介護施設のホームページ、最初に更新すべき7項目|デザイン刷新より先にやること
介護施設のホームページを見直そうとすると、つい「デザインを新しくすること」から考えてしまいます。
けれど、ご家族が知りたいのは、サイトがおしゃれかどうかだけではありません。
「どのような人が入居できるのか」
「どれくらい費用がかかるのか」
「今、どのような暮らしが営まれているのか」
施設選びに必要な情報が、わかりやすく、現在の状況に合っていることの方が、ずっと大切です。
今回は、デザインを変える前に確認しておきたい7つの項目を整理します。
前回の記事では、紹介で選ばれている施設ほど、WEBで「今」を伝える必要があるというお話をしました。
では、実際にどこから手をつければよいのか。今回はその実践編です。
※記事の後半に、表示ルールに関する補足を記載しています。
すべてを一度に変えなくて大丈夫です
ホームページの更新が止まっている施設では、「どうせならページ全体をリニューアルしよう」と考えて、作業が大きくなりすぎてしまうことがあります。
写真を撮り直す。
文章を書き直す。
料金表を確認する。
各部署から情報を集める。
やることが増えるほど、日常業務との両立は難しくなります。そして結果として、更新そのものが止まってしまいます。
大切なのは、すべてを一度に変えることではありません。
ご家族の判断に影響する情報から、優先順位をつけて整えることです。
ここから挙げる7項目は、ご家族が施設を検討するときの確認の流れと、情報の優先度を意識して並べています。
上から順に、あなたの施設のホームページと照らし合わせてみてください。
1.その写真、いつ撮ったものですか
最初に確認したいのは、ホームページに掲載されている写真です。
建物の外観、エントランス、居室、食堂、浴室、共有スペース。それらの写真は、現在の施設の姿と合っているでしょうか。
また、入居者やスタッフの顔が識別できる写真を掲載する場合は、掲載先や利用目的を説明したうえで、本人の同意や施設内の運用ルールを確認する必要があります。
介護施設の広報に携わる中で、写真は一度掲載すると、そのまま長期間使われやすい情報だと感じてきました。
撮影した当時は正しい写真でも、家具の配置や設備、施設内の雰囲気は少しずつ変わっていきます。更新されない期間が長くなるほど、ホームページ上の施設と実際の施設との間に、小さなズレが積み重なります。
だからこそ、写真の美しさよりも、まずは現在の施設と一致しているかを確認することが大切です。
開設時に撮影した写真を、そのまま何年も使っている施設は少なくありません。
現在は使われていない設備が写っていたり、家具の配置や内装が大きく変わっていたりすると、見学時にご家族が受ける印象との間にズレが生まれます。
完璧な写真を用意することよりも、現在の状態が正しく伝わることが大切です。
まずは、古い写真や実態と異なる写真が残っていないかを確認してみてください。
2.「うちの家族は入居できるのか」に答えられていますか
ご家族が施設を検討するとき、最初に知りたいことの一つが、「自分の家族が入居できるか」です。
しかし、施設の種類やサービスの説明だけでは、具体的な受け入れ条件がわからないことがあります。
例えば、次のような内容です。
対応している要介護度
認知症の方の受け入れ
医療的ケアが必要な方への対応
看取りへの対応
生活保護や身元保証に関する条件
短期利用や体験入居の可否
すべてを細かく掲載できない場合でも、「個別の状況についてはご相談ください」と明記するだけで、問い合わせのハードルは下がります。
専門用語だけで説明せず、ご家族が自分たちの状況に置き換えて判断できる表現になっているか。
そこを確認してみてください。
3.「月額◯円」だけでは、判断できない
費用は、施設選びで避けて通れない情報です。
入居一時金や月額利用料が掲載されていても、それだけでは実際に必要な金額を判断できないことがあります。
月額利用料には何が含まれているのか。
介護保険の自己負担額は別なのか。
医療費、日用品、理美容、レクリエーションなどに追加費用がかかるのか。
ご家族が知りたいのは、表に掲載された最低金額だけではありません。
入居後に、どの程度の支払いが発生する可能性があるかです。
すべてのケースを掲載することは難しくても、主な追加費用や料金の考え方を示すことで、見学や相談の際の認識違いを減らせます。
料金改定後も古い金額が残っていないか、ポータルサイトの掲載情報とズレていないかも、あわせて確認が必要です。
4.医療・看護・認知症への対応が、具体的に見えますか
介護施設を探すご家族にとって、医療や看護の対応体制は大きな判断材料です。
ただし、「医療連携体制が充実しています」と書くだけでは、具体的な内容は伝わりません。
看護職員が勤務している時間帯
協力医療機関との連携内容
緊急時の対応
服薬管理や通院支援
認知症ケアの方針
対応可能な医療処置
こうした内容を、公開できる範囲で具体的に伝えることが重要です。
協力医療機関について掲載する場合は、医療機関名だけでなく、診療科目や具体的な協力内容、費用負担を実態に沿って示し、施設自身が医療を提供しているような誤解を与えない表現にすることが必要です。
対応できることだけでなく、対応が難しいことや、個別相談が必要なケースについても曖昧にしすぎない方が、ご家族との信頼関係をつくりやすくなります。
「何でも対応できます」と見せることよりも、どこまで対応できるのかを正しく伝えることが大切です。
5.入居後の「暮らし」が見えますか
設備やサービスの情報だけでは、入居後の生活を具体的にイメージすることはできません。
ご家族が気にしているのは、日々どのように過ごし、どのような人が支援してくれるのかです。
食事、レクリエーション、散歩、季節の行事、リハビリ、スタッフとの会話。
施設の日常がわかる情報を掲載してみてください。
大きなイベントだけでなく、普段の食事や何気ない日常の様子も、施設の雰囲気を伝える大切な情報です。
スタッフ紹介も、役職や資格を並べるだけで終わっていないでしょうか。
「どのような思いで入居者と接しているのか」
「仕事の中で大切にしていることは何か」
そこが伝わると、ご家族は入居後の生活や、スタッフとの関係をイメージしやすくなります。
6.「今も更新されている」と伝わっていますか
空室状況は変動しやすいため、リアルタイムで更新することが難しい施設もあると思います。
それでも、数年前の空室情報や、いつ更新されたかわからないお知らせが残っている状態は避けたいところです。
正確な空室数を常時掲載できない場合は、
空室あり
残りわずか
満室・待機相談受付中
最新状況はお問い合わせください
など、無理なく運用できる表現にする方法もあります。
重要なのは、情報が現在も管理されていると伝わることです。
ページやお知らせに更新日を表示するだけでも、「今もきちんと運営・発信されている施設」という印象につながります。
毎日更新する必要はありません。
施設として無理なく続けられる更新方法を決め、その情報がいつのものなのかをご家族が確認できる状態にしておくことが大切です。
7.見学までの道のりが、示されていますか
ホームページを読んで興味を持っても、次に何をすればよいかわからなければ、問い合わせにはつながりません。
電話番号や問い合わせフォームを設置するだけでなく、見学や相談の流れを具体的に伝えましょう。
例えば、次のような流れです。
電話またはフォームから相談する
担当者が現在の状況や希望を確認する
見学日を調整する
施設見学とサービス説明を行う
必要に応じて入居判定や契約に進む
見学時の持ち物や所要時間、オンライン相談の可否なども掲載すると、初めて施設を探す方の不安を減らせます。
あわせて、問い合わせフォームがスマートフォンから入力しやすいかも確認してみてください。
入力項目が多すぎたり、必須項目がわかりにくかったりすると、せっかく相談しようと思ったご家族が、途中で入力をやめてしまう可能性があります。
情報を整えることは、施設を守ることでもある
ここまで7つの項目を挙げてきましたが、介護施設の情報発信には、押さえておくべきルールがあります。
有料老人ホームの場合、景品表示法にもとづく「有料老人ホームに関する不当な表示」(平成16年公正取引委員会告示第3号)が定められています。土地・建物の権利形態、居室の住み替え、終身利用、協力医療機関との連携内容、介護職員の人数、管理費の内訳など。制約があるにもかかわらず、それが明確に書かれていない表示は、不当表示にあたるとされています。
また、公益社団法人 全国有料老人ホーム協会が、協会会員向けに定めている「有料老人ホームの広告等に関する表示ガイドライン」では、インターネット上の表示について、次のような考え方が示されています。
掲載データが変更されるたびに、更新年月日を付して適切に更新すること
パンフレット、重要事項説明書、ポータルサイトなど、複数の媒体で内容に食い違いがないようにすること
入居者や職員の写真を掲載する場合は、あらかじめ本人の同意を得ること
「最高」「完全」「万全」「厳選」など、客観的に証明できない表現を使わないこと
ここまで挙げてきた7項目は、集客のテクニックというより、こうしたルールが求めていることと重なる部分が多くあります。
情報を最新に保つことは、ご家族への誠実さであると同時に、施設自身を守ることでもあるのだと思います。
なお、施設の種類(有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホームなど)によって適用される規定は異なります。実際の表示内容については、所管の自治体が定める指導指針や、重要事項説明書との整合を確認しながら進めてみてください。
デザインを変える前に、情報の「現在地」を確認する
ホームページの改善というと、全面リニューアルや新しいデザインを想像しがちです。
しかし、優先すべきなのは、見た目を大きく変えることではありません。
まずは、次の7項目を確認してみてください。
施設・居室の現在の写真
入居対象者と受け入れ条件
費用と追加料金
医療・看護・認知症への対応
入居後の暮らしとスタッフの姿
空室状況と情報の更新日
見学・問い合わせまでの流れ
この7項目が現在の施設と合っているだけでも、ご家族がホームページから得られる安心感は大きく変わります。
ホームページは、単に施設を紹介するパンフレットではありません。
紹介やポータルサイトで施設を知ったご家族が、最後に自分の目で情報を確かめる場所です。
7つ全部を今日中に更新しようと思わなくて大丈夫です。
まずは1項目だけ開いて、写真を1枚だけ差し替えてみる。
そこから始まる更新も、きっとあると思っています。
あなたの施設のホームページで、最も更新が必要だと感じる項目はどれですか?
参考資料
・消費者庁「有料老人ホームに関する不当な表示」
・全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームの広告等に関する表示ガイドライン」
・各自治体の有料老人ホーム設置運営指導指針
