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介護施設のホームページで確認したい広告表示ルール|景品表示法・有料老人ホーム告示

介護施設のホームページやパンフレットを整えようとするとき、多くの方が「どう見せるか」から考え始めます。

けれど、その前に知っておきたいことがあります。

介護施設の情報発信には、守るべき表示のルールがあるということです。

意外と知られていませんが、有料老人ホームには専用の広告規制があり、施設の種類を問わず、事業者の広告表示に関わる法律もあります。

今回は、介護施設がWeb発信を行うときに押さえておきたい表示のルールを、現場でマーケティングに携わってきた立場から整理します。

専門的な法律解説ではなく、発信内容を見直すときの「目安」として読んでいただければと思います。

前回の記事では、ホームページで最初に更新すべき7項目についてお話ししました。
今回は、その情報を発信するうえで前提となる「ルール」の話です。

なぜ今、表示のルールを整理するのか

Web発信に力を入れる施設が増えています。

ホームページ、SNS、ポータルサイト、ブログ。情報を出す手段は年々多様になりました。

発信する情報が増えるほど、伝えられる施設の魅力も増えます。その一方で、気をつけるべき点も増えていきます。

例えば、次のようなことです。

  • パンフレットとホームページで、料金の書き方が違っている

  • 数年前に作った「24時間看護」という表現が、現在の体制と合っていない

  • 掲載している設備が、実際には共用だったり、別料金だったりする

いずれも、悪意があって起きるものとは限りません。

多くは、施設の状況やサービス内容が変わるなかで生まれる、小さな情報のズレです。

けれど、介護施設を探すご家族にとって、料金や職員体制、医療対応などの情報は、人生の大きな決断に関わるものです。

だからこそ、法律やガイドラインは、施設側に「実態に即した、わかりやすい表示」を求めています。

ルールを知っておくことは、ご家族を守ることであり、同時に施設自身を守ることでもあります。

介護施設の表示に関わるルールの全体像

介護施設の表示に関わる主なルールは、大きく「共通するルール」と「施設種別ごとの追加ルール」の2層で考えると整理しやすくなります。

あわせて、入居者や職員の写真掲載など、Web運用に関わるルールも確認しておく必要があります。


■共通する広告表示ルール

主な対象

施設種別を問わず、事業者が行う広告表示

主な内容

  • 景品表示法

  • 優良誤認・有利誤認の禁止

  • ステルスマーケティング規制


■施設種別ごとの追加ルール

主な対象

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など

主な内容

  • 有料老人ホームに関する不当な表示

  • 有料老人ホーム設置運営指導指針

  • 高齢者住まい法

  • 各自治体が定める指導指針


■Web運用上の関連ルール

主な対象

入居者や職員の写真、氏名などを掲載する場合

主な内容

  • 個人情報保護法

  • 写真を掲載する際の本人同意

  • 掲載目的や使用媒体の確認

  • 退職・退去・同意撤回時の管理


ここで大切なのは、まず「事業者の広告表示に共通するルール」があり、その上に「施設種別ごとの追加ルール」が乗るという考え方です。

「うちは特別養護老人ホームだから、有料老人ホームの規制は関係ない」と思われるかもしれません。

確かに、有料老人ホーム専用の告示は、特別養護老人ホームには直接適用されません。

しかし、景品表示法の優良誤認・有利誤認の禁止や、ステルスマーケティング規制は、施設種別を問わず、事業者が行う広告表示が対象です。

この違いを押さえておくと、自施設にどのルールが関係するのかを整理しやすくなります。

なお、個人情報保護法は、厳密には広告規制そのものではありません。

ただし、入居者や職員の写真をホームページやSNSに掲載する際など、Web発信との関わりが深いため、この記事でも関連するルールとして触れます。

特に押さえておきたい3つのルール

数が多く感じられるかもしれませんが、Web発信を見直す際に、まず優先して確認したいのは次の3つです。

1.うそ・大げさな表示の禁止

施設種別を問わず、事業者の広告表示が対象

景品表示法は、消費者が商品やサービスを適切に選べるよう、うそや大げさな表示を禁止しています。

介護施設の情報発信も対象です。

景品表示法で特に確認したいのが、次の2つです。

  • 優良誤認
    実際よりも著しく優れていると見せる表示。例えば、実際には配置していない専門職がいるかのように書くケースです。

  • 有利誤認
    実際よりも著しくお得だと見せる表示。例えば、追加費用がかかるにもかかわらず、「これ以上の負担はありません」と書くケースです。

ポイントは、意図的にだますつもりがなくても、結果として消費者が誤認する表示は問題になりうることです。

掲載した当初は正しい情報だったとしても、職員体制や料金が変わり、現在の実態と合わなくなっていれば注意が必要です。

2.有料老人ホームに関する不当な表示

有料老人ホームが対象

有料老人ホームには、専用の表示ルールがあります。

景品表示法にもとづく「有料老人ホームに関する不当な表示」という告示です。

これは、ご家族が施設を選ぶときに重要な判断材料となる項目について、制約や条件があるにもかかわらず、それが明確に書かれていない表示などを不当表示とするものです。

対象となる項目には、次のようなものがあります。

  • 土地・建物の権利形態

  • 居室の住み替えが起こりうること

  • 「終身利用」とうたう場合の住み替えや退去の条件

  • 協力医療機関との具体的な協力内容

  • 介護職員の人数

  • 夜間に勤務する職員の最少人数

  • 「管理費」「利用料」などの費用の内訳

例えば、建物が施設の自己所有ではなく賃借である場合や、一定の条件で居室の住み替えが行われる場合には、その条件をわかりやすく表示する必要があります。

協力医療機関についても、医療機関の名称だけを掲載するのではなく、どのような協力関係があるのかを正確に伝えることが重要です。

あわせて、業界団体である全国有料老人ホーム協会では、自主的な「表示ガイドライン」を定めています。

インターネット上の表示についても、次のような考え方が示されています。

  • 掲載データが変更された場合は、更新年月日を付して適切に更新する

  • パンフレット、重要事項説明書、ポータルサイトなどで内容に食い違いがないようにする

  • 入居者や職員の写真を掲載する場合は、あらかじめ本人の同意を得る

  • 「最高」「完全」「万全」「厳選」など、客観的に証明できない表現を安易に使用しない

これらは法律そのものではなく、協会会員向けの自主基準です。

ただし、介護施設のWeb発信を整えるうえでは、実務的にとても参考になる指針です。

なお、サービス付き高齢者向け住宅には、高齢者住まい法にもとづく誇大広告の禁止や、広告時の表示方法に関するルールがあります。

また、サービス付き高齢者向け住宅であっても、安否確認や生活相談に加え、食事、介護、家事、健康管理などのサービスを提供している場合は、有料老人ホームの定義にも該当することがあります。

自施設にどのルールが関係するかは、所管する自治体への確認が必要です。

3.ステルスマーケティング規制

施設種別を問わず確認が必要

2023年10月から、いわゆる「ステルスマーケティング」が、景品表示法上の不当表示として規制されるようになりました。

ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠して行う表示のことです。

例えば、施設が第三者に口コミの投稿を依頼・指示したり、特典などを提供して投稿内容に関与したりしながら、それを「利用者が自発的に投稿した感想」であるかのように見せるケースです。

ポイントは、謝礼として現金を支払ったかどうかだけではありません。

施設側が投稿内容の決定にどの程度関わっていたかが重要になります。

現金の支払いがなくても、依頼や指示、サービスや特典の提供などを通じて表示内容に関与している場合は、注意が必要です。

介護業界でも、口コミやポータルサイトの評価は、ご家族の判断に影響します。

だからこそ、情報を発信する際には、「これは施設側の広告なのか」「第三者が自発的に投稿した感想なのか」が、見る人にわかるようにしておくことが大切です。

口コミやポータルサイト運用の具体的な注意点については、それだけで一つのテーマになります。

こちらは、改めて別の記事で詳しく取り上げたいと思います。

ルールの「強さ」は、それぞれ違う

ここまで複数のルールを挙げてきましたが、これらはすべて同じ位置づけではありません。

法律にもとづくものもあれば、行政の指導基準や、業界団体が定めた自主基準もあります。

整理すると、次のようになります。


■景品表示法・指定告示

位置づけ

法律、および法律にもとづく告示

確認のポイント

不当表示にあたる場合は、措置命令などの対象になる可能性があります。


■自治体の指導指針

位置づけ

自治体による行政上の指導基準

確認のポイント

定められている内容は、所管する自治体によって異なります。自施設の所在地を管轄する自治体の指針を確認する必要があります。


■標準指導指針

位置づけ

国が自治体に示している標準的なモデル

確認のポイント

実際の運用では、国の標準指導指針だけでなく、各自治体が定めている指導指針を確認します。


■協会ガイドライン

位置づけ

業界団体が定める、協会会員向けの自主基準

確認のポイント

法律そのものではありませんが、介護施設のホームページや広告表示を考える際の実務資料として参考になります。


厚生労働省の標準指導指針でも、広告には実態と乖離しない正確な表示を行い、有料老人ホームに関する告示を遵守することが求められています。

一方で、自治体が独自に指導指針を定めている場合は、その地域の指針を確認する必要があります。

まずは、自施設を所管する自治体が、どのような指針や様式を定めているかを確認することが出発点になります。

ホームページ運用で、明日から意識できること

ここまでのルールを踏まえ、日々のWeb運用で確認しておきたいことをチェックリストとして整理します。

  • 掲載している写真・料金・職員体制が、現在の実態と合っているか

  • パンフレット、重要事項説明書、ポータルサイトとの間で、内容に食い違いがないか

  • 「24時間対応」「完全個室」などの表現が、例外なく当てはまるか

  • 一部の居室やサービスに限られる場合、その条件がわかりやすく書かれているか

  • 協力医療機関について、施設自身が医療を提供しているかのような誤解を与えていないか

  • 追加料金がかかるサービスを、無料であるかのように見せていないか

  • 入居者や職員など、本人を識別できる写真を掲載する場合に、掲載目的や掲載媒体を伝えたうえで、本人の同意を確認しているか

  • 情報に、更新日や確認日が示されているか

写真の掲載については、本人の同意を得るだけでなく、同意内容を曖昧にしないための運用も必要です。

以下は法律上の一律の要件というより、トラブルを防ぐために決めておきたい実務上の項目です。

  • ホームページだけに掲載するのか、SNSやパンフレットにも使用するのか

  • 掲載期間をいつまでとするのか

  • 退職・退去・同意撤回の際に、掲載した写真を削除できる管理になっているか

一度にすべてを見直すのが難しい場合は、料金、職員体制、医療連携など、ご家族の入居判断に大きく関わる項目から優先して確認しましょう。

気になる表示を、未確認のまま放置しないことが大切です。

正しい表示を保つには、「ズレを生まない運用」が必要

表示の問題は、ホームページを制作した時点よりも、その後の運用のなかで起こりやすくなります。

料金が改定された。

職員体制が変わった。

協力医療機関との契約内容が変わった。

ところが、重要事項説明書は更新されても、ホームページやポータルサイトは以前のまま残っている。

こうした媒体間のズレが、結果として誤解を招く表示につながります。

そのため、施設のサイト運用では、次の点を決めておくことが大切です。

  • 何を正式な情報源とするか

  • 料金や体制に変更があったとき、誰がWeb担当者に伝えるか

  • ホームページ、パンフレット、ポータルサイトを誰が確認するか

  • いつ確認したかを、どのように記録するか

例えば、重要事項説明書を更新した際に、ホームページやポータルサイトも同時に確認するルールを設けておくだけでも、情報のズレは生まれにくくなります。

表現を一度整えるだけでなく、情報が変わったときに更新される仕組みまでつくる。

これが、介護施設のWeb発信における表示管理だと思っています。

参考にした主な資料

本記事の作成にあたり、以下の公的資料・業界ガイドラインを確認しました。

  • 消費者庁「有料老人ホームに関する不当な表示」

  • 消費者庁「景品表示法とステルスマーケティング」

  • 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」

  • サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「サービス付き高齢者向け住宅の広告についてのルール」

  • 個人情報保護委員会「ホームページや機関誌に利用者の写真を掲載する場合の本人同意」

  • 全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームの広告等に関する表示ガイドライン」

実際の表示内容を確認する際は、各資料の最新版に加え、自施設を所管する自治体の指導指針もあわせてご確認ください。

この記事の位置づけと、確認のお願い

最後に、大切なお願いです。

この記事は、介護施設のWeb発信を整えるための「目安」として、現場でマーケティングに携わってきた立場から整理したものです。

法的な助言を目的としたものではありません。

また、適用されるルールは、施設の種類によって異なります。

  • 有料老人ホーム

  • サービス付き高齢者向け住宅

  • 特別養護老人ホーム

  • 介護老人保健施設

  • その他の介護サービス事業所

同じ名称で呼ばれている施設でも、提供するサービスや届出の状況によって、適用されるルールが変わる場合があります。

各自治体が定める指導指針の内容にも、地域によって違いがあります。

実際の表示内容を検討する際は、所管する自治体の指導指針や、重要事項説明書との整合を確認しながら進めてください。

判断に迷う場合は、専門家や所管窓口への相談をおすすめします。

情報の正確さは、ご家族への誠実さであり、施設への信頼につながります。

ルールを知ることは、その第一歩です。

あなたの施設のホームページで、「これは現在の実態と合っているだろうか」と感じる項目はありませんか。

まずは、そこから見直してみてください。

※本記事の情報は、2026年7月時点で確認したものです。制度や指針は改正されることがあります。

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