかないが、あるとベター)

  • 日焼け止め(女性的には必須かもしれない)

  • 折りたたみ傘(風が弱いときなら日傘にもなる。周りに人が多い状況や風が出ている時は使わない。優先度は低い)

  • ファーストエイドキット(ガイド付きなら持たなくてもよい。ガイド無しなら絆創膏や包帯くらい持つとよい。個人山行なら持つ)

  • ツェルト、エマージェンシーシート(これもガイド付きなら持たなくてもよいが、私は富士山のガイドを信用してないので持った。個人山行なら持ってもよい)

  • ヘルメット(落石や転倒時の保護になるが、着けている人はとても少ない)

  • 着替えのシャツ(濡れた場合は着替えると体温維持に役立つが、汗をかかないペースで登れば、雨の日でなければそこまで濡れない。悪天候時の着替えとしてはあってもよい。速乾性のTシャツ1枚でOK)

要らないもの

  • 酸素缶(気休め、ただの重り)

  • 金剛杖(長すぎ、重すぎ、邪魔、帰ったら二度と使わない)

  • インナーシーツ(そんなにキレイとは言えないけど寝具はあります。枕が気になるなら防寒着やタオルで包むとよい)

  • バーナー、コッヘル(山小屋泊なら食事が出ます。使える場所も無い)

  • 使い捨てカイロ(酸素が薄いため十分に発熱しない)

  • サンダル(山小屋にサンダルがあります)

  • ウェットティッシュ丸ごとや洗面道具、化粧品(どうしても必要なら、必要な分をチャック付き袋などに入れて持っていくと軽量化できる)

  • マイカップ(よくザックにつけている人がいるアレ。要らない)

  • ナイフ、特に多機能ナイフ(重い)

  • 折りたたみ椅子、座布団(重い、使う場所がない。座りたい時はザックを置いて上に座ればよい)

  • トイレットペーパー(トイレに備え付けられています。せいぜいポケットティッシュ程度でよい)

  • 酒類(飲むと高山病になりやすくなります)

登山中にいらないものはコインロッカーに預けられます

帰りの着替えなど、登山中に使わないものは五合目のコインロッカーに預けるといいです。300円~500円くらいです。

ただ、コインロッカーを使うと行きと帰りで同じ場所に降りなくてはいけなくなります。吉田口から登って須走口に降りるのなら全部持って登ることになります。

レンタルはどう?

富士山登山では装備のレンタルも大いに使われているようです。五合目では登山靴、ザック、レインウェア、ヘッドランプなどなど上から下まで必要な装備を全部レンタルできるようです。

けど、本番までに練習登山をしているのなら装備も持っているので、わざわざ1万円以上出してレンタルする必要がありません。ってことは、全部レンタルするような人は初めての登山が富士山ってことだと思うんですよね。

それってどうなんですかね。私は、相当に問題があり、そのように富士登山をゲレンデスキーのような気軽さにしてしまうことには疑問があります。

標高3776mの日本最高峰ですよ?そこに登山の未経験者が、その日初めて体に合わせた装備で登るわけです。異常だと思いませんか。夏の富士山は非常に遭難が多い山です。

このテキストを読んだのなら、自分で装備を揃えて、しっかり時間を掛けてトレーニングをして、登山に必要な体力、筋力、知識を手に入れてから登ってほしいと思います。

ダイエットしてください

荷物を軽くするのと同時に、肥満気味の人はダイエットをしてください。体重を1kg減らせれば足の負担は大きく減ります。

削りに削った荷物を100g減らすのは難しいですが、贅肉なら4ヶ月で3kgくらい落とせますよね。痩せ過ぎや適正体重の人は除きますが、ダイエットはトータルの軽量化に最も有効です。

ただし、トレーニングをせずに食事だけ減らせば筋肉も落ちてしまいます。トレーニングをしてタンパク質を食べて筋肉を作り、余計な間食を減らして贅肉を落としてください。

どのルートで登るか

初めて登るなら吉田口からが良いでしょう。交通の便もよく、距離も短く楽です。ツアーの数も多く、情報も多めです。

吉田口から登ってください。行き方などは自分で調べてください。

御来光が見たくて初心者ならガイド付きが楽です

登山初心者ならガイド付きのツアーが楽です。前回の記事で、「あんまりプロっぽくない、指示出しが下手」などいろいろ書きましたが、それでも1シーズに何度も富士山に登ってる人達なので、初めての人よりは知識が豊富でペースの調整はそれなりに適切ですし天候判断もしてくれます。

ガイド付きツアーと無しのツアーで差額は数千円ですから、ツアーで行くならガイド付きがオススメです。

ガイドなしのフリープランで行く場合も、ツアー会社を使ったほうが手配が楽です。費用は2万円弱くらいからです。交通費、宿泊費、入山料、入浴料が入ってソレくらいなら安いでしょう。繁忙期で3万円を超えてくると高く感じますが、繁忙期の山小屋を予約するのはだいぶ難しい気がするのでツアー一択かも。

ただ、ツアー登山はツアー会社の都合で行程が組まれているため、運動生理学的には無理があります。自分でプランを組んで行くのもアリではあります。

ガイドなしなら、とにかくゆっくり登りましょう

普通の登山では1時間で350mの標高を登りますが、富士山では1時間で200m程度のペースで登ります。これは相当に遅いペースですが、実は登山で難しいのはゆっくり登ることです。意識をして時間を掛けて登りましょう。

例えば標高2300mの五合目のを出発して3300mの山小屋まで5時間を掛けます。12時に出たら17時に着くペースですね。5時間でたった1000mです。これ以上速く登ると、普通の人は相当キツくなります。ですが逆に言えば、1時間に標高差200mのペースなら多くの人が無理なく登れます。

息が切れてキツく感じるならペースが速すぎです。息が切れず、会話ができる程度のペースに抑えてください。適切にゆっくり登れれば、そんなに頻繁に休憩しなくても歩き続けられるはずです。そもそも、そんなに早く着いたってすることがありませんし、標高が高い場所で苦しい時間が長くなるだけです。

登山用のGPSアプリは現在地の標高が表示されるので、自分たちがどのくらいのペースで登っているのかも計算してください。拙作のジオグラフィカだとトラックログの記録中は定期スピーチで「登降速度」という数字を読み上げます。これが1時間に200~250mくらいが無理のないペースです。

ガイド無しなら天候判断は慎重に

富士山は独立峰で標高が高いので下界と全く違った天気になります。下界が雨でも雲の上は晴れていることもあれば、強風大雨で大荒れのこともあります。五合目が穏やかでも8合目から上は地獄の悪天候なんてこともよくあります。

悪天候の際に登山を続行するのか中止して下山するのか、ガイド付きならかなりの安全マージンを取ってガイドが判断しますが、ガイド無しで行くなら自分で判断しなくてはいけません。

歩いていてよろめくような風が吹いていたら止めたほうがいいし、雨具の袖口や首元から水が入ってくるような豪雨でも山頂を目指さないほうがよいです。途中まで登ってきてしまったのなら、速やかに下山してください。生きていれば再挑戦できますから。

天気予報をチェックして、今後どう変わるかも知っておいてください。山小屋の人に天気について聞いてみるのもよいでしょう(普通の山小屋なら教えてくれると思います)。

そもそも、天気が悪い予報が出ているならスタート前に延期するのがいいと思います。くれぐれも慎重に判断してください。

泊まる山小屋は標高が高すぎないほうがいいですよ

普段海に近い都市に住んでいる場合、標高は0~100m程度でしょう。そこからバスなどで2300mの五合目まで登って、程なく出発、本八合目の山小屋なら3300~3400mです。一気に3000m以上標高を上げてそこで一泊するというのは、体へのストレスとしては海外の高山登山を超えます。

先日の富士登山では、朝7時に標高40mの新宿を出て、その日の17時には3300mの山小屋にいました。わずか10時間で3260mを上がったわけです。

例えば標高5895mのキリマンジャロ登山場合は1日目に1500mの町で一泊、登山開始1泊目は2700m、2泊目は3700mと、1日に1000mずつ標高を上げていくそうです。そこから考えると、1泊目でいきなり3300mまで上がるのが如何にクレイジーか分かるでしょう。それだけの無理をしているのが一泊の富士登山(本八合目泊)です。

泊まる山小屋は、高くても3000m程度の小屋がいいと思います。今回ツアーで泊まったのは3300mの場所にあったのですが、8月に北アルプスで合計5泊のテント泊をしてきた私でも、寝ている間に窒息感を何度も感じて起きましたし、頭痛を感じました。よく寝た!という感覚からは程遠い。意識して深呼吸をすれば頭痛は治るのですが、熟睡はできませんでした。起きている間は意識して深呼吸をするので頭痛を感じないのですが、寝てる間はダメでした。

高度順応せずに泊まるのに3300mは標高が高すぎます。2800m~3000mくらいがよいと思います。

山頂でご来光を見たがるから無理が出ます

山頂でご来光を見たいと思うと、5時くらいに山頂にいたいとして標高3300m(本八合目)からなら2時半には出ないといけません(渋滞するので時間が掛かります)。3000m(八合目)からなら残り標高700mで4時間程度掛かるので遅くとも1時出発です。

山小屋を低い場所にすると、2日目の行動時間が長くなるので出発が早くなり、小屋での休息時間がかなり短くなってしまいます。

…山頂で御来光を見ようをしなければいいのでは。

ぶっちゃけ、御来光なんて3300mで見ようが3700mで見ようが見え方は同じです。ちょっとした標高の違いなんて誤差です。なので、遅い時間に山小屋を出て、途中で御来光を見て明るくなってから山頂に至り、時間に余裕があるならお鉢巡りをして帰る、そんなプランがよいでしょう。

そういうツアーはたぶんあんまり無いので、結局ツアーを使わないほうがいいような気がします。

また、時間の都合で御来光前にお鉢巡りをさせるツアーもありますが、暗い時間に廻っても何も見えないので勿体ないです(お鉢巡りをしたという実績解除にはなるでしょうけど)。そういうツアーを企画する会社はあまり信用できないなと思います。

さっきまでと言ってることが違いますがw。

正直、どこで見たって一緒ですよ。

なんなら、日中登って日帰りでもいい

夜の登山は視界が狭く気温も低く、様々なリスクがあります。登山は普通、日中に行うものです。それが、なぜか富士山だけは夜中に行動するのが当たり前になっています。

私が2014年6月に富士宮口から登った時は日中登りました。海外登山のための高度順応でしたが、普通に日帰りでした。御来光とは無縁の登山でしたが、快適に登って降りてこられて高山病にもなりませんでした。

標高差1400mですから、ちょっと登山をやってる人なら日帰りで普通に登って降りてこられる程度なんですよ、数値的には。大倉尾根が1200mですから、もうちょっと頑張ればいいだけです。

標高が高いから空気の薄さはありますが、その分ペースを落とせばいい。1時間に250mのペースで登って、下りは600m/hでいけるなら、登りが6時間、下りが2時間半で8時間半です。休憩を入れても10時間程度あれば登ってこれるので、朝6時に五合目を出れば16時に下山できます。

連続して活動するので体力は必要ですが、そういう富士登山もあるというのは知っておくといいかも知れません。御来光登山だけが富士登山ではありません。

二泊で行ってもいいんですよ

たとえば、スバルライン五合目(吉田口)の雲上閣に宿泊できます。カプセルタイプなら9500円から泊まれます。標高2300mで一晩過ごせば高度順応も多少はできるので無理が減ります。

五合目で一泊して翌朝から日帰り登山をしてもいいでしょうし、上の山小屋にもう一泊してもよいでしょう。2300mで一晩過ごしていれば3000mの山小屋でも快適に眠れるかも知れません。

朝発の日帰りで、朝6時に登り始めて16時などに降りてきても帰りのバスはあります。

酒は飲んじゃダメ

登山で山小屋に泊まるとお酒を飲む人も多いと思いますが、富士山は標高があまりに高いので飲まないでください。アルコールは利尿作用がありますし、睡眠時の呼吸数が落ちて高山病になりやすくなります。行動中の飲酒は判断力や反応が落ちるので厳禁です。

そもそも、富士山みたいな山でアルコール飲料が売られているのがおかしいんです。「飲酒によって登頂確率が下がるため売りません」という山小屋もありますが、誠実だと思います。

太子館さんでは館内飲酒禁止で販売も無いようです。

トモエ館さんも販売していないようです。

喫煙者へ:禁煙してください

富士山のような低酸素環境では、喫煙による呼吸の負担が増えます。まず一酸化炭素の悪影響。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと強く結びつき、酸素運搬能力を下げます。喫煙者は運動時に息切れしやすい傾向があり、特に富士山では疲労しやすくなります。

それと、これは本人以外、周りへの影響ですが、タバコを吸わない人にとってタバコの煙は「メチャクチャに迷惑」です。それこそ、呼吸が乱れるくらいにとても臭くて迷惑。吸うなら徹底的に風下に廻って、誰にも煙を吸わせないくらいの気遣いをしてください。吸わない人的には、臭くて仕方ない。煙を吸いたくないので息を止めたいのですが、標高が高いからものすごく息苦しい。本当に心の底から迷惑です。

タバコの煙は30m離れていてもウンコ並みに臭くて、こちらの呼吸が乱れます。本当にやめていただきたいと思います。富士山に登るのを良い機会として禁煙してください。

無理が少ないのはこんなプランかな例

登り口がいろいろありますが、調べるのが面倒なので吉田口として計算してみます。ツアー登山ではないので、事前の入山予約と決済や山小屋の手配、交通手段の手配や予約は自分でやることになります(それも楽しいけど)。

二泊三日で登る場合

1日目
昼頃スバルライン五合目着で来て、15時のチェックインまでブラブラする(雨でないなら御中道などを歩きに行ってもいいかもしれない)。15時にチェックインして雲上閣のカプセルタイプで一泊。飲酒はしないでください。

2日目
8時にチェックアウト。ゆっくりゆっくり、時間を掛けて景色を楽しみつつ3000mくらいの場所にある山小屋に向かい14時くらいに到着。夕食まで起きて過ごす。ここでも飲酒は禁止です。夕食を食べたら20時ころまでゆっくり過ごし、耳栓とアイマスクをして寝る。3時に起きるとしても7時間あります。

3日目
3時ころ起きて4時出発。山頂までの途中で御来光。7時登頂、お鉢巡りをするなら2時間を見て、9時下山開始、13時前に下山完了。バスで帰る。

五合目でたっぷり時間を掛けて高度順応できるので、一泊で行くより楽になると思います。

一泊二日で登る場合

1日目
午前中に五合目に到着、すぐに登り始めずに12時くらいにスタート。2800mくらいにある山小屋までゆっくり登って5時間くらいで17時に到着、夕食。20時就寝。

2日目
1時起床、2時出発。山頂まで5時間くらいなので途中で御来光。7時に山頂。帰りの時間と体力に余裕があるならお鉢巡りをして9時に下山開始。13時下山。

日帰りで登る場合(健脚向け)

車中泊か前夜発で路線バスを使って8時に五合目。または夜行バスで早朝に五合目到着。8時スタートで9時間掛けて登って下山して17時。まだ路線バスはあるので帰れます。夜行バスなら1時間半程度早くスタート可能です。ただ、8時スタートの場合は確実に9時間で登って降りてこられないと成立しないので、普通の登山でコースタイムより速く歩ける人、健脚向けのプランになります。初めて登る人には難しいかも知れません。

やっぱツアー登山じゃないほうが自由でいいな

ツアー登山ではなく自分でプランを作って、山頂での御来光を外せばだいぶ楽になります。ガイド付きかどうかも、実はそこそこ山に登っていれば、富士山のツアーガイドなら無くてもいいかなくらいの知識は身に付きます。

実際、私は登山をはじめて数ヶ月で自分たちだけで富士登山をしてましたから、そんなに難しいことではありません。ツアーガイドがしゃべっていた内容も、Youtubeで富士山関連の動画を数本見れば手に入る程度のものです。

そう考えると、ガイド付きツアー登山があれだけ盛況なのは、それだけ多くの人がなにも知らない状態で富士山に登ってるってことなのかなって気がしますね。ちゃんと準備してるなら、ツアー会社のガイドは要らないからね…(※)。

※…富士山以外の山でもガイドをしているような、日本山岳ガイド協会や日本アルパインガイド協会などに所属するガイドさんなら個人で依頼してもいいかも知れません。ツアー登山よりもだいぶお金は掛かりますが。

なんか途中と言ってることが違ってきてますが、まとめでーす。

まとめ

  • 富士山は日本最高峰の山です。いきなり登るとツラい思いをするだけです。普段登山をしない人がぶっつけ本番で登るのはどうかと思います。

  • 登山の歩き方を勉強、練習してから登りましょう。

  • 遅くとも4月からトレーニングをして登りましょう。特に普段運動してない人が富士山に行くと死ぬリスクすらあります。

  • 8月上旬くらいを目標に4ヶ月間頑張ってください。

  • 荷物はとにかく軽くしてください。水と食べ物込みでザックが5kg以上なら重すぎです。1gでも軽くしてください。体重が重いなら準備期間中にダイエットしてください。それが一番効きます。

  • 初めてなら吉田口がいいですよ。

  • 山頂で御来光が見たいならガイド付きツアー登山がいいですよ。

  • でも、山頂の御来光を外せばもっと楽なプランがいろいろ考えられます。ツアーの都合に縛られる必要はありません。

  • 天候判断は慎重に。悪天候時は無理せず中止、登ってしまったのなら途中で下山しましょう。

  • 富士山でアルコール飲料を飲まないでください。

  • 喫煙者は禁煙してください。

  • 富士山は、二泊三日で登ったっていいのです。

富士山は日本の最高峰で、古くから信仰の対象になっている霊山です。それなりの敬意を持って、しっかり準備してから登りましょう。富士山は自己顕示欲を満たすトロフィーではありません。

余談

しっかりトレーニング登山をして、奥多摩、丹沢、八ヶ岳、大菩薩嶺などに登ってから富士山に登ると、「もしかして、富士山って登山の対象としてはイマイチなのでは…、他の山の方が登って楽しいのでは…」と気づくかと思います。正解です。正直、登るなら北アルプスや八ヶ岳、南アルプスなどのほうが楽しいです。楽しい山に行きましょう。

富士山のあの高度感、飛行機並みの視点は唯一無二にして別格ですけどね。百名山だし。


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松本圭司@ジオグラフィカ開発者 わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。