その写真、ホームページに載せても大丈夫ですか?|許諾のルールを整理
レクリエーション中に撮れた、入居者の自然な笑顔。
「いい写真が撮れたから、ホームページに載せよう」
そう思ったとき、公開する前に、もう一つ確認しておきたいことがあります。
それは、写真を撮ることだけでなく、ホームページやSNSなどに掲載することについても、本人の同意を基本に、必要に応じてご家族などにも確認できているかということです。
今回は、介護施設が入居者の写真を掲載するときに確認したい、許諾と運用のルールについて整理します。
「自社のホームページだから」という思い込み
施設のホームページやSNSの運用に関わっていると、このような声を聞くことがあります。
「自社のホームページなので、写真掲載の許諾はいらないと思っていました」
撮影した職員に悪気があるわけではありません。
むしろ、
「入居者の笑顔を見てもらいたい」
「施設の温かい雰囲気を伝えたい」
という前向きな気持ちから、写真を掲載しようとしています。
ただし、ホームページは、自社で管理していても、施設内だけで閲覧するものではありません。
入居を検討しているご家族、地域の人、求職者など、さまざまな人が閲覧できる公開の場です。
そのため、個人を識別できる入居者の写真を掲載する場合は、原則として本人の同意を確認するという考え方を、施設全体で共有しておく必要があります。
「自社のホームページだから自由に使える」のではなく、外部へ公開する写真だからこそ、事前の確認が必要になります。
なお、認知症の進行などで本人による意思確認が難しい場合は、ご家族や成年後見人などへの確認も含め、施設の方針に沿って慎重に判断することが大切です。
「誰に、どこまで確認すればよいか」に迷ったときは、施設の管理者や顧問の専門家にも相談すると安心です。
「撮影してよい」と「掲載してよい」は別の確認
写真を撮るときに、
「写真を撮ってもよいですか?」
と確認していても、それだけでホームページへの掲載まで了承してもらったことになるとは限りません。
撮影の許可と、掲載の許可は分けて考える必要があります。
掲載前には、少なくとも次の内容を伝えておきたいところです。
・何のために写真を使用するのか
・どの媒体に掲載するのか
・どの程度の期間掲載するのか
・ほかの媒体にも使用する可能性があるのか
・申し出があった場合に掲載を停止できるのか
大切なのは、「写真を使ってよいですか」と一括りにしないことです。
ホームページへの掲載を了承してもらっていても、SNSへの投稿や広告への使用まで了承しているとは限りません。
ホームページ、SNS、Web広告は分けて考える
同じWeb上の掲載でも、媒体によって写真の広がり方は異なります。
ホームページは、基本的には施設について調べ、サイトを訪れた人が見る場所です。
一方、SNSでは投稿がシェアされたり、第三者に転載されたりする可能性があります。
さらに慎重に考えたいのが、Web広告への使用です。
Web広告は、施設のホームページ内だけに表示されるものではありません。
広告ネットワークを通じて、さまざまなWebサイトやアプリなどに配信されることがあります。
たとえば、ご家族がニュースサイトやアプリを見ているときに、自分の親の写真が介護施設の広告として表示されることも考えられます。
本人やご家族からすれば、
「ホームページに載るとは聞いていたけれど、広告に使われるとは思っていなかった」
と感じるかもしれません。
広告は、多くの人に情報を届けるための手段です。
マーケティング上は「広く届くこと」がメリットになりますが、入居者写真の使用においては、その広がりがリスクにもなります。
そのためWeb広告では、入居者本人の写真を安易に使用せず、
・職員をモデルにして撮影する
・許諾を得たモデルを起用する
・建物や設備、食事などの写真を使用する
・イラストやイメージ画像を活用する
といった方法も検討したいところです。
写真掲載を、担当者の感覚に任せない
写真掲載で避けたいのが、
「この写真なら大丈夫そう」
「以前も掲載したから問題ない」
という、担当者個人の感覚だけで判断することです。
職員によって判断基準が異なると、同じ施設内でも、写真の扱いにばらつきが生まれます。
だからこそ、写真掲載を個人の判断ではなく、施設の運用ルールとして整えておく必要があります。
たとえば、次のようなルールです。
1.許諾内容を記録する
誰から、どの媒体への掲載について同意を得たのか、後から確認できるようにします。
2.媒体ごとに使用範囲を分ける
ホームページ、SNS、広告を一括りにせず、それぞれの使用可否を管理します。
3.掲載期間を決める
一度同意を得た写真を、何年も見直さずに使い続けないようにします。
4.退居・退職時に確認する
入居者の退居や職員の退職時には、掲載中の写真を見直します。
5.削除依頼への対応を決める
本人やご家族から掲載停止の申し出があった場合に、誰がどのように対応するのかを明確にします。
写真掲載のルールが整っていれば、担当者が変わっても、同じ基準で判断できます。
それは、入居者やご家族を守るだけでなく、施設で働く職員を守ることにもつながります。
写真掲載前に確認したい4項目
写真を公開する前に、次の項目を確認してみてください。
□ 個人を識別できる場合、原則として本人の同意を確認し、必要に応じてご家族などにも確認している
□ 掲載する媒体と使用目的を説明している
□ ホームページ・SNS・広告の使用範囲を分けている
□ 掲載期間や削除依頼への対応方法が決まっている
ひとつでも曖昧な項目があれば、すぐに公開せず、施設内で確認することをおすすめします。
写真以外も含め、介護施設サイトで最初に整えたい情報については、こちらの記事で7項目に整理しています。
許諾のルールは、施設の姿勢を表す
許諾は、書類にサインをもらえば終わりではありません。
本人やご家族が、どこに、どのような目的で写真が掲載されるのかを理解したうえで、安心して判断できる状態をつくることが大切です。
写真掲載のルールを丁寧に運用する姿勢は、ご家族から見ても、
「ここまで配慮してくれる施設なら安心できる」
という印象につながります。
まずは、現在ホームページに掲載している写真を数枚選び、
誰の同意を、どの媒体まで得ているのか
を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
次回は、許諾を得た写真であっても、そのまま掲載してよいとは限らない理由を整理します。
現場では「良い写真」に見えても、見る人には違った印象を与えることがあります。
※本記事は、介護施設のWeb運用における一般的な注意点を整理したものです。個別の写真掲載や同意取得については、最新の法令やガイダンス、施設の個人情報保護方針などを確認したうえで判断してください。
参考:個人情報保護委員会
「ホームページや機関誌に、行事などにおける利用者の写真を掲載する場合、本人の同意を得る必要はありますか」
